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星の子よ!! 我が名を讃え、呼号せよ!!


「ノワールさん!!スタンさん!!」


移動しながら強引な手段で妖精達を無力化していく私達のところに空から声がかけられる。


飛んでやって来たのはアメティアお姉ちゃんとそれに抱えられているリアンシさんだ。


空中での移動で酔ったのかグロッキーな表情になっているリアンシさんを荷台に雑に放り込んだアメティアお姉ちゃんが私の隣に降り立つ。


「加減はしているんですよね?」


「死なない程度に収めてる」


「なら良いです。緊急事態ということで目を瞑りましょう」


間違いなく街中で機関銃をぶっ放していることに対する苦情だけど、緊急事態ということでお説教は免れた。


流石に手段を選んでいる場合じゃないしね。


「ただし、ここからは私が代わります。良いですね?」


「はい」


加減が苦手な私と、加減が得意なアメティアお姉ちゃんでは色々とワケが違う。


特にアメティアお姉ちゃんは魔法での同時ロックオンが可能だ。日々アップデートされている『紫水晶の片眼鏡』もそれをより補強している。


実際、小さな魔法陣を無数に展開したと思った時には、小さな光弾が的確に暴れる妖精へと向けられ、発射。


妖精へと着弾した魔法は拘束魔法へと変化し、次々と妖精達が拘束されていった。


「暴れた者達を広場へと集めろ!! それ以上のことはするな!! 集めるだけだ!!」


グロッキー状態から復活したリアンシさんが指示を飛ばし、民間人の防衛をしていた警邏の人達や巡回していた警備兵の人達などが指示に従って妖精達を広場へと集めていく。


それに不満を伝える人達もいたけど、リアンシさんはそれを一喝して黙らせていた。


物凄い威圧感とカリスマだ。あんなにヘラヘラしていたのに、領主としての一面をこうして見るとあの人も王族なんだなと分かる。


真白お姉ちゃんにも見られる一面だ。血筋っていうのはやっぱりあるんだなぁ。


「治療が必要な者も出来るだけまとめてください!! 動かすのが危険な重傷者がいる場合は赤い布で旗を掲げてください!!」


スタンも同じように民間人や兵士達に指示を飛ばす。一瞬誰だアイツという顔をされるものの、ここぞとばかりに容赦なく赤い髪と青灰色の瞳を見せつけると人々はそれだけで指示に従う。


王族、それさえわかれば人々が従うのだからシンボルマークというのがどれだけ大事なのかがよく分かる。


「ノワール。恐らくですがこの状況は……」


「わかってる。お姉ちゃんとパッシオが危ない」


近場の鎮圧が終わるまでにそう時間はかからなかった。一つ終われば波及してこの近辺からこのふざけた状況は終息に向かって行く。


妖精達は暴れてはいるけど統率はされてない。冷静に囲んで叩ければそう難しい話じゃない。


軍に所属する妖精達は、多分真広が対処してるかな。ガンテツおじさんも一緒だし、軍人は軍人だ。一般人より対処スピードは早いと思う。


それよりも大変なのは真白お姉ちゃんとパッシオだ。未来視に映ったあの光景が刻一刻と近づいているのは間違いない。


「何とかなるアテは、ありますか?」


「……多分」


アステラが言うには私になら対処が出来るらしいけど、自信は相変わらず無い。


動いてみたけど、いざ自分に出来るかと言われると全くイメージが湧かない。

魔法はイメージ。絶対に自分になら出来るというその強い心が強い魔法になる。


「手段自体はあるんですね?」


「……一応」


「分かりました。貴女に賭けます。……頼みますよ」


歯切れの悪い返事しかしない私にそれでもアメティアお姉ちゃんは私に任せると言う。


そうするしかない状況なら一縷の望みでも賭けなきゃいけない。

3年前、お姉ちゃん達がそうやって戦い抜いたことを今度は私がやらなきゃいけない。


そのプレッシャーを自覚した瞬間、足が竦む。手が震えて、息が浅くなる。


気が遠くなりそうになる私に、声をかけたのは。


「しっかりしろスミアっ!!」


魔車の手綱を操り、走らせるスタンだった。

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