マジックチャージャー
興奮する東堂さん。魔力で発電、ってそのくらい画期的なことなんすよねぇ。
特に人間界ではまさに夢のような技術です。
人間界は魔獣被害によって人類の総数が大きく減ったとは言え、エネルギーに関する根本的な解決する手段を未だに持っていない、らしいっす。
ニュースとか情報番組でちょくちょくこの辺りの話をしているのを聞きますね。
「人間界では未だに電力の大半を石油や石炭、天然ガスを燃やして発電する火力発電が主力だ。次点で原子力発電だっていうのは学校でも習うことだろう」
「他にもいろいろ発電方法があるが、ありとあらゆる発電方法にはそれぞれメリットとデメリットがある。水力はクリーンで安定してるが、山奥にある関係で魔獣被害を受けやすいし、太陽光は何処でも出来る代わりに発電量がちいせぇし、今の人類の生存圏だと十分な土地を用意するのがムズイとかな」
この辺もよくニュースとかで聞く話ですよね。人類は今の便利な生活を続けるためにはとにかく電力、つまりエネルギーを大量に消費するんすよね。
で、そのエネルギーを作るのが発電って訳なんですけど、どうにもこれって滅茶苦茶効率悪いらしいっすね。燃えるっていうのがまさにエネルギーの塊。つまり熱エネルギーっす。
これをお湯を沸かして蒸気にして、その勢いてタービンって発電装置を回転させます。つまり熱エネルギーを運動エネルギーに変換してるっすね?
そしてタービンが回って運動エネルギーが電気エネルギーになって初めて電気設備を動かすのに使えるって訳っす。
2回もエネルギーを変換させたり諸々の都合で、なんと火力発電だと6割近いエネルギーをロスト。つまり損失してるらしいっす。
これでも昔より随分と効率上がったらしいっすけど。発電の為に燃やした石炭とかが半分は無駄になってると思うと物凄く勿体ないっすよねぇ。
だからと言って止めるわけにはいきません。今更人類に原始的な生活をしろなんて無理です。それこそ絶滅しますよ。今の人類は昔と比べたら肉体的には雑魚ですからね。
んでもって一番の問題がまた別にあるんすよね?
「そう。最大の問題はこのエネルギー資源はほぼ全て有限だと言うことだ。火力は言わずもがな。原子力でさえ、ウランの埋蔵量なんてものは実はたかが知れている。100年もすればほぼ全て無くなってしまうそうだ」
「因みに石油はもう50年くらいで無くなるぞ。だから新しい発電方法が滅茶苦茶大事なんだが……」
「上手くいってないんすよね」
「魔獣被害によって優秀な科学者や研究施設が一部失われてしまったからね。とは言え、人類にはもう一つ新しい発電方法の可能性をこの10年で見つけた」
それが、魔力を使って発電すること。魔力だってエネルギーっすからね。なんなら一番純粋な力の塊みたいなもんかもしれないっす。
空気中に含まれてますし、これを使って発電出来たら火力とかそういうのに頼る必要なんて無くなるんすけど、これもまた上手くいっていないんすよねぇ。
どうにも魔力を魔法に変換するのは簡単なんすけど、それ以外にするのが大変っぽいんすよね。
魔法の雷属性と、科学的な電気エネルギーは別もんらしいんっすよ。雷魔法でスマホは充電出来ねぇんっすよ。不便っすよね。因みにそれでスマホ一台壊して怒られたっす。
んで、魔力から魔法にして、魔法で熱エネルギー使って発電ってのも結局滅茶苦茶効率悪いし、どうやって魔法を維持すんの?って話なんすよね。
魔法少女が魔法を発動し続けるのも無茶ですし、魔方陣とかも普通の魔法よりは長時間の発動は出来ても、効果が基本的に普通の魔法より低いですし、機械よりメンテナンスの頻度は高いっす。
魔法もそんなに便利じゃないんっすよ。魔法はとにかく、維持し続けるのが苦手なんですって。例えば土魔法でどんなに強固な壁を作っても大体半日もしたらぼろぼろになって崩れちゃうんすよ。
同じ形とか、エネルギーを供給し続けて稼働を続けるのは機械の方が得意なんっすよね。この辺もニュースとかで見たことの又聞きってやつですけど。
因みにエネルギー問題については現実準拠です。