思春期少女の悩みと出会い
リオが来てからの生活はとてもご機嫌だ。じゃれてる様子も遊んでる姿も寝ている姿も可愛くて、見るたびに癒される。
私の部屋でお腹を出した格好で寝ているかと思えば、ママのところに行ってはご飯をねだり、パパの仕事部屋に侵入しては悪戯して素知らぬ顔で出て行く。
そして、私の部屋でまたお腹を出して寝る。
リオの主な生活パターンはこれだ。
一緒に生活を始めて一番驚いたのは、私が学校に行く時について来たことだ。
最近は室内で飼っている猫を外に出すのは色々トラブルの元だし、事故とか怪我とか病気とかのリスクを考えれば、外に出さない方が良いんだけど、初日は完全に油断していたのでついて来たのに気付いた時は困った。
おかげで昔の私のあだ名を知ってる男子からはまたからかわれてしまった。そしてやっぱり、今度はリオに引っ掻かれていた。懲りないなぁ……。
「ようリオ!!今日も朱莉のボディガードか?」
「にゃあ!!」
「ちょっと、調子に乗らせないでよ」
そして今日も阻止失敗である。一体どこからすり抜けて来るのか、気が付いたら私の横にいるのだから心臓に悪い。
一緒に登下校している碧はリオに挨拶する始末だ。自慢げに尻尾を揺らすリオの姿に呆れるけど、それ以上何かする気にもなれない。
これも甘やかしなんだろうなぁ、とは思う。ホントは家に戻さないといけないんだけどね。
ついてくることに少し嬉しく思ってる自分もいるのが本音。
「あ、リオちゃん、おはよー。今日も偉いね」
「にゃおにゃお」
「紫までそうやって……。そのうち学校にまで入って来そうだわ」
とうとう紫まで甘やかす始末。まぁ、良いんだけど。
小学生の頃は、こうやって毎日登校していたのだから、慣れたものと言えば慣れたものなのもまた事実。
碧や紫も当時からレオと一緒に登校していたから、2人にも馴染みがある光景といえばそうなんだよね。
「ボスネコ復活だな」
「殴るわよ」
「ぐふぅ」
スクールバックで碧を殴ってから、私達は本格的に登校を始める。
今日は中間考査の最終日。気を抜いてるとママからも藤姉からも雷が落ちる。
他の魔法少女達も軒並み中間考査の時期でヒーヒー言っていた。何ともないのは小学生の墨亜ちゃんだけだ。
千草も時折、魔法庁に顔を出しては雛森さんと何やらやり取りをして、藤姉に少し扱かれて帰っていた。
今までは千草も休憩室に籠って一緒に勉強することが多かったんだけど、最近は家庭教師を雇ったらしく、早々に自宅に帰っている。
なんでも帰る時間が遅くなると烈火の如く怒られるらしい。あの千草が黙って従うくらいなんだから相当怖い先生なんだろう。
何にせよ、個別の家庭教師とは流石はお嬢様という気はする。
いや、私達もお金はしっかり稼いでいるのだけど、どちらかといえば家計や貯金に回されているし、あまり魔法少女としての活動を邪魔されたくないから、家庭教師とかは取れないのだ。
決して勉強したくない訳ではない。決して。
「さぁて、さっさとテスト終わらせるかぁ~」
「気負わなくて良いやつが羨ましいわ」
「あんまりこのドキドキには慣れないね」
気楽そうにしている碧、それを恨めしそうに睨む私。そして緊張している紫と三者三様の態度を示しながら、私達は通学路を歩いて行く。
リオはつまらなさそうにあくびをしながら足元を歩いている。
アンタも気楽そうで良いわね。
中間考査が終われば、ようやくテスト勉強からは解放されるけど、今度は部活に少しは顔を出さないといけない。
人に言えない事情があるからって部活動に不参加気味だと、色々とうるさい先生も多いし、実際今度の土曜に地域の中高の剣道部や道場に通う人たちとの合同練習もある。
あーあ、魔法少女って忙しいわ。後でリオに癒してもらわないと。
肉球をぷにぷにするか、猫じゃらしで遊ぶか、どちらが良いだろうか。一緒に日向ぼっこもありだなぁ。
「朱莉も大概ネコだよなぁ」
「それ、言ったらまた怒られるよ?」
「にゃ」
碧にもう一発入れたのは当然だよね。
最近、読者と言う名の大変優秀な編集さんがおられるようでして、ビシバシ誤字脱字や足りない描写の提案(簡単なものです)などなどをしていただいてます
この場を借りて感謝を。ありがとうございます。
是非、今後ともよろしくお願いします(そもそも読者にやらせるんじゃないよ)