青くて碧い
朝飯を成也とみなもに少し分けて食べた後、少しの食休めをしてからウチは2人を連れて外に出た。
「悪いな、付き合ってもらって」
「これも仕事ですから。ババアの少ない楽しみだと思ってくださいな」
乳母の婆さん。っつっても60代くらいだと思うんだが、その乳母さんの運転する車に乗ってノンのいる施設に向かっていた。
ノンはこの街に棲みついている超大型の亀竜と呼ばれる魔獣だ。3年前の戦いでも大活躍してくれたウチらの大事な仲間だ。
流石に妖精界にはデカすぎて連れていけねぇからな。今回は街の防衛に一役買ってもらっている。せっかく帰って来たし、挨拶がてら顔を出しておくのも良いだろ。
ノンは成也とみなもにも懐いてるしな。
乳母さんの運転でノンのいる施設に着いて、守衛の人に顔を出して魔法少女協会に所属していることを示すカードと半ば顔パスで施設のゲートを通る。
こっから先は基本的に魔法少女限定だ。前は一般人でもある程度は入れたりしたんだけどな。まぁ色々な懸念点とかな。元々ノンが無害な魔獣だってアピールするための施策だったし、それが終わったら無理に一般人をノンの生活スペースに近付ける理由もねぇしな。
定期的にノンの街の住人達の交流イベントはあったりする。結構人気なんだぜ。ノンは名前どおりに呑気で人間に友好的だしな。
「んじゃ、悪いけどここで待っててくれ」
「かしこまりました。楽しんできてください」
車を駐車場に停めて、ここで待つように乳母さんにお願いする。さっきも言った通りここから先は魔法少女と協会の関係者しか中に入れないからな。
因みに乳母さんはアレコレ多少の事は知っているけど、翔也さんが連れて来た人だからその辺は安心できる人ってのは間違いない。
少なくとも余計なことをするような人じゃないって信用はある。
「良い子にするんだぞ」
「「はーい!!」」
両手に2人を繋ぐ子供用のリード。迷子紐って言うんだっけか?それをしっかりと握って、好奇心とやんちゃの盛りの2人が目を離した隙にどっかに行くような事件だけは避けるようにする。
巷じゃこの迷子紐にあーだーこーだと言ってるのがいるらしいが、こんなんでちびっこの命が守れるなら安いもんだろ。
7歳児くらいまでは好奇心に身を任せた暴走列車みたいなもんだぞ。成也が車が好きだからって走ってる車にあわやダッシュで突撃しようとした時は本気で肝が冷えた。
ちびっこにとっちゃ動いている車がどんなに危ないかなんて知らねぇんだよな。子供の無邪気で無垢な部分ってのは時に子供自身に牙を剥くってのはなんつーか、皮肉みたいなのを感じるぜ。
「ほら、真っ直ぐ歩く。危ないだろ」
案の定、気になる物があると一直線のチビ達。これの面倒を見ているお袋と乳母さんには心底尊敬する。ウチが母親になった時に同じことを出来る自信がねぇや。
親が偉大ってのを大人に近づくたびに実感するぜ。自分が大人になれるのか、今から不安だ。しょうもないことで悩んでるくらいだしな。
ちゃんとした大人ってヤツになったらそういうこともなくなるのかな。
そういうことを考えてる時点でガキなんだろうけどな。って結論に至ったくらいでノンの姿が見えて来る。
透明なアクリルガラスで囲まれた自然豊かな広い敷地がノンが普段過ごしている場所だ。
敷地面積はちょっとした町一つくらいあるらしいが、ノンがいるのは大抵人が見えるアクリルガラスの近くだ。人間が好きでたまらないらしい。なんだってそんな人が好きなんだかね。
「ようノン。元気にしてたか?」
「ぐぅ?……くきゅるるるる!!」
声をかけるとどっから音が出てるんだか、日向ぼっこから飛び起きてどしどしと近くまでやって来る。でっかい体で可愛いもんだぜ。
この巨体で街のマスコットだからな。しかも街を魔獣から守るために毎日パトロールしてる頭の良さもある。
ホントに頼もしい限りだぜ。




