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マジックチャージャー


「と言うと?」


「本来、コイツの性格は全く戦闘に向いてません。ビックリするくらい基本的に戦意ってのがないんですよ」


「ふむ、確かに。舞君は他の子達と比べると随分穏やかな性格をしているよね」


ニーチェの言い分は基本的にボクは戦いに向いている性格をしていない、っていう点でした。

そこを指摘されると、うってなりますよね。師匠のドンナさんにも何回も指摘された部分です。


もっと貪欲になれ。そういうことを頻繁に言われて来たんすけど、上手く意識出来ないんすよね。

模擬戦とかであんまり勝ちに行こうってならないんすよ。別に勝っても負けても変わらないじゃないっすか。


勝ったら勝ったで勝てた理由を分析しますし、負けたら負けたで分析します。そこにそんなに大きな差を感じないというか、自己鍛錬に勝ち負けをあまり持ち込む理由があんまりよくわからなかったんすよね。


「コイツはあんまり勝った負けたに興味が無いんです。いや、興味がないわけじゃないんですけどね。モチベーションの引き出し方が普通の魔法少女じゃないですよね」


「へぇ、どう違うんだ?」


「とにかく、舞は本番に全てをぶつけるタイプです。それまでの勝ち負けにはほぼ興味が無くて、自分が出せる最高のパフォーマンスをどうやって本番までにピークに持っていくのかを考えてます」


ほーん、そうなのか。言われた本人も全く意識したこと無いっすけどね。確かに皆は模擬戦とかの勝った負けたは気にしてますよね。

そこで張り合って、切磋琢磨しているというか。そうやってモチベーションを上げている感じはあります。


別にボクだってお互いの切磋琢磨はしていますよ? 別に手抜きで戦っていることなんて無いです。

ただ、ボクにとって模擬戦はとにかく思い付いたことを試す場です。ここでひたすら調整をして、実戦に持ち込めるだけのテクニックを育てる場所。


ボクはそう認識しているんすけどね。


「まるでプロのレーサーみてぇなやり方だな。成程、確かに舞はそうかも知れねぇ」


「ほぅ、レーサーはそういうモチベーション維持の仕方を?」


「マシンの調整もあるしな。練習でミスって事故るより、ここ一番の集中力はレースに持ち込む奴は多いぜ。少なくとも俺の知ってるレーサーはそうだった」


お父さんの知っているレーサーって言うと、諸星家の運転手をやっている田所さんのことっすよね。

昔、お父さんと一緒にモータースポーツで色々やってたってことは聞いてます。世界一になったこともあるって言ってました。


ボクのモチベーションの持っていき方はそれに近いらしいっす。よくわからないっすけどね。

でも、本番にこそ最良の状態で臨みたいって気持ちは確かにあるかもです。


「だから、オジサン達の焚き付け方は違うんですよ。強くなれるとか、天才だからって煽てるんじゃないんです」


「褒めて伸ばすのではないと?」


「違う違う。そんなもんに興味は無いのよコイツは。コイツが興奮する要素はただ一つ。――昴、アンタもっと速くなれるってさ」


もっと速くなれる。そう言われてピクリと肩が跳ねる。それを見た瞬間、ニーチェがにやりと笑います。


ボクはと言えば、なんだか見事に策略か何かに乗せられた気がしてやっぱり面白くありません。なんでニーチェの手のひらの上で転がされなきゃならないんっすか。


「……わっははははは!! そうかそうか!! 舞君はとにかく速くなりたいのか!!」


「もう速さは十分だろお前は」


速くなりたい、速さこそがアイデンティティのボクにとってそれは重要な部分なんっすよ。速ければ速いほど良いに決まってます。


「言っちゃえば、コイツだけ作品のジャンルが違うんです。魔法少女が出て来ない作品の主人公なんですよ、黄瀬 舞って人間は」


「成程ね。そう言われると合点がいくよ」


ボクはぜーんぜん合点がいってませんけどね。なんでボクが置いてけぼりになってるんすか。


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