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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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青くて碧い


考えるより先に身体が動いた。


「鼓、2人を頼む!!」


「ちょ、担当の魔法少女がおる。そこからの情報が来てからでも――」


「乳母さんと合流しといてくれ!! 駐車場で待ってるはずだからよ!!」


「話を聞かんかい!!」


叫んでいる鼓を無視して駆け出したウチは近くにある野球場の選手入場口に飛び込むと人気が無いことを見ながらグラウンドの方に走り抜ける。


「『激流変身』!!」


変身しながらグラウンドに飛び出して一気に跳躍。避難情報を元に魔獣が来ている方向を見る。

嫌な予感ってのは的中するもんだぜ。


「よりによって蜂型か……!!」


生き物の数だけ魔獣の種類がいると言っても良い。その中でも比較的倒しやすい魔獣と倒しずらい魔獣ってのどうしたって存在するもんだ。


単純に強い魔獣。一芸に秀でた能力を持つ魔獣。特定の条件で強化される魔獣。色んな能力を持ってるもんだが、そん中でも嫌がられている種類の魔獣がいる。


それが蜂型や蟻型の魔獣だ。


一匹一匹の戦闘能力は大したことはない。数匹であれば雑魚の筆頭みたいな魔獣だが、これが群れとなると厄介になって来る。

この群れってのは10とか20じゃない。大規模な群れになれば蜂や蟻型の場合は万単位に及ぶこともある。


大きさが小型ってのも厄介な点だ。精々大きさは最大でも30cmってところ。大型化することで知られている魔獣の中では相当小さい部類だ。


だが、30cmの蜂が数万の群れで飛び回っていたとしたら何もかも話が変わって来る。勿論、巣を持つ蟻や蜂の全てが襲い掛かって来るなんてことは早々無い。


魔獣は元になった魔獣の生態から大きく外れることは無いからな。ウチもそこまで詳しくないが、少なくとも日本にいる蜂や蟻の中で巣を持たない種類ってのはかなり稀だと言って良いだろうよ。


でも、数百単位の30cm大の蜂型魔獣が人間を襲いに来た、なんて考えたヤバいのは何となく伝わるハズだ。


【アズール!! 魔獣の種類やけど――】


「見えてる!! 蜂型だ!!」


スマホに来た着信に出て、鼓からの情報提供に感謝する。こういう時に機転の利く奴だからな。頼りになるぜ。


【わかってるならもうちょい残念な情報や。数百単位のスズメバチ型の魔獣。恐らくやが、完全に人間を狩りに来とる。注意せえよ】


「サンキュー。悪いが成也とみなもを頼むぜ」


【任せとき。……油断したらアカンで、チビちゃん泣かせたら地獄まで殴りに行くで】


「……ありがとよ」


ウチがスランプだって話も聞いてるんだろう。神妙な声音で忠告をされて、ウチも気を引き締める。


蜂型は数とその特殊能力の多さが厄介な魔獣だ。並みの魔法少女が徒党を組んでも苦戦する。この街に残っている後輩魔法少女を信用してねぇわけじゃねぇ。


ただ分が悪い。基本的に魔法少女の戦い方ってのは強力かつ大型の魔獣に対する戦い方だ。


基本的にそういう魔獣が街や人を襲う魔獣だからだ。熊、鷹、鹿、猪、狼なんかが日本だとオーソドックスな魔獣のタイプで、稀に海を渡って来たとんでもねぇのが来たりもするが、やっぱり少数。


昆虫型ってのはそういう魔獣達に捕食される側で、人間を襲ってる暇なんてのは無いわけだ。魔獣の中でも被捕食者側の存在が人間をわざわざ襲う理由ってのは自衛くらいなもの。


それがごく稀に覆る。これは魔獣の元になった生き物が元来持つ凶暴性に起因するなんても言われている。

スズメバチ型、って聞けば納得だよな。もともと世界で見ても相当デカい種だし、その攻撃性は日本人なら誰もが知っている。


その魔獣化個体群が人間を狩りに来てるってわけだ。通常の魔法少女が想定している相手じゃない。

担当が誰かはわからねぇが、得意な戦い方によっては厳しい。


ウチが行くまで、耐えろよ。


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― 新着の感想 ―
スズメバチは、封神演義で宝具(蜈蜂袋ごほうたい)になるくらい凶悪ですからねぇ(笑) 激流の魔法少女なら水流で蜂の群れを押し流し、纏めて抹殺する感じでしょうか。 城流す鯨のダイダルウエーブみたいなやつ…
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