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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
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市街地討伐戦

氷の剣山を背にまとった委員長が、その氷を崩しながら立ち上がる。


既に手には氷の剣が握られている。

まだまだ動けるみたいだ。魔力切れには、やはり期待が出来そうにない。


どうするか頭の中で作戦を練る間もなく委員長が飛び掛かって来た。

パッシオに首に巻いているストールを咥えられてその場から離脱する。


……ストール?


「あれ、私こんなの巻いてたっけ?」


「今気付いたの?!今日変身した時にはもう巻いてたよ!!ほら、ボケっとしてないで構える構える!!」


いつのまにか巻いていたらしい真っ白なストールに疑問符を浮かべていると、パッシオに急かされてまた飛び掛かって来ていた委員長の剣を障壁で受け止める。


そして柄を蹴り上げて剣を取りこぼさせる。地面に落ちた剣はバラバラに砕けると、すぐに崩れていた。


そのまま回し蹴りを牽制に打ち込もうと片脚を軸にして、一回転。

狙うのは側頭部と見せかけて、頭上なのだけど、ここでおや?と再び疑問符を浮かべる事になる。


この回し蹴りを避けようとして、少し慌てたように頭を身体ごと屈める少し不恰好なカタチでこちらの攻撃を避けていた。


思えば、操られている委員長は攻撃は率先しているけど、攻められると途端に崩れる。


さっきも、空中から飛びかかって来たパッシオに抵抗らしい抵抗を出来ないまま組み伏せられていた。

その事後対応自体は良かったと思うけど、そもそもそうなる前に回避行動や防御行動をするのは、明確に真正面から攻撃されると分かっている時ばかりだ。


もしや、操られているにしても出来ることの範囲は本人の練度に依存するのだろうか。


「パッシオ、怪我させない程度に攻めて」


「何か思い付いたんだね。まかせてよ」


武器を振り回し、魔法を撃つだけならそこまで難しくはない。

戦いにおいて、もっとも難しいのは私はタイミングだと思っている。


防御と回避はこれが露骨に結果に出る。タイミングよく防ぐ、タイミングを読んで回避する。

もちろん、攻撃にも大きく関わるけど防御や回避よりは誤魔化しが効くし、勢いがあれば押せる事も多い。


もし、操られている状態でも、本人の技量に左右されるなら、それが露骨に出るのは攻められた時だ。


そして、パッシオか3つある尻尾の先に炎を灯して委員長目掛けて叩き付ける。

私がお願いした通り、直撃させるのではなく周囲の地面に叩きつけるように振り下ろされたそれに対して、委員長はその場から随分と大げさに飛び退った。


その先に障壁を準備して、飛び込んで来たところを閉じ込める。


「よしっ!!」


ようやく障壁の内側に入った委員長をすぐに細かな障壁で雁字搦めにする。囲む障壁も幾重にも重ねれば、内側から破られる事も早々ないだろう。


委員長はこれでOK。洗脳を解く方法はまだ分からないけど、これで彼女を少なくともこちら側で保護する事が出来る筈だ。


そう思い、次はドラゴンと対峙するルビーのもとへ向かおうとしたところで、舌打ちをする音が聞こえた。


「つっまんねぇなぁ。もっと派手にやってくれよ。ショーにならねぇじゃねぇか」


「……観客なら、ショーに文句は言わないでもらえる?」


「ばーか。俺は観客じゃなくて監督だっつーの。演者なら監督の手のひらの上で指示通りに踊れよ」


相変わらず近くの建物の屋根の上に腰掛け、観戦と洒落込んでいたクライスが苛立たしげに吐き捨てる。


こっちがブーイングをしたい気分だ。まるで人を物かロボットのように扱おうとするそのサマは不愉快と表現する以外に無い。


「ま、演者が監督の言うことをきかねーなら、聞かせるまでだよな。命令だ、死んでも殺し合え」


「何をバカな事を……」


そんな一方的で暴力的な命令を誰が聞くものかと、パッシオと共に眉を顰めて聞いていたけれど、委員長がいる方向から嫌な音が聞こえた。


ぶちぶちっとまるで、無理矢理なにかを引きちぎるような音を聞いて振り向いたその先には、固定された肉体が引き千切れそうになってなお、こちらに向かって来ようとする委員長の姿だった。

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