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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
最終決戦

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帝王レクス


規則性の無い。敢えて狙っていない広範囲攻撃と言うのは最適に避けたり防いだりするのがむずかしい。

狙ってこっちに向かって来るのなら、弾着位置が予想しやすく攻撃が一直線であることが殆どだからだ。


攻撃される場所、されそうな場所を事前防御したり、回避行動がとりやすい、が当たれば致命傷になりやすい。


無差別な広範囲攻撃と言うのはその逆でそもそも大体当たっていればそれでよく、ダメージになるかどうかは運任せだ。当たるかも知れないと思わせることが大事であって、敵の行動を中断させて、強制的に防御か回避行動をとらせることが目的なことが多い。


ざっくり言うとこういう差があり、魔法は前者が得意だ。基本的に術者が100%コントロールし、ある程度ホーミングしたり、距離や威力を最適化してある。


もちろん戦い方によってはそうじゃないこともある。アズールお姉ちゃんなんかの戦闘スタイルは基本的に無差別な広範囲攻撃であることが大半だし。


結局のところはタラレバなんだけど、こういう傾向はある。ルミナスがホーミングする魔法が得意なのを考えると、この規則性も狙いも定めていない攻撃と言うのはショルシエの脚を止めるのが基本的な意味だ。


「中々ちょこざいな魔法を使う!!」


「どうせ大して効いてねぇだろ!!」


その無差別攻撃の中心地に拳や身体のあちこちを水晶の鎧で覆ったブラザーがその水晶で攻撃を無理矢理弾きながら肉薄していく。


格上の敵に対して近距離戦は非常に危険な行動なんだけど、近距離での攻撃はそちらに視線が向きやすく、いわゆるヘイトが稼げる。

視線を誘導し、意識を向けさせること自体が役割。自らの危険を顧みず、そしてためらいなくその行動を取れるのは味方を信頼しているからこそ。


勿論、私達も黙っているわけではなく、私とルミナスが接敵したブラザーのサポートに入る。


水晶を纏った拳の乱打は残念ながら全てショルシエの魔力壁に阻まれ、ダメージが入ることはない。


これが現実だ。このチーム、メモリースターズではショルシエは倒せない。あの魔力壁の先には正体不明の防御手段まであるのだ。


私達に出来ること、やるべきことと言えば、時間稼ぎとスタンのお兄さん。帝王レクスをこの場から一旦救出することくらい。


「兄さん!!」


「まさかこの渦中に飛び込んで来るとはな。……すこし無謀が過ぎるぞ」


「兄さんがそれを言う? さぁ、肩を貸して」


ブラザーが中心になってショルシエを引き付けている間に、スタンとシルトがお兄さん。帝王レクスの下へと素早く駆けつける。


この距離だってショルシエと相当近い。危険な行動なことには変わりは無いけど、ここに来た最低限のクリア条件は満たさなければならない。

私達は多少の無茶をしても、あの人を連れて帰る必要があるのだ。


「そう易々と行くと思うな!!」


「ぐわっ?!」


「うわっ!?」


しかし、これも片腕の一振りで全て薙ぎ払われてしまう。ブラザーもスタンもシルトも魔力によって大きく吹き飛ばされて、状況は振り出しだ。


綺麗に帝王レクスだけは吹き飛ばしていないんだから、妙なところでやろうと思えば魔力コントロールくらい出来ることを見せ付けなくて良い。


「死ねっ!!」


「――!!」


「うりゃっ!!」


そのまま帝王レクスにもその魔力の毒牙を向けるが、これはシルトが間一髪、投げた盾で防御に成功して帝王レクスの身を守る。


弾き飛ばされた盾は影の手で回収され、そのまま影の中にどぷんっと入ったと思ったらシルトの手元に戻っていた。


絶対に手元に戻る盾か。なるほど、これは強い。あのサイズの盾になれば絶対影が出来るもんね。

と感心しつつ、次の動向を探る。


ニヤニヤと笑うショルシエは絶対的な余裕を見せており、私達をどう嬲るか。それしか考えていないのが丸わかりだった。


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― 新着の感想 ―
窮鼠の猫になるショルシエ。 怒って本気になったショルシエの苛烈な攻撃で絶体絶命のピンチに陷ったメモリースターズたち。 最早これまでというところで、女王真白の登場。 「アリウム•フルール、あなたを助けに…
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