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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
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思春期少女の悩みと出会い


「朱莉おはよ~」


「おはよ」


「今日もジメジメするわぁ」


「アリーナの中はエアコン効いてるかな?」


「去年は効いてたと思うよ」


久々に道着に袖を通し、竹刀や防具袋を持ち運びながら指定された集合場所に集まると、ウチの学校の剣道部員たちがワイワイガヤガヤとお喋りしていた。


女子は女子で、男子は男子で固まっているけど、中には男女で喋っている面々もいる。例えば視線の先にいる2人は確か付き合っていたはず。

馬に蹴られたくないので周りは少々遠巻き気味に眺めているけど、色恋沙汰に敏感な女子を中心に楽しそうに見ている子も多い。


「遅かったじゃん」


「久々に準備したから手間取っちゃって」


皆の輪の中に入っていくと、何人かから声を掛けられ、それにそこそこに応じる。

実際、遅めの合流だったし、遅れた理由も思った以上に準備に戸惑ったから。


昨日の夜のうちに準備しとくべきだった、と少しばかりの反省をするけれど、あまり部活に顔を出す余裕が無い事を考えると、どうしても部屋の隅の方に道具は押しやられてしまう。


「久しぶりだな金本。元気にしてたか?」


「おはようございます部長。久々になりますけど、今日はよろしくお願いします」


「よろしく。しっかし、やはり金本がレギュラー参加出来ないのは残念だな。団体ではレギュラーは確実だし、個人で出れば東北大会は確実だろう?家の都合だから、仕方ないんだけどな。どうしてもぼやいてしまうよ」


悪いなと漏らした部長に私はいえ、大丈夫ですよと当たり障りの無い返事で返しておく。


高い評価を貰っていると言うのは有り難い事だ。東北大会は確実なんて評価は流石に高過ぎる気もするけど、県大会でそこそこの成績を残す自信はそれなりにある。


ただ、いつ何処で現れるかもわからない魔獣に対応したり、魔法少女としての訓練をどうしても優先しないといけないので、部長の期待には応えられない。というのが現実だ。


「わっ、あの車すごっ。あんなのテレビでしか見た事ないよ」


「お金持ち乗るやつじゃん」


部長とお喋りをしていると、ザワザワと俄かに周囲が騒がしくなった。


視線を向けるとテレビで見るような、長い胴体の高級車が、アリーナ方向にやって来ていた。

確かにドラマやテレビでしか早々お目にかかれない珍しい車が、こんな所を走ってるなんて珍しい。


明らかに富裕層。そんな人達が住んでいるのは街の中枢も中枢。街中まで出て来る事は少ない。

こんな所になんの用があるんだろうなぁと思ったら、その車はアリーナのロータリーに入って来ると、適当な所で停車。


「えっ、ここに用事?!」


「た、確かにお嬢様学校の郡女も練習に参加してるけど、私たちと同じ様にバスで来てなかったっけ?!」


「バスはバスでも断然立派なバスだったけどね……」


周囲の子達は更にざわめきを大きくする。

郡女の剣道部は遠目に窺えるし、彼女達は違う移動手段のはず。

一体誰が、と思ったところで見知った顔がものすごい勢いで走っていった。


「おっ、緑川さんか。今年も参加してくれるんだ。後で手合わせお願いしないと」


部長は呑気に呟いているが、この辺りの剣道経験者にはそこそこ顔の知れてる千草が駆け寄っていったとあって、知ってる人はもっと驚きの声をあげていた。


「千草、何してんの……」


なにやら大慌ての千草に訝しみながら見ていると、千草が車の近くまでやって来たところで、車の後部座席のドアが開いた。


まず出て来たのは白髪のお爺さん。ピシッとスーツを着ている如何にも執事といった人が降りた後、続く様にメイド服の美人なお姉さん。


それに手を引かれる様に墨亜ちゃんがはしゃぎながら飛び降りる。

あぁ、成る程、墨亜ちゃんが来たのか。そりゃ千草が大慌てで駆け寄って来るわけだ、と納得したところで視線を外すと、また一つ驚きの声が上がった。


「……?」


何事かと再び視線を動かすと、そこには見覚えのある人の姿が。

いや、正確には見覚えのある人にとても良く似た女の子が、メイドさんに手を引かれて恐る恐る、高級車から降りている姿だった。


特徴的な癖っ毛の赤髪。青みがかったグレーの瞳。可愛らしいと呼べるお人形みたいに白い肌と顔立ちは、少し前の夏休み中に出会った男の人ととても良く似ていたのだ。


「真白さん……?」


思わず、そう呟いてしまうくらいには、その可愛い女の子は真白さんにとても良く似ていた。

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