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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
千夜祭

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千夜祭

振りかぶられた斧を大きく避ける。アレを防ぐ術を私達は何一つ持ち得ていない。


『激流の魔法少女 アズール』の最大の特徴は海属性の魔法による大質量の面制圧攻撃だ。


「さん!!」


「下がっていてくださいっ!!」


シルトメモリーに変身しているリリアナさんが身の丈を越すほどの盾を構え、来る衝撃に耐える。


距離にして20mはある。普通に考えたら十分なきょり。

それでも私達は防御行動を強いられるほど『激流の魔法少女』は、強い。


「ぐっ!!」


「ぬおおぉっ!! 離れるなよ大将!!」


振り下ろされた斧が地面を割るのにほんの少し遅れて、斧が描いた軌跡を辿るように凄まじい水が私達へと襲いかかって来た。


盾にぶつかる衝撃がシルトメモリーとブラザーメモリーに変身しているリベルタさんの間に挟まれている私にも伝わって来る。


盾を構え、受け止めているシルトメモリーと1番身体の小さな私が流されないように抱えて踏ん張ってくれているブラザーメモリーの身体にはどれだけの圧力がかかっているのだろう。


「目をつぶって!!」


私も何もしないわけにはいかない。盾に隠れながら、追撃を仕掛けて来るだろうアズールさんに目掛けて閃光弾を撃ち、時間を稼ぐ。


一瞬動きを遅らせる、たったそれだけのことだけど私達が体勢を立て直し、時間を作ってこの状況をどうするのか。


何より、心理的に落ち着きを取り戻すための時間が私達には何よりも必要だと思う。


「どうする大将。俺らじゃどうにもなんねぇぜ」


「同感です。増援を呼ぶべきだとーー」


サフィーリアさんにも何より『激流の魔法少女 アズール』に対抗する手段が私達には全くない。


実力のレベルに差があり過ぎる。勝ち目は万に一つもない。2人の言い分はもっともで、私達に出来る最善策だ。


「何処に呼べる増援がいるの?」


ただし、それは理想論だ。事態はどう見てもサンティエの街全体にある。

あちこちから火の手が上がり、悲鳴と怒号が聞こえて来ていてどこもかしこも大変なことになっていることは誰だって想像出来る。


レジスタンスの人達も魔法少女協会の人達も何が起こっているのか誰も正確に把握できないまま、とにかく手を動かし、誰かを助けるために奔走している。


災害が起きた時と同じだ。人手は何処もかしこも足りてない。誰もが誰かの手を借りたいと思いながら、でもそんなことは出来ない事を理解している。いや、理解せざる得なくなっている。


「私達がやるしかないんだよ」


増援は呼べない。呼んだところで対応出来るだけの人がいない。


どんなに無理でも、どんなに無謀でも今彼女達を目の前にしている私達が今出来る最善の事をするしかないんだ。

その結果が伴わなかったとしても、何もせずに逃げることだけは絶対に許されない。


真白さんに無茶苦茶言って、何とか認めてもらったあの模擬戦の直後に言われた言葉が頭の中に浮かんでくる。


「踏み込むと決めたのなら、逃げ出すことは許されないし許されない。そうでしょ?」


誰かを守る側になる道を選んだ以上、非常事態の時こそ自分達の身を案じている場合ではない。

やらなきゃいけないんだ。それを選んだのは誰でもない自分なんだから。


「やるよ。いいね?」


2人も黙って頷いてくれる。無謀過ぎると言われて当然。番長さんとか真白さんがこの場にいたらきっと物凄く怒る判断だ。


……目の前で虚ろな目をして私達に立ちはだかっているアズールさんとサフィーリアさんもそのはずだ。

少なくとも、私の知っている2人はそういう人だから。


「作戦会議は終わったかしら?」


「もちろん。しっかりきっかり、話してもらうからね」


当たり前に余裕を見せるサフィーリアさんに精一杯の虚勢を張る。これが薄っぺらい嘘であるのはサフィーリアさんもよく分かっているハズ。


それでも、やらなければならない。私達以外に彼女達に相対している人はいないから。


「行くよ!!」


「「おうっ!!」」


サフィーリアさん、そして『激流の魔法少女 アズール』に挑む。今までの戦いよりもずっとずっと勝ち目の薄い戦いが始まった。


長らくお待たせしました。


体調がしばらく悪かったうえに、家にシロアリが出て仮住まいに移って戻ってをして、古戦場を走ってたら二か月経ってました。


本日より更新を再開いたしますので、よろしくお願いいたします。

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