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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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地獄から帰って来た者


「今、大丈夫ですか?」


「あぁ、むしろ待ってたぞ」


やって来たのは昴、リベルタ、リリアナだ。3人ともまだボロボロで治療中の身。治癒魔法で大きな怪我こそある程度治療したが、包帯とガーゼ塗れの姿は痛々しい。


だが、見事に戦い抜いた勲章であると私は思う。この間の事件での3人の活躍は私達の中でも群を抜いていたと評価していい。

本当によくやった。だが、それは対外的な評価に過ぎない。


「お願いします!!」


こいつらにとって、あの結果は最悪だった。その事実ってヤツは3人の中では覆らない。


どれだけ私達が評価をしても、3人からすれば何も出来なかった不甲斐なさしか感じていなかったことを私はよく知っている。


「私達を鍛えてください!! どんなにきつくてもどうなっても良いです!! 強く、なりたいんです!!」


頭を下げて、誠心誠意頼み込む姿勢にはかつての自分の姿も重なる。強さを求め、出来ること増やし、守りたいものを絶対に守るためにはとにかく力が欲しかった。


そのがむしゃらさには懐かしさすらこみあげて来るよ。


「理由は?」


鋭く返したのは朱莉だった。こういう時は厳しい奴だからな。鍛えるということには妥協を許さないタイプの朱莉は他人のそれにも厳しい。


どれだけ辛く厳しいことかよく分かっているからだ。生半可な覚悟では着いて行くことすら出来ずに挫折する。

厳しいからと言って誰にでもそんなことをさせたいわけじゃない。向き不向きもあるし、考え方の方向性とか挫折してしまって大事な才能が再起不能になってしまっては意味が無いしな。


昴達は貴重な人材、才能だ。本来ならば丁寧に育てる必要があり、パワーレベリングは推奨出来ない。

3人を教育していた碧や真白はそういう意図をもって育成していたようだしな。


基礎の基礎からしっかり叩き込む。戦い方より、戦うための身体づくりと精神のタフネスをまず育てていた。


身体づくりは碧担当。メンタルは真白担当だったみたいだな。今回の事件ではそれが功を奏した部分が大きい。

諦めないガッツとそれについて行ける身体がギリギリ出来ていたから粘れていた。


だが、今回の3人が望む鍛錬はそういうものじゃない。身体や心に多少の負担がかかっても良いから戦うための力が欲しい。

勝つための力と戦い方を叩きこんで欲しい。それが3人の要望だ。


それを突き動かす原動力に私は大体の察しがついていた。


「友達を、連れ戻すためです」


昴の目的はサフィーリアと、確かピリアと言ったか。昴達が旅する中で知り合ったという少女だ。

その少女のもう一つのはファルベガ。真白達とも戦いを交えたというショルシエ達側の。つまり私達の敵だった。


サフィーリアもピリアも昴にとっては妖精界で出来た大切な友人だったらしい。それが1人は裏切り、もう1人の正体は何度も敵として立ちはだかっていたというのだから昴のショックは大きなものだっただろう。


「連れ戻してどうするの。そいつらは私達の敵よ?」


「でも、友達なんです」


「それは貴女のエゴでしょ? 独りよがりな感情。連れ戻したところで改心するかは分からないし、相手からしたっていい迷惑じゃない」


友達を取り戻したい。昴の願いはそれだ。友と言う存在に個人的な執着があるようにも思うが気持ちはわかる。


悪に惑わされた友を改心させるのか、連れ去られた友を救うのか、悪に走ったのを止めるのか。


三者三葉。様々な事情があるだろうが、根本の感情はひとつ。


「それでも連れ戻します」


「どうして? それはエゴなのよ」


「殴ってでも止めなきゃ、友達じゃないからです」


友のために、という感情だ。それがただのエゴイズムから来る自分勝手な感情だとしても悪に堕ちた友を殴ってでも止める。


それが昴の覚悟だ。私は好きだぞ。そういうバカは。


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― 新着の感想 ―
「あなたは、いつもそうだった…。私が闇に堕ちそうになると、いつも手をさしのべてくれた…。」 「私の手は穢れてしまったの…。みんなを裏切った私は、このまま死ななければいけないのよ…。このまま死なせて!」…
昴のエゴで押し切るところが真白達(特に真白ちゃん)に似てきてる気がするw
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