魔法少女はじめました
チームを組むなら後方。味方を支援し、攻撃は味方に任せる、典型的な支援型魔法少女。それが俺、アリウムフルールだ
「俺は、弱いからな」
「……この短期間で、Bクラスを倒せるなら手放しで喜んで良いんだけどね」
だが、それでは足りない。俺は魔法少女を守るために魔法少女になったのだ。守ると言うのは攻撃を防いだり、傷を癒したりすることだけじゃない
その『脅威を排除する』。これこそが、守るために最も近道になる方法だ
そのためには俺は俺に出来る方法で、魔獣を殺す術を身に付けなくてはならない
その術の一つが、障壁を変形させて、攻撃する方法だ
これはさっき倒した魔獣相手にも使用している技術。障『壁』とは言うものの、必ず壁のような板状の形でなくても良いだろう。という発想から生まれた使い方だった
初めてやって見せた時は、パッシオも他の魔法少女も目を丸くしていたが
そんな感じで、俺は空中に色々な形状の障壁を幾つも並べて行く。ついでにこの幾つも並べると言うのも、練習の一環だ
魔法を維持すると言うのはとても疲れる。それを幾つもとなるとその疲労と必要な集中力はバカにならない
ただ、それを日頃から訓練していれば普段使う時に咄嗟に行うことが出来るだろう。要は癖を付けるのだ
そのために様々な形に変形させた障壁を、いくつもの種類を同時に構築する。無茶苦茶だとは思うが、戦いとは常に沢山の事を並行して行って行かなくてはならない
これはそのための準備だ。戦いの趨勢とは、準備によって決まるのである
「ルビーって魔法少女もそうだけど、君も大概だよね」
ため息交じりに言ったパッシオの言葉は、集中していた俺の耳には届かなかった
たんまり魔力の特訓をして変身を解除して、夕飯と夜のシャワーを浴びて、適当にTVを見たら就寝
翌日の朝5時には俺は目を覚ます感じだ。因みに寝るのは22時頃。特に趣味もない人間だったから、前から寝る時間はこのくらいだ
まだこの時間は夏とは言え薄暗い。日差しも無いため、涼しく過ごしやすい気温の中、俺はスポーツウェアに着替えると、ぐーすか寝ているパッシオを置いて外へと出かけた
魔法少女は、当たり前のようにスタミナも求められる。戦場でスタミナ切れはイコールで死だ
動けなくなれば魔法少女言えどただの的。その魔法少女のスタミナは変身前の体力に依存する
つまり、魔法をバンバン打てる魔法少女言えど、フィジカルトレーニングは必須のトレーニングと言えるのだ
最近では、ちょっとした楽しみも増えたから、このトレーニングにも身が入りやすいのは嬉しいことだ
「あ、来た来た。おーい、真白ぉー!!」
「ちょっと碧、年上なんだから敬語は使いなさいよ」
「良いじゃんかよ、向こうが気にしないって言ってんだから。なぁ、紫?」
「わ、私に言われても……。でも、朱莉ちゃんの言う通り、年上の人には敬語を使った方が良いかなって……」
「なんだよー、私が悪いみたいじゃんか」
「アンタが悪いのよ」
ランニングしながら、近所にある団地の公園の横を通っているとその楽しみの原因。歳が13~5くらいの少女たちが姦しく、公園内のテーブル付きベンチに腰掛けながらお喋りをしていた
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@Sion_Izaki