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最終決戦


「彼女、凄いね」


帝国の首都の路地を歩きながら、スタンは突然そうこぼした。


着陸してからそれなりの時間が経っていて、陽が昇ってからも時間が経っている。その中で私達は大胆にも裏路地ではなく、比較的大通りを歩いている最中のことだった。


「突然どうしたの?」


「昴さんさ。まだ戦う術を身に付け始めて半年もないんだろう? まだまだルーキー。僕よりも訓練の総時間は少ないくらいのハズなのに僕より遥かに多くのモノを身に付けているように感じる」


昴さんへの高い評価にあぁ、それは確かにと同意する。昴さんは戦いの訓練どころか、戦うための手段を手に入れたのは半年も無い。なんなら数か月レベルのハズ。


それだって言うのに、昴はモノにして来た。真白お姉ちゃんの太鼓判を押されるくらいの実力は付けて来たのは確定。じゃなきゃ、真白お姉ちゃんは昴さん達を作戦の中に組み込もうとしてすらいない。


「天才、か。墨亜と違うタイプだけど凄まじい人って言うのは集まるものなんだね」


天才というのは昴さんのような人の事を言うのはわかる。あの人は私とは別の方向で目が良い人だと思っている。

私が単純な視力だとしたら、昴さんのそれは圧倒的な観察眼。そしてこれを自分に取り込む能力が段違いだと感じている。


戦いの中で成長する人はいるけど、昴さんはその典型。強い人と戦えば戦うほど一気に成長する。

朱莉お姉ちゃんに修行を付けてもらったらしいから、少しの機関の間に物凄い成長をしているんだろうなと思う。


「止めてよ。私は別に天才とかじゃないって」


「いやいや、僕にとっては墨亜も含めた人間界の人達は才能の塊みたいなものだよ」


自分を下げてこっちを上げる発言に釘を刺すけどスタンは譲る気は無い様子で肩を竦める。わからなくは無いけどね。飛び切り優秀な兄姉がいる私達はどうしてもそれと比べちゃうからさ。


だからと言ってネガティブな発言は良いものじゃない。しかもこれからスタンはその兄を倒さなければいけないのだから。


「だから死に物狂いでやらないといけないんだけどね。まだ震えるよ。覚悟は決まっているつもりなんだけどね」


「……私達が付いてる。スタンはスタンのやることだけに集中して」


それはスタンも分かってる。緊張から来る不安のようなものだ。偉大な兄を倒すことになるなんて夢にも思っていなかっただろうし、それが目前に迫って緊張しない人なんていない。


でもやらなければならないことだ。やらなければ、私達はショルシエに勝てない。スタンが帝王レクスに勝ち、『神器』を奪取するところから私達の攻勢は始まるのだから。


スタンもそれがわかっているから、逃げることはしない。私が出来るのはそのサポートくらいだけど、一人でいるよりはマシなハズ。


そして昴さん達の存在も心強い。天才と称した通り、彼女には無限の可能性を私も感じる。真白お姉ちゃん達もそれを感じているから昴さんを私達に組ませたんだと思う。


何かを引き起こせる存在。ショルシエにとっても予測不能な存在はきっと脅威になる。スタンのお兄さん、帝王レクスからしても予想していない戦力のハズだ。

総合的な実力では他の魔法少女には劣っていてもそれ以外の何かがあるのが昴さん達だ。


「こういう作戦を思い付くのも昴さんの視野の広さからだよね。僕からこの作戦は出て来ないね」


「自分達は観光客を装いながら、堂々と歩いて、その影に私達が歩くなんてね。確かに昴さん達はショルシエ側に殆ど顔が割れてないから出来ることよね」


昴さん達が思い付いた移動の作戦と言うのが、昴さん達は堂々と隠密行動用の装備を解き普通に並んで歩いていること。

そうやって人混みの中を突っ切って行くその真後ろを私とスタンの2人がついて行くというシンプルかつ大胆な作戦だ。


隠密行動ばかりを考えていた私達からするとこの作戦は目から鱗であって、これが気持ちがいいくらい成功しているのを実感していた。


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