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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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3組の謁見者


「まぁ、はい、そうですね」


事実として間違ってないから否定はしないし出来ないけど、言い淀みはする。


そりゃそうだ。両親は『ノーブル』に多額のお金を出資していたらしくてかなりのめり込んでいた。


当時の私はまだ小学生だったから何も知らなかったけど、怪しい宗教に出入りしているような人の子供が学校でなんて言われるかなんて、ねぇ?


ただでさえ私自身が自分の模倣という無駄に真似するのだけは上手い才能があったせいで同級生からやっかまれてたのに、更に両親のその話だ。


私はますます周りから浮いた。


クラスから浮くような変なヤツは小学生のイジメの格好の的。色々やられたもんだよ。


「別に両親が元『ノーブル』だからと言って何をするでもないがな。祖母に引き取られたことも知っている」


「お婆ちゃんには感謝してます。あのまま家にいたらどうなっていたか」


「部下が調査に行った時も協力してくれたのはお祖母様だったよ。昴のことをとても心配していた」


お婆ちゃんには迷惑をかけてばかりだ。宗教や活動家のようなことばかりして、他人に迷惑ばかりかけている両親ほどではないにしろ、おんぶに抱っこだもん。


いつか恩返しをしたいけど、どうすればいいかもわからないしさ。


はぁー、と溜め息を吐くと番長さんがくすくすと笑って「昴でも溜め息を吐くんだな」なんて言われる。


私だって吐きたい時はありますよ。特に自分と家族のことでは。


「さて、ズバリ言うぞ。帰りたくないだろ?」


「……」


それでいていきなり核心を突いて来るんだから困る。容赦のないというか、手心を加えないというか。


ズバズバと物を言って来るのは番長と言われるだけはあるというか。


そういう人を見抜く力に優れてて、だから『魔法少女協会』のトップに立っているんだなと理解させられる。


「両親とも上手く行ってない、祖母の家に引き取られて地元を離れてから進学した高校ではわざと成績を落とすくらい周りを気にして生活している」


「遠慮なさ過ぎて笑えて来ますけど」


「毎日誰かの顔色をうかがってる生活には飽々してた中でお前は妖精界に来た、さぞや羽を広げて生活出来ただろう?」


本当に容赦がない。自分の汚い部分というか欲深い部分を赤裸々に語られ、見抜かれていることに驚きよりも諦めが来る。


この人にはどうにも叶わないんだろうなぁ、というのを私はこの場で嫌というほど押し付けられている。


「リュミーという妖精といつ、何処で出会ったのかまでは分からなかったが、唯一の友の生まれ故郷というのにも興味が沸くだろう。少なくとも、ここで出会った人達との方がお前にとって居心地のいい場所。そうだな?」


「……そう、ですね」


事実だ。人間界にいるよりよっぽど気楽にいられるこっちにいたい。


色々屁理屈を捏ねてこっちにいる理由を探ってた。もやもやするなんて不明瞭なフリをして、自分で自分を知らないフリをしていた。


そんな自分を突き付けられて、心底嫌になる。きっとそんな奴をここには置いておけない、そういうことだと思う。


「なら掴み取れ。お前自身の意思と力でだ」


「へ?」


そう思っていたのに、番長さんから出た言葉はまるで真逆だった。


帰れと諭すでもない、掴み取れという言葉に私は思わず目を丸くする。


「家の事情やしがらみに悩んでいたのは何もお前だけじゃない。こっちの世界に来ている魔法少女のほとんどがかつては家庭の事情やしがらみで悩みやトラブルを抱えている奴らばかりだった」


その表情は大胆不敵な笑み。挑戦的で私を挑発するかのよう笑顔。


「だが連中はそれを自分達の意思と努力で解決した。お前もそうしろ、昴」


ドクン、と心臓が強く鳴る。そうして良いのかという気持ちが出て来るけど、きっと番長さんはそういうのも全部引っくるめて乗り越えてみせろと私に言っている。


「諸星 真白に、アリウムフルールに直談判して来い。アイツが1番お前の障害だ。あの堅物をお前が納得させられれば、私達がお前を鍛えてやる」


ごくりと生唾を飲み込む音がやたらと大きく聞こえた。

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