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女学生失踪事件

くすくすと笑ってる俺の様子に気づいて、振り返ったルビーが不満そうに口を尖らせる。


「ちょっと何よ、泣きそうな顔してたと思ったら今度は私の事見て笑ってるとか」


「だって、カッコつけ過ぎ」


キメ台詞までしっかり決めちゃって、なんだかなぁ。

まぁ、怒ってくれるのはありがたいことだ。それほどまでに大事に思ってくれている事の証明。


おかげで恐怖も暗い考えも吹き飛んだ。だから何だ、皆がいるし、結局連中は小出しでしか手出しが出来なかった。

郡女の生徒が狙われたタイミングだって、学校内では無い。ほとんどが通学や帰宅の途中。あるいは自宅で一人でいるタイミングだ。


相当に狙いをすませてないといけないし、ホイホイと行えているものじゃないのは、冷静に考えれば頭に浮かんでくる。

というか、奴はそもそも市街で、つまり街中で俺を見つけることが出来ていないと言っている。そりゃそうだ、俺は街中には出ていないし、移動は常にフルスモークの車。市街で見つかりようもない。


元から学校内にいる間に監視等や隠れの魔法少女を探すことはしていないのかも知れない。俺たちの知りえている情報で、被害にあった子達がいなくなったタイミングはどれもこれも登下校時や、一人で行動していた時ばかりだ。


そうだ、よく考えればパッシオですら、隠れの魔法少女を探すのには、直接身体に触れるくらいの事をしないと分からないんだ。遠目から監視、観察してそれらが分かるようなら、今頃変身前の俺たちが全員襲われている。


奴の言ってることは半分くらいハッタリなんだ。それに、俺のASD(急性ストレス障害)の症状が過敏に反応して被害妄想を膨らませただけ。でも大丈夫、今は落ち着いてる。皆がいる。怖くなんて一つもない。


それに、俺の友達に手を出したんだ。ルビーと同じように、俺だってアイツを許せない。


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫。逆にアイツを一発殴りたいくらいよ」


「ノワールもぶんなぐりたい!!」


「よっしゃ!!全員問題ねぇな!!」


「構えてください、明らかに魔力を練り上げています!!」


「他の雑魚共もぞろぞろ来たわね!!」


「行くよ、パッシオ!!」


「きゅい!!」


全員で声を掛け合い、通路からまたわいて来た、今度は武装も施している男たちも現れて、本格的にピリピリとした戦いの雰囲気にエントランス内が包まれる。


あの男もどうやらピンピンしているらしい。吹き飛ばされた方向から魔力を練り上げる気配がヒシヒシと伝わって来る


「中々痛烈な手土産をいただいてしまったな。こちらも、出し惜しみなく行かせてもらおう」


Slot(スロット) Absorber(アブソーバー)……。Mother(マザー)……】


改めてようやく姿を現した奴の手には、見たことのない道具が二つ握られていて、電子音と共に受け側のアイテムにもう一つのアイテムが差し込まれる。


その瞬間。奴から漏れ出す魔力が一気に跳ね上がり、俺たちの表情が一斉に引き締まる。魔法少女のそれとほぼ変わらない魔力量。

先ほどまで倒したチンピラもどきと、周囲にいる武装した連中とは格段に上の魔力を突然その体に宿らせた男に、全員が全員、驚愕の表情を浮かべていた。


ただ、俺だけは魔力以外にも、別なことに意識を向けていたのだが


『――ろ。ま――な―っ!!』


「……?」


『に――。――が――から……!!』


声が、明らかに誰か、女性の声が聞こえる。切羽詰まったかのような悲痛な声音が、確かに俺の耳には聞こえているのだが、ノイズが入った感じになっていて殆ど聞き取れない。


声の主が女性で、何かを訴えかけているかのような、それだけしか分からない。ただ、俺はこれを聞いたことがある。どこかで、絶対に。

漠然とだが、確信の持てることはそれだけ。そして不自然なことはもう一つ、俺には明らかに聞こえているこの声が、他の皆には聞こえている様子が見受けられないことだ。


声に対して、誰もリアクションをしていない。目の前に集中しないといけないのは当然なのだけど、リアクションの一つも無いのは、普段の彼女たちからすれば不自然だ。


「パッシオ、何か聞こえる?」


「きゅ?」


試しに、パッシオに声をかけてみたら、顔をしかめられて集中しろよ的な視線をぶつけられた。

聞こえていないらしい、恐らく、ここにいる俺以外の全員がこの声に気づいていない。


『に――な――っ!!』


「アリウムさんっ!!」


何かを警告するような、そんな声音。一体どこから、誰が、そんなことに気を取られていると、アメティアから怒号が飛んできて。


反射的に張った魔力障壁にカキンっと何かを弾く衝撃と音が伝わって来た。


謎とフラグはドンドン足していこうな(やりすぎ注意

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