表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1491/1704

地獄から帰って来た者


冷気が漂う部屋でただ待つ。もちろん流石に食事などはしているぞ?


待ったのは丸二日か。その間、何もしてなかったかと言えば噓にはなるが、大半の時間はこうしてここで待っていたのは事実だ。


要の試練に用意された時間は72時間。つまり3日なわけだが、あと数時間でその時間が終わる。

そうなればこの結界の中にいる要の魂は閻魔大王の手により漂白され、ありとあらゆる記録を完全にリセットされるらしい。


転生を繰り返すたびに魂の奥底に少しずつ累積する情報すらも完全に消して、何にもない無垢な状態にしてしまうらしい。

つまり、二度と雛菊 要という存在は完全に抹消され、再構築されることもない。


「早くしろ、何をのんびりしているんだ……」


最初の内は大丈夫だろうとタカを括っていたが、タイムリミットがあと数時間ともなって来るとこちらも焦りが出て来る。


信用をしてないとかではない。要なら試練なんて笑顔で飛び越えて来る。そのイメージが崩れることは無い。

だがそれとこれとは話が別だ。時間が迫れば信用とかそれ以前に不安とか心配とか焦りは出て来るものだろう。


呑気な要のことだ。恐らくはマイペースに試練に臨んでいるんだろうが、流石に時間をかけ過ぎだ。


「心配性ね。仲間ならドンと構えてなさいよ」


「可能な限り抑えています。ですが、限度もありますよ」


「まぁね。別に悪い感触は無いのにやたら時間がかかってるのよねぇ。間の坊やの時はこのくらいになったら自力で戻って来てたんだけど」


八千代さんの過去の経験上、このくらいの力の放出量ならもういつ戻って来てもおかしくないらしい。確かに私が最初に来たときに比べて冷気は随分と落ち着いた。


こうして結界の前で座り込むのも難しかったくらいだからな。今や抑え込むために結界の中に入る必要すら無い。


冷気自体は漏れ出てはいるものの、十分に抑え込めている状態と言える。意識が戻ればこの程度の力なら抑え込めてるんじゃないかと思う。


だと言うのに意識が戻らないのを考えると、要が試練の中で何かをしているのだろう。全く、人騒がせなヤツだ。


「中々引っ張りますね」


「閻魔大王様」


結界の前に座り込んで待つ私の下に今度は閻魔大王までやって来る。地獄にやって来てお世話になりっぱなしの2人に挟まれて、結界の中に佇む要を見つめていると閻魔大王はふふふと声を出して笑っている。


「心配なさらずとも大丈夫です。どうやら、彼女は非常に上手くやったようですよ」


「……!!」


指を指された先、結界の中で要の指先がピクリと動く。思わず腰が浮いて立ち上がる。駆け寄りたい気持ちを抑え込んで、結界の外から様子を伺う。


そうして待っているとぱちりと目を見開いた瞬間に満面の笑みを浮かべると突然変身の為の姿勢を取り始める。


「『凍てつきながら華は咲き、華のように氷は舞う。強く、清く、美しく!!私達はここに咲き誇る』!!」


口上を紡ぎながら、氷の魔力と何か別の力が氷の結晶を模りながら辺りに舞い散る。私達の変身の中でも一番綺麗だと言われている変身はそのキラメキを一層増させている。


「いっくよ―!! 白雪!! 『原始回帰』!!」


それが試練をクリアしたかどうかを如実に示している。全く、いきなりアクセル全開とはな。


「『氷華の魔法少女 グレースア・ネージュ』!! 一緒に咲いて、笑って、勝っちゃいましょーっ!!」


中華風主体のアジアンな衣装から一転。和風で花魁のようで透明感のある衣装へと様変わりしたグレースア。

改め、グレースア・ネージュはガッツポーズを決めながら冷気で作った氷の結晶をきらめかせながら無事に試練をクリアしてみせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「まったく、心配させんじゃねぇ(涙)」ってタイプじゃないよね(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ