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魔法少女はじめました


「……ふがっ、はっ?!」


「おはよう。いくら夏とは言え、布団も被らずに寝ると風邪を引くよ?」


今日も日課の訓練を終え、疲れの溜まった俺はどうやらいつの間にかテレビをつけたまま寝こけていたらしい

見かねたパッシオが俺の鼻を抑えて起こしてくれたようだ


魔法少女としてやって行くのに大事な基本はやはり身体だ。風邪をひいては元も子もないので、俺はパッシオの言う通りベットへとのんびり足を運び、倒れ込む様にダイブするとタオルケットを巻き込みながらグースカ寝息を立て始めることにしたのだった





今日は魔獣退治どころか、魔獣の発生も無かったというのに疲労で寝入ってしまった真白を見て、僕ははぁっと溜め息を吐いた


真白は真面目だ。愚直と言っても良い。こうあるべきと定めたら、その為にまい進する様はまさに努力する人だ

ただ、あまりにも自分を鑑みない、自分の時間や身体を削り取るようなやり方に僕はそれとなく危機感を覚えていた


良いことだ。悪いことではないのだ。だが、そのやり方は近くで見ていてとても怖い


まるで自分の事など、自分の命まで軽んじているのでは無いかとまだひと月程度の付き合いしかないが、むしろたったそれだけの期間で僕にそう思わせるくらい、真白はストイックだ


「魔法少女を守る魔法少女、か」


なら、真白を守る人はいるのか?真白だって、歪だが魔法少女だ。ある程度のルールを自分に設けてはいるけれど、それでも真白だって戦う側の人間である


その真白を守れるんだとしたら


「自惚れかも知れないけどね。無力な僕の願いを聞き届けてくれた君を守るのが、僕の義務だろう」


妖精は、この世界では基本的に魔法少女より弱い


妖精界より魔力が薄いせいだ。身体だって本来の姿では無いし、使えるはずの魔法は魔力が薄いせいでほとんど使えない

それでも、僕は僕にしか出来ないことがある。真白のサポートがその最たる例となるだろう


それを成すために、僕はこっそりと窓の網戸を開けて外に出る。勿論、虫が中に入らない様に網戸はちゃんと閉めた


「さて、僕は僕の出来ることをしよう」


基本的に、僕が出来るサポートは多くない。直接的な攻撃などは殆ど役に立たないと言って良いだろう。仮に攻撃に参加するなら、この世界の魔力量に合わせた低燃費で効率的な魔法を一から作り直さなくてはならない


一応、その為にちょっとずつ新しい魔法を作っているが、一昼夜で出来るような物でもない


なら何が出来るのかだけど、一番は魔獣の探知だろう

当然と言えば当然だけど、魔力の操作、魔力への理解、と言った点で言えば妖精の方が圧倒的に上だ。こればかりは当たり前のように魔力が日常にあった妖精界と、10年前に突如として使えるようになった人間界では圧倒的な差がある


魔力の感知、というのもこれらに部類されるれっきとした技術だ。今後は真白にも段階を踏んで、僕に出来るだけの魔力に関する知識と技術を伝授するが、僕と同等になれるかは何とも言えない


なにせ人間と妖精は文字通り生きている世界が違う。同じようになれるのかはやってみないと分からない


ともかく、僕に出来る数少ないサポートの魔力感知。これは魔獣を発見するのに非常に役立つ

なにせ魔獣は簡単に言うと体内に溜め込んだ魔力を制御できなくなった生き物だ。溢れ出る魔力は分かり易いことこの上ない


逆に変身前の魔法少女は、肩に乗る位の事をしないと分からない。何せ、彼女達は日常生活では魔力を閉じ切ってしまっている。体内に隠された魔力を感知するには、身体に直接触れることくらいをしないとさっぱり分からない


で、そんな魔力探知をする僕が、何故わざわざ夜中に外に出たかと言うと、簡単に説明すればマーキングだ

如何に妖精が魔力関係に優れているとは言え限界は当然ある。特に魔力感知に関しては距離が離れれば離れる程、その精度も当たり前に落ちて行く


それを改善するために、この街のあちこちにソナーのような微弱な魔法を施し、感知の精度を高めている、という訳だ


夜にやる理由も単純明快。人目に付かないから


いくら小動物のような見た目とは言え、こそこそ何かをしていれば怪しまれると言う物。その辺は一応配慮しているのだ


「さてと、真白が起きる前には帰らないとね」


僕の相棒は、自分以外の事となると途端に心配性だからね


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