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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
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思春期少女の悩みと出会い


「貴方どこから来たの?お墓で遊んでちゃお坊さんに怒られるわよ?」


「んなぁ~」


足元でころんころん転がってじゃれつく猫に手を伸ばして撫でながら話しかけるけど、返事は文字通りの猫撫で声。

私の手にじゃれて、手を止めるともっと撫でろと言わんばかりに頭をすりすりして来る。


「遅くなってごめんよ。住職さんのお話が長くてね。おや?その子は?」


「ひょっこり出て来たのよ。毛並みは綺麗なんだけど、首輪が無いからちょっと野良か飼い猫か分からないのよ」


パパも住職さんとのお話を終えて戻って来たみたいで、私とじゃれている猫を見つけてどうしたのか聞いて来る。

ママがそれに答えて、状況を把握したパパが成る程なぁと納得しながらお線香に火を点けた。


独特の匂いが辺りに漂い、お線香にしっかり火が点いたところで私とママにも配って、お墓にお供えする。ここのお墓には、無理を通しておばあちゃんとレオが一緒に眠っている。

ペット用のお墓はお金もかかる上、大体共同墓地なので、時間が経つと名前を消されてしまったりすることが多いらしいと聞いているので、私としても二人が一緒にいられることはとてもいいことだと思っている。


そんな風におばあちゃんとレオの事を思い出している間も、猫は私の隣を歩きながら、大人しくお墓参りを見つめていた。


「良い子だね。人の表情をちゃんと読める子なのかな?」


「人慣れはしてそうね。やっぱりどこかのお家から逃げ出しちゃった迷い猫かしら?」


「うーん。ちょっと住職さんにでも聞いて見ようか。お寺で猫を飼ってることもあるみたいだしね」


じゃれていい時と、じゃれてはいけない時を猫なりに理解しているのか、お線香をあげる間は大人しくしていたこの子に、ママもパパもどうしたものかと考えてくれている。

何度も言うように、毛並みや人慣れの具合を考えれば飼い猫なのだけど、首輪が無いので判別のしようがない。


もし家から逃げ出してしまった迷子猫なら一旦保護して、ちゃんと飼い主さんの元に帰してあげるのが良いと思う。

野良だったら野良だったで、と頭に浮かべながらママとパパに視線を向ける。


「ふふっ、飼いたいの?」


「……ダメ?」


「みゃ~」


そんな思惑は、ママにはバレバレだったみたいで、ダメ元覚悟で聞いて見る。

猫もお願いするかのようにママに向かって鳴き声を上げて、その足元にすりすりとすり寄って行った。

中々の甘え上手さんだ。この仕草にはママもあらあらと言いながらご満悦な感じ。


「住職さんに聞いて見たけど、お寺でペットは飼ってないし、この辺で迷子猫の話も聞いて無いみたいだ。……とりあえず、動物病院に行くかい?」


戻って来たパパの情報を聞く限りは、一時的にでもこの子は保護しても大丈夫そう。

何にせよ、迷子猫防止にマイクロチップ埋め込みは義務付けられてる筈だし、虫下しとか病気が無いかとかチェックするのにも、病院に行くのは必須項目。


「そうしましょ、朱莉も飼いたくて仕方ないみたいだし」


「ママだって飼いたいくせに。私を建前にしないでよ」


「なぁ~」


「ねー?」


私をこの子を飼う口実に使いだしたママに一緒に抗議しつつ、私達は車に戻ることにする。

歩く私の横を一緒になって歩くのは、なんだか昔、レオと一緒に学校に行っていたことを思い出す。


「……なんだか、またレオと一緒にいるみたいだね」


「そうね。最近、ちょっと悩んでるみたいだったから、あの子が来てくれたら少し気がまぎれるんじゃないかしら」


「ママ―!!パパ―!!早く行こうよー!!」


「みゃ~~」


お墓の前でなんだか話し込んでいるママとパパを急かしながら、私達は並んで墓地を出て行く。

早く名前決めないとね、何が良いかなぁ。


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