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青くて碧い


成也とみなもも連れて街に繰り出すことになったウチらはまさにアテもなく歩かされてる感が凄まじかった。


「チビちゃん連れで遊べるところって案外無いんやなぁ」


「当たり前だろ」


3歳児2人も連れて遊べるところなんてたかが知れてるだろ。少なくともウチらの世代が思い付くような遊び場は殆どねぇよ。


カラオケとかゲーセンとか買い物とか、ウチらが思い付く遊びってそういうのだろ。3歳児の遊びは公園で走り回ることだよ。3歳児舐めんな。


「子供の面倒見るって大変なんやなぁ。うち一人っ子だから知らんかったわ」


「勢いで飛び出すからだよ。どうすんだこっから」


「ゆっくりお茶ってのも難しいしなぁ。なんかええとこあるやろか」


カフェとかファミレスで駄弁ろうにも3歳児にとっちゃ10分でもジッとしてるのは難しい。ありとあらゆるものに興味があるし、なんでも吸収していく頃だからとにかくあれはこれはと聞きたがりだ。


一瞬も目が離せないし、離した瞬間気が付いたら姿が無い。なんてザラにある。


世の中のオカン達は偉大なのだ。年の離れた妹が出来て、社会に積極的に触れていくようになってからそれはどんどん実感する。


「公園にでも行くしかねぇだろ。体力使わせて寝てからじゃねぇとゆっくりなんて話せねぇよ」


乳母さんも置いて来ちまったからどうにも出来ねぇよ。連絡はしたから後で合流は出来るけどよ。全く、無計画にもほどがあるぜ。


「動物園か水族館でもあれば違うんやろうけどなぁ」


「生憎そういうのはこの街にはねぇ」


残念ながら水族館とか動物園みたいなレジャー施設はこの街には無い。そもそもよっぽど海が近いか、街の規模がデカくないとその辺は無理だよ。


東京とか大阪にはあるんだろうけど、東北の片田舎にそんな大層なもんは無い。いずれ出来る可能性はあるだろうけどよ。


諸星グループの本家本元だし、魔法少女協会の本部もあるしな。発展の余地はあるだろうがそれは20年後くらいの話だ。

それこそウチらが親世代の頃の話だぜ。


「しゃあない、どっか大きめの公園に案内してや」


「お前よぉ……」


結局、案内すんのはウチらじゃねぇかよ。しかもこっからまともな公園って言うとそこそこ遠いぞ。

仕方ねぇ。バスでも使っていくしかねぇか。


幸い今いるのは幹線道路沿いだし、この田舎でもバスくらいは通ってる。近くのバス停まであるいて、最寄りまでいけば30分もしねぇうちに着くだろ。


「しかしいい街やなぁ。住みやすくてええわ」


「そうか? 都会の方が便利なんじゃねぇの?」


「あかんあかん。ただでさえ狭い大阪の中心地に関西中から人が集まってんねんで? 平日休日関係なく電車はぎゅうぎゅうやし、どこもかしこも人混みだらけで嫌になって来るわ」


一部の魔法少女なんて道路歩きたくないからビルの上走って怒られてる始末や。と都会には都会の悩みがあるらしい。


それを聞くとちょっと嫌になるな。便利の代わりに常に人混みでせかせか動かなきゃいけねぇってのはうーん。窮屈そうだよな。


いくら仕事塗れの生活してるからって、移動時間くらいはスムーズで快適であって欲しいもんだ。


「思えば子供が遊ぶようなところも全然無いわ。そういう意味ではこの街はちょうどいいくらいに都会で田舎やな」


「んー、まぁ確かにガチ田舎ってほどじゃないか」


一応、東北第二の都市らしいしな。そこそこ東北の中ではまともな方か。あんまり田舎田舎って卑下してるとホントに田舎組から顰蹙買いそうだ。


ちょうどいいくらいに都会で田舎ってのは確かに済むには良いかもな。不便って言えば、最新の物はちっと遅れて入って来ることくらいか。

そう言っても数日くらいだしそれも。まぁそれが耐えられないせっかちなヤツが都会に行くんだろうけど。


朱莉あたりは都会の方が良いって言うかもな。アイツ、典型的なせっかちだし。


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