マジックチャージャー
「魔力は魔法でのエネルギー変換にしか向かない!! その定説をひっくり返すかのようにこの轟きの遺跡には小型の発電機がいくつもある!! この仕組みを解明することが出来ればまさに人類が待ち望んだエネルギー革命が起こせるだろう!!」
研究者としての血が騒ぎまくっている様子の東堂さんの論調と雰囲気は鬼気迫るものすら感じるっすね。
でもそれだけのものが見つかったってことっす。素人のボクにはその具体的なイメージが浮かばないっすけど、間違いなく世界が変わるんでしょうね。
産業革命、きっとそういうレベルの発見なんだと思うっす。
「この魔力発電機の解明は急務ではあるが、同時にこの轟きの遺跡そのものの調査も大事だ。まずは轟きの遺跡を隅から隅まで調査し、各所にある発電機を修理していくことが急務だろう」
「んで、一番時間がかかりそうなのがこれってわけだ」
「……まさか、これもそうなんですか?!」
轟きの遺跡と大型フェリー、ブルーオーシャンの謎。そして魔力発電機の解明とやることがどんどんと増えていく。
まるでピースが埋まり始めたパズルみたいに急ピッチで進んでいく状況に更に何かあるって言うんすから驚きっす。
目の前にある、大型船用のエンジンすら魔力発電機なのかとびっくりしていると、お父さんはちっちっと指を振りながらそうじゃないことを伝えて来ます。
「違うぜ舞。コイツは恐らく、魔力で動く『エンジン』だ。いやまぁ、発電機も広義の意味じゃエンジンだけどよ」
「とは言え出力は文字通り桁が違う。暫定的に私達は『魔動エンジン』と呼んでいる。これもまた現実として動作するなら革命的なモノだ。もし、現在主流のエンジンと同じ作りをしているのなら、大きな開発費をかけずに燃料を魔力に変えるだけで環境負荷がほぼ無いエンジンを作ることも可能かもしれない」
「もしそれが可能なら人間界にある動力の燃料は魔力に置き換わるだろうな。すんげぇことになるぜ」
電力もエンジンも魔力で動く。世の中にある機械とかコンピューター、その全部が魔力で動くと考えると、成程確かにそれは革命的な技術っすよね……。
エネルギー問題、環境についても今まであったモノは大体解決するんじゃないっすか?
はあ、東堂さんとお父さんが興奮するわけっすよ。まさにこの2人は歴史の分岐点を作ろうってわけっすから。
そこにお父さんが何でいるんだってのは今もありますけど、目の前にあるこれがエンジンだって言うなら確かにお父さんが見るのが良いのかもしれません。
サイズは全く違うっすけど、お父さんはエンジンの仕組みをよく知ってるっすから。伊達にモータースポーツに関わっていたって話は嘘じゃないでしょ。
「戦いが終わったら、本格的に調査出来るんすよね。いやぁ、楽しみっすね!!」
「いやいや、ここの調査と『魔動エンジン』等に関しては今、急ピッチで調査を進めている。『魔法技術研究所』と旧ミルディース王国の研究室室長のピット氏、舞君のお父様、そして轟きの遺跡の発掘調査チームの力を結集させる」
「え、なんでです? そんなに急ぐことじゃなくないっすか?」
今から危険を冒して調査研究するより、戦いが終わって安全が確保出来てからの方がいいじゃないっすか。
ボクだって調査にも、解析研究にも、そして実際に開発して完成させるまでには物凄い時間とお金がかかることは知っています。
それを今からしたところで何かが変わることは無いと思っているんすけど……。
「そこはね。実は君のお父様たっての希望なんだよ」
「え?」
「だははは。まさかここまで話がデカくなるとは思ってなかったけどな」
だからなんでそこにお父さんが関わってくるんすかね。何をしでかしてるんですかこの親父は。
じろりと睨むと東堂さんはまぁまぁとボクをなだめて来ます。いや、現状だと現場を素人が引っ掻き回してるって感じっすけど?
「舞君のお父様はね。この『魔動エンジン』が君に劇的な強化をもたらすんじゃないかって考えているんだよ」
「え、ボクっすか?」
って思っていたらまさかの矛先はボクでした。なんだって話が二転三転するじゃないっすか。




