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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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獣道


私が今いるのは旧王都『サンティエ』でも一番の大通り。露天商や見世物といった商いをするのであればこれ以上にうってつけの場所はありません。


ここにいなければ、他の大通りにいると思うのが普通ですが、復興中とはいえサンティエは元々王都だった街。

妖精界では有数の大都会です。当然街の規模は大きく、それに見合った通りの数があります。


それを一本ずつ探していたら日が暮れてしまいますし、入れ違いとなったら最悪です。


「ちょっとよろしいですか?」


「んー?なんか用?」


そこで私は近くを通りかかった少年に話を聞いてみることにしました。少々口は悪い子ですが、私の呼びかけに応えてくれるあたりいい子なのでしょう。


少年に声をかけた理由ですが、こういうのは子供に聞くのが案外良いものです。


通りでやる見世物、しかも大道芸となれば子供が一番のターゲット。恐らく、ある程度決まった時間で通りのあちこちを移動しているはず。


決まったルーティーンを組めば、もう一度見たいという子供たちが同じところに来てくれる可能性は上がっていきますからね。


「おーい、どうかした?」


「なんかこのねーちゃんが聞きたい事があるみたい」


1人に声をかけると一緒に遊んでいた友達なのでしょう。2,3人の同じ年頃の少年たちがどこからともなく現れて私の周りを取り囲みます。


嬉しい誤算ですね。1人に聞くより複数の人から得る情報の方が有益で効率的なのは自明ですから。


「んで?なんか用?」


「俺らこれから遊びに行くんだけどー」


「呼び止めてすみません。この辺りで大道芸をやっている方を見ませんでしたか?ひょろっとした大柄の魔族の方なのですけど」


「あぁ、それなら見たことあるよ?何、姉ちゃんも芸が見たいの?」


ビンゴ。やはり子供たちの方がこういった遊びや娯楽に関する情報については耳が早いですね。

早速、芸を見たいという体で話を進めて、彼が今どこにいるのかを聞きだしましょう。


「はい、とても面白いと聞いたので。今日はどこでやっているか知っていますか?」


「えー、確か今日はあと商人通りと職人通りじゃなかったっけ?」


「その日の最後に大通りでやるって聞いたけど」


「あー、じゃああと3回くらい?」


「そうじゃね?」


子供たちからの口からは次々と私の知りたい情報が出てきます。やはり、ドゥーシマン氏は一定の時間に特定の通りで芸を披露しているようです。


この調子で彼らからドゥーシマン氏の行動パターンを入手しましょう。


既に監視の目は付いている筈ですが。先日、まさにその監視の目をすり抜けて路地裏へと入り込んでいるのですから、それを増やす意味はあるでしょう。


テニトーレ氏も同じく監視の目をすり抜けて路地裏にいたのですから同じように怪しいですが、個人的に気になるのはドゥーシマン氏の方なので、まずはそちらから調査する次第です。


「どういう順番で回っているかは知っていますか?」


「知ってるけど……、この後観に行くんじゃねーの?」


「実は仕事中なんです。時間と場所が分かっていれば、いつでも観に行けますから」


そう言って懐からレジスタンスに所属している証明の紋章を見せると子供達からはおぉ〜と声が上がる。


レジスタンスに所属している者はその所属がわかりやすくなるように剣と盾の紋章を携帯している。


それは子供達にとって憧れの的のようで、彼らには私がレジスタンス所属だというのは驚くことだったようですね。


「姉ちゃんレジスタンスなんだ!!」


「すげー!!」


「やっぱレジスタンスって皆強いの?」


「バーカ、強くねーとレジスタンスになれるわけねーだろ。パッシオーネ団長とカレジ参謀なんか、めちゃくちゃ強いんだぜ」


ドゥーシマン氏の話はどこへやら。子供達の話題はすっかりレジスタンスについてになってしまいました。


子供だから仕方がないことですね。それに、こうして子供達の憧れの的になっている組織に所属していることが誇らしいです。


「私ももちろん戦えますよ。これでも腕には自信があるんです」


「「「「カッコいい〜〜」」」」


少しだけ魔法を指先で操ってみせると子供たちからは歓声が上がります。


以前、碧お姉様が孤児院で受けていた歓声と同じものです。

あの時は子供達に嫉妬していた私が何ともバカらしく思えました。


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