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思春期少女の悩みと出会い

そんな彼女も、話してみればごく普通の女の子。

それを言えばきっと私達もそうなんだろうな。魔法少女に変身してない時の私達は素の、ただの年相応の女の子だ。


そうあるべきだと雛森さんや魔法庁で関わる人達は言っているし、お母さんやお父さんも、家にいる時まで魔法少女としている時のようにピリピリしていなくて良いって言ってくれた。


それをやるのは大人の仕事だって、そう言ってた。でも、私達には力がある。

魔法と言う、現状は科学技術だって上回る未知の力。それを扱う私達魔法少女にも、それ相応の責任とか義務がある、と私は思ってる。


「はぁ……」


「何難しい顔してんだよ。勉強すんじゃなかったのか?」


ふとした拍子にそんなことに考えを巡らせていると、碧からからかうような声が飛んで来た。

勉強しなくても余裕な人は良いわよね。ホント、その頭を2つに割って分けて欲しいわ。


その癖、ヘラヘラした態度をしながら見据える先はとっくに見つけているのが碧だ。正直、一番何を考えているのか分からないと思っている。


「うるさいわね。ちょっと考え事よ」


「ハッ、どうせ朱莉の事だから考えてもしょうがないこと考えてたんだろ。んなこと考えてねぇで目の前の事やってろ。お前にはまだはえーよ」


「何よ、たった2つしか違わないくせに」


「たった2つでも見えてるもんはちげーんだよ。姉ナメんな」


偉そうに、とは思うけどそれ以上は反発しない。するだけ時間の無駄だし、実際碧の見てる視線と私の見てる視線は違うなって思い知らされることは多くある。


特に本人は勘、と言っているけど。いや多分実際勘なんだろうけど、碧の先を見る能力は凄い。


知性とか経験だけで得られるようなものではないんじゃないかと、私は密かに思ってる。

ここにいる魔法少女は皆、ひかるものと言うか明らかに他とは一線を画した才能や能力を持っていると思っている。


いや、ここにいる魔法少女だけじゃない。千草と墨亜ちゃん、それにアリウムも飛びっきりの才能や能力を持つ子ばかりだ。


碧はさっきも言ったように先を見る能力。


紫は全体を見て、指示を出す指揮能力。


黄瀬さんは何と言ってもそのスピードと加速能力。


藤姉なんて語るところすらないレベルのずっと高いところにいるし、千草は斬ると言う事の一点集中。墨亜ちゃんは狙撃とその弾速。

そしてアリウムは発想力と魔力の操作能力がダントツ。


アリウムに関しては藤姉すら同じことは出来ないと言わせた程だ。


対して私は、何か特技があるんだろうか。


自慢だったスピードは黄瀬さんに負けたし、剣術は千草に勝てない。力は碧に勝てないし、誰かに指示をすると言うのもあまり。狙撃なんてそもそも遠距離向けの魔法そのものが不得手だし、如何にもそれらしい戦い方くらいしか思いつかない。


私は、私の実力に、最近めっきり自信を失ってしまっていた。


「はぁ……」


自然ともう一度出てしまった溜息を聞いて、また自分の気分が下がる。


こんなことを考えてもしょうがないし、解決にもつながらないのは分かってはいるつもりだけど、考え込んでしまうのは悪い癖なんだろうなぁ。


「溜息ばっかじゃ幸せ逃げるぞ。考える前に動け。お前は頭で動くタイプじゃねーんだから」


「うるさいなぁ」


「まぁまぁ二人とも」


「そうっすよ。とりあえず、悩みごとは後で聞きますから、一緒に勉強しましょ」


私と碧の口喧嘩が始まりそうな予感を察知して、黄瀬さんと勉強していた紫が仲裁に入って来る。

黄瀬さんも気を利かせて、私を手招きして隣に来るように促してきた。


その手招きに応じて、黄瀬さんの隣まで勉強道具を持って移動すると、黄瀬さんは割と細い目を更に細ませて、じゃあ頑張りましょうかと声をかけてくれた。


「赤点なんて取ったら魔法少女業務そっちのけで勉強に励んでもらうから、そのつもりでいなさい」


藤姉の声に勉強していた三人が青い顔になったのは言うまでもない。主に私だったけどさ。


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