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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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屈せぬ光、変わらぬ白


「貴女達の勝利条件は1つ。私に一撃でも有効打を与えなさい」


旧王都サンティエ囲う外壁の外。広い草原と畑が広がる内のひと区画を借りて、私達は向き合っていた。


私はパッシオを伴って、昴さんはリベルタさんとリリアナさん。そしてチナちゃんとそれを通してこちらを見ているピットさん。


離れたところには美弥子さんを始めとした野次馬が少し、だ。碧ちゃんやサフィーリアさんの姿も見える。

カレジは仕事を優先したみたいね。


「一本勝負。時間制限無し。貴女達が降参するまで付き合ってあげる」


「随分とこっち有利じゃねーか」


「それだけ差があるってことよ。足りないくらいだわ」


文句、と言うよりは不公平すぎるという指摘だろうけどそれですら足りないだろう。


とは言えこれ以上は変身しないくらいだ。流石にそれはバカにしている。


彼女に諦めてもらうには圧倒的な差というのを見せつけることも必要だろうしね。


「異論はあるかしら?」


「ありません!!」


「そ、じゃあ始めるわよ。パッシオ、審判よろしく」


「わかったよ。あんまり危ないと思ったら止めるからね」


やる気満々という感じの昴さん。そのやる気がどこまで保つかが見ものね。


パッシオに審判を任せ、私たちは距離を取る。合図は無し。変身がその合図の代わりになるからね。


「っしやぁ!!行くぜ大将!!」


「お手伝いします!!」


「よろしく、皆!!」


「「「『思い出チェンジ』!!」」」


左手首に巻かれた思い出チェンジャーという変身アイテムで、彼女達はその姿を変える。


魔法少女とは全く違った変身の方法だ。自らの魔力を纏い、魔力の防御膜を張り衣服にも変化をもたらす魔法少女の変身は統一性はない。


彼女達の変身は違う。メモリーから魔力を引き出し、それを同じ術式を通して見にまとう。


本人に魔力が無いからこその方法で画期的だ。ただの人間にSlot Absorberで魔力をポン乗せするよりも特に防御力と身体強化という点に重きを置かれ、恐らくは変身しただけでC級魔法少女程度の能力を得ることが可能だろう。


これをSlot Absorberの改造のみで対応し切るピットさんの技術力の高さには舌を巻く。


実は今、ピットさんにはサンティエに来てもらうように交渉を重ねているところだ。


彼の技術力は絶対に今後の戦いに役立つもの。是非、『魔法技術研究所』と協力して欲しい。


っと、そんなこと考えてる場合じゃないわね。素人でも、本気は本気。こっちも適当にやってたら失礼だわ。


「チェンジ。『フルール・フローレ』」


魔法具『イキシア』を構え、変身のための口上を静かに口にする。


花のような魔法陣に身を包んで現れたいつもの純白の姿。気を引き締め、ふぅーっと深く息を吐いて戦いのための思考に切り替える。


「守護の力で撥ね退ける!!『シルトメモリー』!!」


「自由の翼で悪を討つ!!『ブラザーメモリー』!!」


「光の力で闇を祓う!!『ルミナスメモリー』!!」


「3人揃って!!」


「「「『メモリースターズ』!!」」」


メモリースターズ、か。統一された衣装はまるでアニメから飛び出して来たスーパーヒーロー。


1人より2人。2人より3人。C級魔法少女程度の能力を持てば確かにB級の魔獣くらいなら何とか出来るだろう。


画期的とも言える発明。彼女達には大きな力だ。


「……魔法少女アリウムフルール」


ただし、私達が相手にしている巨悪はその程度の力ではどうにもならない。

魔法1つであっさりと死んでしまう。まるで道端に咲いた小さな花が踏み躙られるように、何の意味もない命をすり潰される。


そんなことは、あってはならない。だから、今は心を鬼にして。


「ーーあなたを、守りに来ました」


彼女達の覚悟を砕く必要が、私にはある。


それがどれだけ無慈悲で酷いことか、わかってる。でも、彼女達に戦えるかもしれないと思える希望を潰さなきゃ、きっと彼女達は立ち上がって来るから。

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