表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1370/1669

獣道


「こちらも、今のところは異常はありませんね」


1人、ぼそりと呟きながら私はサンティエの通りを少しばかり人混みを避けて歩きます。


職務中とは言え、人混みはあまり好きではありません。距離が近いというのもありますが、こう、見知らぬ人の間合いに入ると言うのでしょうか。


どうにも苦手なんです。でも仕事ですから、人混みに紛れ込まないわけにはいきません。


なのでせめてもの対処として、出来るだけ人の少ないところを縫うようにして進んでいます。


脚を持たないこの身体はこういう時に少し便利でするすると人の合間をすり抜けて行くのにはとても向いています。


代わりに物珍しそうに無遠慮な視線を向けられてしまうことも多いのですが、コレばかりは慣れですね。


「それにしても、碧お姉様はご自分の立場が上がり過ぎるのを嫌うのは何故なのでしょう……」


先程まで一緒にいた碧お姉様について、常々不思議に思っていたことがある。


碧お姉様は魔法少女のリーダー。誰もが一目置くと言ってもいい立場におありでなりながら、あまり自分が持ち上げられることを望みません。


あくまでお姉様がするのは魔法少女を含めた他の方が、円滑に職務をこなせるようにするための仕事ばかり。


時には自らが矢面に立ち、他の方を庇うこともチラホラ。


それこそが碧お姉様の魅力であり、リーダーとして皆さんに認められるための資質なのだと、頭では理解出来るのですが、私はどうにも腑に落ちない部分もあります。


「戦士とは手柄を立ててこそ。だというのに、お姉様ときたら……」


魔法少女は戦士です。お姉様方は違うと言うかも知れませんが、どう考えても戦って何かを得るための職業ですから。


碧お姉様はご自分の実力は大したことはないと毎日のようにおっしゃいますが、ならば私も同じように毎日のようにそんなことはないと言い続けます。


碧お姉様はとても強いです。何より心が強い方だと最近わかって来ました。


どんな人でも受け入れて、良いことをしたら褒めて、悪いことをしたら反省させる。


どこまでも優しい方です。自然と平等に接して、隔たりのない人柄こそがお姉様の強さの秘訣なのかも知れません。


それをよく理解出来たできごとはスバルさん達やレジスタンスの隊員達を指導する様子を見るようになったからですね。


私も指導を受けますが、厳しいです。かなりのスパルタだと何度も思います。

……それでも、真白様の指導に比べれば優しいのですが、それはまた別の話です。


碧お姉様は良いところは良い、悪いところは悪いとハッキリ言った上で、どうすれば改善するのかを非常に具体的に教えてくださいます。


かなり指導者向きなのは言うまでもありません。


真白様の指導はロジックと技術の結晶体のような、ハッキリ言って凡人には到底真似出来ない部類のものも多く、無理難題をふっかけられることも多いです。


恐らくはワザとそのような指導をしているのでしょう。碧お姉様は徹底した基礎の向上を。


真白様は才能の原石を探すために。


それぞれ指導の目的が違うのです。だからこそ、その厳しさや無理難題の度合いも内容も丸っきり違うわけですね。


「もう少し、自らを評価してもらうような方法が幾らでもあるはずですのに……」


碧お姉様は縁の下の力持ちを好んでいるように見えます。それはとても素晴らしいことですし、いなくてはならない存在には違いありません。


ですが、何も碧お姉様がそれをすることはないじゃないですか。

私はもっとお姉様が評価されるべきだと思うのです。


「なんて言ってもお姉様は笑うだけでしょうけど」


簡単に言えば、私が気に食わないだけのワガママを言ってるだけのこと。笑い飛ばされてしまうのは何を見るよりも明らかですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ