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マジックチャージャー


轟きの遺跡は妖精界の中でも特別な遺跡です。


他の遺跡がいかにも遺跡らしい遺跡。大昔の人達の生活の痕跡が残っていて、それを発掘して復元をして昔の人達がどういうふうに生活していたのかを想像する。


そんな感じのがいわゆる如何にも遺跡らしい遺跡っすよね。


ここ、轟きの遺跡はそれとはまるで違います。どちらかといえば生活の痕跡はあんまり無いです。


無いわけじゃ無いんっすけどとっても少ないっすよね。いくつかの部屋にそれっぽいのがあったくらいで殺風景というか、とてもよく片付けられている印象でした。


更に大きな違いは何より一つの建築物だってことです。他の遺跡は幾つかの建物があって村とか町を構成していたのが分かるっすけど、轟きの遺跡は入り口があってその中に沢山の部屋がある感じです。


まるで学校とかマンションみたいな感じですね。部屋ごとに役割があったっぽいので、どちらかと言えば学校みたいな印象があるっす。


入り口もそり立つ崖の下にこっそりあります。まるでRPGのダンジョンの入り口みたいです。


「随分遅かったな」


「ニーチェに絡まれてたの」


「仲が良くて良いもんだ」


「だから仲良くないんだって」


そして、1番大きな違いはこの遺跡が魔法じゃなくて科学技術で動いていることです。


妖精界ではこれは異常っす。で、それを検証したり、遺跡で動かなくなった機械とかを直すために派遣されて来たのがボクのお父さんです。


いや何で?と思ったのはボクも同じっす。メカニックエンジニアなら魔法技術研究所にも何人かいるはずなのにそれに混じってなんでボクん家のお父さんが呼ばれてるんです?


ただの街の自動車整備工場の経営者っすよ?普通に一般人っすよ?

てか、会社はどうしたんすか。一応社長なんすから長時間会社空けて大丈夫なんすか?


色々突っ込みたいところはあるんすけど、大体笑って受け流されるので聞くのは諦めました。


大人の事情ってヤツがあるってことにしておきます。


「それは直ったの?」


「もうちょいだな。すっかり錆び付いてるから錆が落ちれば動きはするだろ」


ここでのお父さんの仕事は遺跡で動かなくなった扉や電灯、発電機とかの修理。

つまり轟きの遺跡で起きた発掘時のトラブル解決の何でも屋。


毎日楽しそうにしてるっすよ。なんでもここで生活してた人達の工夫が至る所にあって面白いって。


「みんなはどうだ?またこの前みたいなことになってねぇか?」


「大丈夫っすよ。みんな何ともありません。妖精の人達はここから離れちゃったっすけど」


「そりゃ、まぁしょうがねぇな。ほとぼりが冷めた頃に戻って来りゃいいさ……っと、よし動いた」


修理をしていた発電機っぽいのが動くとドゥルンドゥルンと音を立てて発電機が動き始めます。

これで近くの扉とかに電源が行ったっすかね。


お父さんが言っているこの前みたいなことって言うのは、妖精の暴走事件のことっす。


幸い、この採掘現場には妖精はかなり少なくて10人もいなかったっすかね。

2〜300人くらいいるはずっすから、その中で妖精の比率が少なかったのはラッキーっすよね。


おかげでここは大した被害もなく、すぐに暴れた妖精達は取り押さえられたっす。


その後、妖精の人達は遺跡の発掘から離れてどっかに行ったみたいっすね。

話を聞くにパッシオさん達が絡んでるらしいっすけど詳しいことはボクの方にはまだ。


王都の方ではかなりの大騒ぎになってるみたいで、あの真白さんとパッシオさんが離れ離れになってるっていうのも聞いています。


妖精の暴走もショルシエの仕業らしいですし、妖精が大昔にショルシエの配下だったとか何とか。


ボクには何が何やらですよ。とにかく分かってることと言えば全てはショルシエが悪くて、パッシオさん達妖精はそれに操られてしまった。


そして、真白さんのことを想って、パッシオさんが真白さんの下を離れたらしいってことだけです。


そんなことって無いじゃないですか。だって、3年も待ってようやく再会出来たんですよ。


あの2人が相思相愛なことなんて誰が見てもわかるじゃないですか。

それが3年も離れ離れでやっと会えたと思ったらこの仕打ちだなんて……。


真白さんのショックは物凄く大きいだろうし、パッシオさんの辛さと悲しさもわかるっす。


一緒にいたい人が一緒にいれないとか、そんなのあっちゃいけないと思うんです。


それが真白さんとかパッシオさんとか、関係なく。一緒にいたいと思う人が当たり前に一緒にいれたほうが絶対に良いじゃないっすか。

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― 新着の感想 ―
妖精界に落ちた機械類ってどれくらいあるんだろうね? 町工場の方は、真白の義父が部下を出向させているんじゃないのかな?
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