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星の道導


真白お姉ちゃんはどういう気持ちでこの全面衝突を始めるんだろう。


私もスタンも両陣営のトップと言える立場に兄姉がいるっていう偶然。そのおかげで出来る共感に浸りながら、揃ってどうしたものかと頭を悩ませる。


理想と現実の狭間。こうありたい、こうあって欲しいという願いと、こうしなければ変えられないという現実。


ロマンチストかリアリストか、どちらが正解なのか私にはちっとも検討がつかなかった。


「でもさ、多分兄さんも真白さんも僕らに助言をするなら似たようなものになると思うんだよね」


「どんなの?」


隣で一緒に星を見上げながら、スタンは帝王レクスと真白お姉ちゃんが似たような助言をするんじゃないかって予想をする。


上の立場に立つ2人なら確かに似たような話はするのかも。

敵対しているとは言え、人の上に立てる人ってごく一部の限られた才能とか努力をして来た人達だと思うし、そういう人達の行き着く先は似てくるんじゃないかな。


そう考えたうえで、真白お姉ちゃんが言いそうなことを敢えて予想するなら……。


「立ち止まるな、ってね」


「だね。似たようなことは言うと思う」


スタンは帝王レクスにショルシエと組んだことと、戦争を始めたことへの追及。


私は戦争を否定する真白お姉ちゃんが戦争の中心にいることへの疑問。


似てると言えば似てる疑問、疑念を本人にぶつけて最終的に返ってくる言葉はそういう意味合いを持つものだと想像出来た。


「きっと迷いのない人生なんて無い」


「迷って迷って、どうすればいいかわからなくなっても、決して立ち止まらず、考えることをやめず、行動することをやめず。そうやって迷って、間違えて、修正してを繰り返した先に」


「自分だけの結論が出せる。そんなこと、言いそうだ」


ホント、スタンの言う通りそういうこと言いそうだよね。


帝王レクスがどういう人かは詳しくは知らないけど、真白お姉ちゃんのことならよく知ってる。


自分の理想の為に茨の道を平気で突き進む。傷だらけになってもお構いなし、倒れて動けなくなるその時まで前に進むのをやめない。


真白お姉ちゃんはそういう人。その姿に憧れて、真白お姉ちゃんが作った道に続く人もいれば、あまりの危うさに茨を払い除ける人もいる。傷を癒やし寄り添ってくれる人もいる。


覚悟を決めている人の強さを、私はこの目で見て来た。

きっと、私達も自分の道を決める。覚悟を決める段階に来ているのかも知れない。


この道だと覚悟を決めるまで、迷ってて良い。迷っても良いから、進み続けるように言われる気がする。


「背中が偉大過ぎて、正直超えられる気がしない。でも、僕は兄さんを止めなきゃいけない。道を間違えた暴君を止めるのは同じ王族の役目だ」


「背中が偉大過ぎるのは、わかるなぁ。でもそっか、間違えてるってわかったら、喧嘩すれば良いのか」


「そりゃもう盛大にね。子供の喧嘩では済まないけど、それが兄弟姉妹の役割の一つだと、僕は思うよ」


間違えた兄弟がいたのなら、それを止めるのも兄弟の役目、か。


私はまだ真白お姉ちゃんが間違えてるって確証は無い。まずは話を聞いてみてだし、そこから真白お姉ちゃんが実際にどうするのかで話が色々変わるのもそう。


間違えた時は私が止める。そういう覚悟も必要かも。家族が間違いを止めなきゃ、誰が止めるんだ。


「それに色々小難しく考えるとややこしいけど、そういうのは一旦無視して、シンプルに考えた方が上手く行か気がしない?」


「あれもこれもって欲張って、結局何も出来ませんでした。なんて笑えないもんね」


二兎追う者は何とやら。欲張って全部やろうなんて器用さは私には無い。

そういうことするのはやっぱり真白お姉ちゃんで、今回の戦いはそんな真白お姉ちゃんでも、欲張れなかった。


きっとそういうことなんだろうな。、

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帝国と王国、公国の戦争もショルシエに引き起こされた盛大なる兄弟姉妹喧嘩。
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