二国間会議、開幕
食堂と言っても、食事の習慣が少ない妖精界ではそのために用意された部屋は正直無いと言って良い。
特にこのブローディア城の主人は代々妖精なわけで、食事の必要がない妖精が住まう城となれば必然的に厨房や食堂は無い。
あっても使用人の一部が使う比較的小さな部屋になってしまう。
ブローディア城もその通りで、この人数を収めるほどの食堂は無い。そのためメインホールを会場にした食事会が開かれることになった。
いつも通り、ビュッフェ形式だ。大喰らいの魔法少女と妖精界生まれの面々に人間界の食文化に触れてもらうにはこの形式は非常に都合の良いスタイルだ。
「まぁ、美味しいのね。真広ちゃんがこっちの料理は味気がないと言っていた理由がよくわかるわ。見た目も華やかで、良いわねぇ」
「家族団欒となると、また違った形式になります。今回のはいわゆる大人数、パーティー用ですから」
「食卓を囲むというカタチね? 今度は是非そのカタチで食事をしましょう。貴方達を立派に育ててくれた諸星家の方々にもご挨拶をしないと」
私はノーヒリスお祖母様と一緒に料理に舌鼓を打っていた。
お祖母様も妖精らしく、あまり食事の経験が無いようだけど楽しんでもらえて良かった。
担当の料理人の人達が食事自体に不慣れな妖精が多いことも踏まえて作ってくれた料理のほとんどはひと口サイズで食べられるものと皿ごとに分けられているモノに分けられているという徹底ぶりだ。
因みに料理人の中には3年前の『ノーブル』とリヴァイアタンとの戦いで共にしたファースト世代の元魔法少女、『調理の魔法少女 ケイネラ』さんもいたりする。
会議が始まる前に挨拶をしに行ったのだけれど、変わらず元気そうだった。
「失礼、少しお話出来るかな?」
「リアンシさん。どうかしましたか?」
ノーヒリスお祖母様との食事を楽しみ、いずれ諸星家の人達も含めた家族団欒のカタチを約束する。
その未来を楽しみにしながら食べ進めているとリアンシさんから声をかけられた。
珍しい、というかまさか声を掛けられると思っていなかったので少し驚いてしまう。
正直、さっきの会議の問答。特に王として再びミルディースを興すことについて、私が否定的な意見を出したことで嫌われただろうなと思っていた。
「さっきはすまなかったね。君の事情も考えずに詰めるように話をしてしまって」
「いえいえ。私の不甲斐なさも原因の1つです。頭で先に考えてしまって、勢いで行動するのはどうにも苦手で……」
「その割には突拍子もないことを度々すると聞くけどね。まぁ、それは君なりの打算があるってことなんだろうね」
リアンシさんの口から出て来たのは謝罪の言葉だった。どうにもさっきの会議の語調の強さとか、こちらの事情を鑑みなかったことについて。
意外とそういうことに気が利くというか、罪悪感を感じるんだと思う。すごく失礼な話だけど、どちらかと言えば自分勝手なタイプだとばかり思ってたから。
「紫に謝って来いってね。僕自身も言い過ぎたとは思ってるし、プリムラ姉さんにも怒られるだろうしさ」
あぁ、成程。紫ちゃんに言われてか。本人的にもバツが悪いようだし、何より母にはどうにも頭が上がらないらしい。
「姉弟のように育ったのよ。やんちゃな弟達を叱る姉役がプリムラだったわ」
「昔の話はやめてほしいな……」
ノーヒリスお祖母様からすれば姉弟のような関係だったそうで、それなら確かに頭も上がらないだろう。
昔は王族同士で仲が良かったとも聞いているし、恐らくリアンシさんは……。
「お兄さん。……今の帝国を収める帝王レクスを、貴方は」
「……噂通り、頭の回転と察しの良さがピカイチだね。そうさ、僕はその昔兄のように慕っていた帝王レクスを許すことが出来ない」
彼が私に王として立ってくれることを望む理由がこれで合点がいった。
彼は取り戻したいのだろう。かつての日々を




