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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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二国間会議、開幕


「もうちょっとわがままを言ってもバチは当たりませんよ。というか、仕事で指示を出す時は無茶苦茶言うのに、なんで自分のことになると全部引っ込めるんですか」


「いや、だって自分のことはテキトーに済ませれば良いし……」


「そういうところですよ!!聖人君子も度が過ぎると病みますよ!!」


もう何度も病んでる、と言ったらいよいよ張り手の1つでも飛んで来そうだ。

身体的にも精神的にも自分に無茶を吹っ掛けてきた私はもう何度倒れているか思い出すのも馬鹿らしい。


その度に烈火のごとく怒られては反省し、また同じようなことをするのだ。


だからこそのストッパー役である美弥子さんが私に付きっきりなわけで。


普通なら、諸星の令嬢言えども四六時中使用人を連れて歩き回ったりはしない。

現に千草にも墨亜にも、碧ちゃんにも担当の使用人はいるけど、美弥子さんのように常に付き添っているわけじゃない。


美弥子さんは言うなれば、私の義両親である光さんや玄太郎さんから支持された監視役でもある。


同時に、私の私生活が特段壊滅しているのもある。私の手にかかれば新居も1週間で書籍と書類や資料で足の踏み場も無くなることだろう。


「誇らしげに言ってもダメ人間には変わりはないですよ」


「最近、美弥子さんが辛辣になって来た気がする」


長年の付き合いからか、最近容赦がない気がする。特に妖精界に来てからは美弥子さんは時々辛辣だ。


大抵、私が悪いから何の反論も出来ないんだけどね。皆私のことを良く言うけど、私は大概欠陥人間だと自分のことを思っている。


「そうやってご自身のことをわざと悪く表現するのも真白様の悪癖ですよ」


「もう少しご自分に優しくても、誰も文句は言わないと思います」


「逆にそうやって捻くれられると文句の1つも言いたくなりますね。身内じゃないとこんなこと言えないですけど」


耳が痛い。私も分かっているつもりだけど、中々ね。


性格なんてそう簡単に変わるものじゃない。特に私みたいな頑固者は死ぬまで殆ど変わらないだろう。


っと、これも自分を下げる言い方か。うーん、難しい。無意識だからね。気を張っていたってコレだからどうにもならない気もする。


「さて、話も逸れて少しは落ち着かれましたか?」


「あ、話は戻すんだ」


「当たり前ですよ。真白様はどうされます?」


脱線していった話のおかげで、少しは肩の荷が降りた気分だ。

茹だった頭が冷えて、多少は冷静にモノを考えられる。


思い出すと、やっぱり恥ずかしいと言うかむず痒い気持ちで頬が赤くなる気配があるけどさ。

流石に仕方ないでしょ、コレばっかりは。


それにしても、やっぱり「どう?」と言われてもね。私に出来る事はないと思う。


「私は、現状維持、かな。だって、パッシオの気持ちを知ったからって私からじゃあって声をかけるのは何と言うか、ズルい気がするし」


「わからなくもないですけどね」


「真白様と団長の関係では今さらのような気もしますけど……。それは私たちから見た一方的な意見ですもんね」


「団長待ちかぁ。でもまぁ、あの様子だと前よりはマシそうですもんね」


私が選んだのは現状維持。パッシオの気持ちを一方的に知ってしまった以上、私から動くのは、なんて言うか反則のような気がしてしまうから。


だってパッシオがもし、私にアプローチをかけてくれた時、私だけが優越感のような、一方的に有利な状況。

絶対に断られないのがわかったから動くなんて、なんかダメだと思う。


勝負事ではないのは重々承知だ。勝ち負けとかそういうものじゃないんだから、何したってホントは良いのかも知れない。


「とりあえず、寝ようか」


ただ、上手く言えないけど知ってしまった以上は私から動くのはとてもアンフェアな気がする。


嬉しいし恥ずかしいし、ありがとうとも思うけど、私からは今は伝えられない。伝えちゃいけない気がするから。


他にも苦しい気持ちは沢山ある。私はやっぱり、自分に自信がないのか、パッシオと自分が釣り合わない気がしてならない。


色んな意味で中途半端な自分が、彼と一緒にいていいのか。


少し前からあったそんな葛藤が心の中で大きくなっていく気配を感じながら、私は一足早く床に着くのだった。

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