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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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最後の作戦会議


「好機? えーっと分かりやすく言うと……」


「チャンス、ですね。まぁ、何を考えているのかは想像が付きますけど」


「へへへ、全く。お前も涼しい顔してとんでもねぇこと言い出すよな。下手したら手が付けられなくなるんだぜ?」


難しい言い方をされて一瞬頭がこんがらがったらしい舞ちゃんに紫ちゃんが分かりやすく言いかえてあげた後、呆れたというかまたとんでもないことを言い出したと文句を言いたげな表情をする。


碧ちゃんは笑いながら真広の度胸を評価している、ってところかな。無謀よりのそれだけど、真広の言いたい事はわかる。


「つまりなに? 今のショルシエは不完全な存在で倒したって無駄だから、わざと完全体に復活させて、それを倒すって言いたいわけ?」


人間界にいる『人滅獣忌 白面金毛の九尾』がショルシエの本体、或いは一部的な存在だった場合、逆説的に妖精界にいるショルシエはまた偽物、もしくは不完全な存在ということになる。


ただでさえ分身体とかいうよく分からない原理で味方を増やす奇天烈な存在だ。何があっても驚かない。


だとしても、真広の言っていることは誰がどう考えても大博打の部類だろう。


「そうだ。ただそうかもしれないというだけということを除けば、ショルシエを完全に倒し切るまたとないチャンスになる」


完全体のショルシエ、となると単純に今のショルシエよりも強くなるわけだから無茶苦茶言っている。今でさえこれだけ警戒している存在が更に強くなったら当たり前に厄介度は上がる。


それはつまり勝ち筋が減るって言う事だ。本来ならそれは避けるべきことなのだけど、ショルシエはとにかく逃げ足が速い。


ありとあらゆる手段を講じて逃げの一手に命をかけていると言って良いくらいには逃げる判断は本当に速い。

だから太古の時代から『獣の王』は一度も完全に討伐されたことはない


「太古の時代から逃げ続けていた『獣の王』をここで完璧に倒せれば、これ以上のハッピーエンドは無いだろ」


それを成し遂げることがもし出来たのなら、それは真広の言う通りあらゆる意味で完璧なハッピーエンドだ。


後の世代に託すのではなく、私達で終わらせる。その気概はあって損があるわけもない。


「その可能性が少しでもあるなら、俺1人くらいなら賭けに出ても良いだろう。打てる手は全て打つべきだ」


「言うのは簡単ですけどね。まぁ、許容範囲内ですか」


真広という戦力を割いてでも『人滅獣忌 白面金毛の九尾』が封印されている地に私達の中から監視の目を送るのは手段としては妥当なところだろう。


戦力ダウンは否めないが、昴達のおかげで最小限に抑えられる。


何より、真広の予想は不確定ながら無視出来ない内容でもある。

真広のこの主張と提案を紫ちゃんは仕方がないかと認めた。


「とは言え、真広さん一人でやらせることではありませんね。もしこれが事実だった場合、真広さんのリスクが高過ぎますから」


「ウィスティーに連絡しておこう。街で穴の監視をしているが、基本的に退屈そうにしているからな」


さて、話が拗れたけど真広の予想をまとめると、ショルシエの本体は『人滅獣忌 白面金毛の九尾』であり、私達魔法少女を妖精界に呼び込んででも本体を取り返しに来る。あるいは封印が何らかの方法で解かれ、本体が妖精界に向かう。


それを真広が監視と封印が解かれた時の最速対応。私達へのノータイムの情報伝達により、ショルシエの有利状況を打ち消してしまおう。


ざっくり言うとこう言う事だ。これらは全て予想であり、確定事項ではない。ということに留意はしつつ、無視は出来ないので発案者の真広に対応してもらう。


ついでに3年前にも私達がみっちりお世話になった『破絶の魔法少女 ウィスティー』さんにも同行してもらうようだ。

あの人がいれば、ちょっとやそっとの事態なら何とか出来るだろう。朱莉を鍛え上げて、現役最強まで育てた人は今でも最強の一角として名高い。


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― 新着の感想 ―
仮説が正しかった場合、『九尾狐』は倒される直前に“ショルシエという分体”を作って逃がした挙句に、本体は死んだふりで封印されたということですよね。 この報告を聞いた魔法少女協会が阿鼻叫喚にならないかな…
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