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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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屈せぬ光、変わらぬ白


回復が予想よりも早い。ブラザーメモリーは完全に意識を失い、スルトメモリーも私が弾き飛ばした時のダメージで一時的に動けなくなっていたはずだ。


スルトメモリーはともかく、ブラザーメモリーがこの短時間で復活してくるのは私の予想から全く外れた事態だった。


「治癒魔法を弾丸に乗せたのね」


「オラァッ!!」


器用な真似をする。体格の良さを活かした重量級の拳をやり過ごしながら、ルミナスメモリーの応用能力とそれを可能にするだけの思考能力に舌を巻く。


治癒魔法は遠距離から使うのには向いていない魔法だ。


治療というのはどのような技術であっても、患者の容態を確認しながら行うもの。

遠く離れた場所から治療は行うものじゃない。


これは私を含めた治癒魔法を扱う者達の鉄則だ。だが、確かに気絶している程度なら、体力を回復させる程度の簡易な治癒魔法で回復を見込める。


ルミナスメモリーは当たらない弾丸を無駄撃ちしていたのではなく、その中に治癒魔法を込めた弾丸を混ぜ込み、仲間の回復に充てていたというわけだ。


これはそんな簡単なことではないし、医療人である私では思い付かない奇策だ。


思わず笑みが溢れる。ホント、中々楽しませてくれるじゃない。


だが簡易な治癒魔法では治療は完璧ではない。体力が回復しただけで、外傷は治っていないはずだ。特にダメージの大きいブラザーメモリーには戦闘の負担は大きいだろう。


「させない!!」


ブラザーメモリーを再び戦闘不能にすべく、足技を振るおうとするとすかさずスルトメモリーが盾を携えて飛び込んで来る。


しっかりと受け止められた足を更に軸にして盾目掛けて2度3度と蹴り込んでいき、体勢を崩すための布石にする。


「盾の使い方がなってないわよ!!せめてシールドバッシュやパリィは習得しなさい!!」


〆にそろそろルミナスメモリーによる障壁操作の妨害も無くなって来たところで、盾を下から突き上げて体勢を崩させ、そのまま障壁の中に閉じ込める。


盾を決して手放さず、それでいて悔しそうな表情をしているスルトメモリー。難しいわよね、盾を武装として使うのって。


守りの武器で攻めを行わなきゃならない難しさは誰よりも知っている。障壁のような自由自在さは無いだろう盾だが、物体的な質量を持っているからこその強みもある。


使いこなすのは大変だろうけど、使いこなせれば攻防一体の強力な武装だ。本人の要望があれば、後でみっちり講義をしてあげよう。


「オオオオオオオッ!!」


「体格を理解したパワープレイは間違ってないけど、それ以外もしっかり覚えなさい!!」


体勢を崩されたスルトメモリーを守るために前に出て来ただろうブラザーメモリー。彼は自分を犠牲に誰かの前に立つ事が多い。


その誰かの為にという精神は素晴らしいとは思うけど、そこから先が伴わなければ時間稼ぎにも使えない。


この2人に必要なのは技術だ。誰かに師事することでこの2人もまた高い実力を発揮することが出来るだろう。


振り下ろされた拳を障壁で雁字搦めにして、押すも引くも出来ないようにする。これだけでインファイターで肉弾戦以外の攻撃手段を持たない彼は戦闘不能だ。


【必殺!!】


さぁ、時間は与えた。何をみせてくれるのかしら?ルミナスメモリー。


これが後にも先にもラストチャンス。仲間の体力的にも、本人の魔力と怪我の具合を見てもこれ以上は続行しても良くないだろう。


審判役のパッシオに目をやると小さく頷いてくれる。彼もこれが最後のチャンスだと判断しているようだ。


「『ミラージュショット』!!」


放たれた無数の光弾が、障壁を妨害するためにばら撒かれた小さな光の魔力にぶつかって、不規則な動きをしながら私に向かって来る。


真正面からの攻撃は防がれてしまうなら、タイミングをずらして防御や回避自体を難しくしてしまえということか。


申し分のない発想だろう。一度防御や回避が間に合わなければ、そこから一気に集弾させることもおそらく可能だ。

一撃の威力よりも、制限と削りに重きを置いた戦術は間違っていない。


私が、障壁魔法のエキスパートという点を除けば、だけど。


「――っ!!」


花びら状の障壁魔法を再度展開。大きさを操作することなく、無数にある光弾を小さな障壁で1つずつ処理をして行く。


悪くない、決して彼女の選択は間違ったものではなかった。ただ、届かなかったというだけだ。

これで試験は終わりだ。彼女達の怪我を治療しないと、と意識を戦いからいつもの調子に戻した時だった。


「隙あり、です!!」


正面にいたハズのルミナスメモリーの声が後ろから聞こえて、振り返った時には頬を掠めて光の弾丸が通り過ぎていた。


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