地獄から帰って来た者
「ふーん、水の色を変える感じねぇ。確かに私の力とはそもそも発動方法が違いそうね」
雪女の力で作った氷を手のひらでクルクルと回しながら魔力と自分の力の使い方の差について考え込む雪女さん。
やっぱり魔力とそれの差はかなり大きいよね。似たような能力なんだけどなぁ。
「逆にそっちはどういう感じなの?」
「そう言われても、やっぱり意識してないし……」
「私だって別に意識はしてないよ。敢えて言葉にするならってかんじ」
魔力の操作に一々意識なんてしてられないよ。特に私は魔法を発動させるスピードが人より早いらしい。
紫ちゃんとか真白ちゃん曰く、体質だとかそういう特別な能力というよりは普通の人なら魔法を発動させるために頭に浮かべる想像力のスピードとかそういう話らしい。
普通の魔法少女は魔力を体外に放出、頭の中で魔法を想像。想像したことで無意識に作られた術式が展開。そこに魔力が通って魔法を発動。
という大体4段階くらいのプロセスがあるらしい。
魔法の訓練っていうのはこの4つの動作を無駄なく、スピーディーに出来るようにするための訓練で、魔力をすぐに放出する訓練。作りたい魔法のイメージの具体化をメインに行う。
私はこの2つが普通の人よりどうも早いらしい。特にイメージの方のスピードが優れているんじゃないかっていうのが紫ちゃん真白ちゃん達の意見だった。
つまるところ妄想が得意って話だ。確かに昔から頭の中でオリジナルの物語を作ったりするのは大好きで、その影響でファンタジー作品は大好きだった。
魔法少女も勿論好きだ。自分が魔法少女として戦いを始める前なんかは魔法少女の活躍をスクラップしてたくらいだしさ。
いやぁ、懐かしいよね。あの頃はまだまだ魔獣と戦うなんて想像も出来なくて、変身は出来るけど魔法少女に変身できるってことは周りには隠してたんだっけか。
そのせいで【ノーブル】に連れ去られて、隷属紋で操られてと散々な目にあったんだけど、そのおかげで今こうして本物の魔法少女になってるんだから、世の中分からないよねぇ。
なんて物思いに耽りながら、私は改めて自分の魔法の発動がどういうものなのかを考えてみる。
殆ど無意識の領域なのは間違いない。一度想像した形を連射するのはとても簡単だ。もしかすると私と氷属性という自由に形を変えられるような魔法の特性が相性が良いのかも。
数を作るからね。複製しまくってぶん投げるみたいなのが基本だよ。
「うーん、力を使う時のイメージねぇ。やっぱ雪よねぇ」
「雪女だけに?」
「雪女だけにね。たぶん、氷はそこまでイメージしてないのよね。副産物って感じ」
雪かぁ。自然のことそのものをイメージするって感じなのかな。雪女って雪山とか吹雪の化身みたいなイメージもあるしね。
自然現象が力をもって生き物の形になった、みたいな感じなのかな。そう考えると妖精とも近いような気がする。
うーん、雪女って考えれば考えるほど不思議な存在だなぁ。私にはさっぱりわからない。
「それこそ、目の前の雪山そのものになってるイメージかも。実際、雪山の私は他の妖怪たちも尻尾を巻いて逃げるくらいだったし」
「雪女ってそんなに強いんだ」
「季節と場所を限定するけどね。冬の雪山以外だったら最弱レベルよ」
「条件付きの最強かぁ、ロマンあるね」
「だから、貴女が私の力を完全にコントロール出来るようになったらそれこそ無敵でしょうね。氷魔法で雪女の力が思う存分振るえる状況を作れたら、そこら一帯を自分のフィールドみたいにすることが出来るはず」
それは強い。氷魔法で雪女が本気を出せる温度まで下げたら、あとは雪女の力と氷属性の魔法で無双状態ってわけだ。
理想だし、現実的かと言われると微妙なところだけど、そういうことも出来るようになれば互いの相乗効果ってヤツは色んなところで見込めそうだよね。




