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星の道導


私が突然大声を上げたことで隣に座っていたスタンがビクッと肩を跳ね上げてビックリしているのを横目に私は大急ぎで紫お姉ちゃんのいる場所に向かう。


「ちょちょちょ!! 急にどうしたのさ?!」


「旧王国の、プリムラさんが残した資料が残ってるかも知れない場所があるの!!」


「なんだって?!」


驚くスタンを置いて、全速力で樹王種の枝を滑り降りていく。どうせ紫お姉ちゃんがいるのはリアンシさんのところだ。人目がなければそこそこイチャついているに違いない。


とにかく、思い出したのは旧王国、特に王族に関する情報を残してくれていそうな場所についてだ。

何も難しい話じゃない。多分、みんな単純すぎて忘れてた。灯台下暗し、ってやつだ。


「何処にそんのところがあるんだ?!」


「真白お姉ちゃんの実家だよ!! 諸星のお屋敷じゃなくて、お姉ちゃんが生まれた家!! プリムラさんが最期に過ごした場所!!」


プリムラさんは人間界にやって来て、真白お姉ちゃんのお父さんの真司さんと結婚して生活を始めた。

そこは埼玉県の川越市。真白お姉ちゃんは私達と会う前はそこで生活していた。当然プリムラさんと真司さんもそこで一緒に住んでいて、幼少期を過ごしていたって聞いてる。


「……!! そうか!! プリムラ姉さんは人間界に迷い込んでいたから」


「そこで真白お姉ちゃんを産んでるし、プリムラさんは王冠も残してた。ということは……」


「王族についての事細かな伝承を残している可能性が高い」


真白お姉ちゃんのお父さんの真司さんも相当マメな人で、お姉ちゃんに色んなものを残していたって言うけど、プリムラさんも同じようなことをしている可能性は十分ある。


何て言ったって真白お姉ちゃんが生きていくために文字通り命を張った人だ。当時、魔力の無かった人間界で半妖精の真白お姉ちゃんは生きていけない。


そのために自分の魔力の殆どを真白お姉ちゃんに譲り渡した。そんな決断をするくらい、子供の為を想う人なら、自分がどんな立場の存在で真白お姉ちゃんがどんな血筋の生まれなのかとか。


大きくなってからそういうのを知ってもらってた方がリスクが少ないとか色々備えているんじゃないかな。

真白お姉ちゃんと父親の真司さんにならそれを話しても大丈夫だろうしさ。


何より、王族の証である王冠を残していた。それは妖精界の王族であったことを真白お姉ちゃんに伝える準備があったことの証拠じゃない?


前回、川越に戻った時はお父さんの遺品整理が中心でプリムラさんの物については元々整理されてたとか言ってたと思う。

それでも、改めて調べる価値はあるよね。今度はプリムラさんが残した何かが無いか、それを調べに行く意味は全然ある。


「紫お姉ちゃん!!」


「うひゃあっ?!」


樹王種の枝を滑り降りて、リアンシさんの部屋に最速で飛び込むと予想通りイチャついてた紫お姉ちゃんがリアンシさんと寄りかかっていたソファーから飛び上がる。


30cmくらい浮いたんじゃないかな。ギャグ? って一瞬脳裏をよぎるけど、そんなことを一々口にしてる暇はない。

すぐにでも真白お姉ちゃんを川越の実家に向かわせないと。


「急にどうしたんだい星の子。僕の可愛い婚約者がビックリしちゃったよ」


「そんなことより真白お姉ちゃん達に連絡することがある。今すぐ旧王国で話が付く人全員と連絡を取りたい」


「そんなことって……」


リアンシさんのどうでも良い惚気は完全に無視して、旧王国と魔法少女協会で真白お姉ちゃんについてよく知る面々全員と連絡を取りたい事を伝える。


今から真白お姉ちゃんが川越に戻るってなると結構めんどくさいことになる。関係各所と諸々調整だ。


「紫お姉ちゃんも茹蛸になってないで急いでください。色々分かる可能性が普通にある」


「だ、誰のせいだと……!!」


隠れてイチャついてるくらいなら真白お姉ちゃんとパッシオみたいに自分達の世界作って周りに見せつけてるくらいの方が良いと思うよ。どうせバレるんだし。


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― 新着の感想 ―
乙女心は複雑なのですよ(笑) こっそりと二人きりになりたい人も、周りを考慮しない所謂バカップルも世の中にはいるのですから。 伝承に関しては、もう少し早く気がつくべきだったね。 メモリーにもプリムラの…
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