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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
蛮族エルフと解けない誤解

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欲に溺れた守り人


ファルベガの手に掲げられたメモリー。恐らく、中身の入っていない空のメモリーが巨人に近付ていると思う何かに向けられる。


「やべぇ!!いるのかよそこに!!」


「ブラザー!!巨人の近くに!!」


それを見て、2人もそこに何かがあるのを悟ったらしい。どうやら、2人は何かがあるというのを感じていない様子だ。


実際、感覚的に感じ取っているのかどうかは私には知るよしがないが、少なくとも私の目には2人とも感覚的に捉えているわけではなさそうだ。


それでも経験則で何かがあるのはわかっているらしく、私達を抱えて飛んでいるリベルタがその格好のまま巨人の近くまで飛んで行く。


「アアァァァッ!!」


「うおぉっ?!あっぶねぇ!!」


「その五月蝿い羽虫を叩き落としなさい!!ルミナスメモリー以外に興味はないわ!!」


巨人に近付くと、その巨体な腕をゆっくりとではあるがぶんぶんと振り回す。それだけで凄い衝撃と風圧で、リベルタはそれだけで体勢を崩しかける。


私達を抱えて飛んでいるのだから、動きも遅い。巨体の緩慢な動きとは言え、一撃でも当てれば十分過ぎる攻撃力を誇っているだろう。


何とか避け続けるリベルタだが、堪らず距離を取る。息も上がり始めたし、そろそろ飛ぶのは限界だ。


「とてもじゃないけど近付けないぜ!!」


「ブラザー!!私を投げて!!」


「はぁっ?!」


何を言い出すのかと思えば、スバルは私の弓と矢を引ったくる。


驚きで固まる私達を早く!!と普段の様子とはまるで違う覇気の強さで圧倒され、私達は反論する余裕もないまま、彼女の言う通りにする方向に話が進んでいく。


「抱えている人数は少ない方が速く飛べるでしょ?」


「いや、それはそうだけどよ?!大将はどうすんだ!?」


「後でキャッチして」


「んな無茶苦茶な?!」


リベルタが必死に止めるが、逆にスバルに言いくるめられ、結局やることが決まる。


頭を抱えるリベルタがどうにかすること前提の作戦。無茶苦茶だが、それ以上の方法も時間もないのは事実でどうにでもなれとやけっぱちになっている。


「リリアナさん。これを」


「コレは?」


「切り札ですよ。始祖様の魂をメモリーに呼び込んでください」


「いや、どうやって……」


時間がないのであとはお願いしますと押し付けられた妙な道具。

よく見るとスバルとリベルタがそれぞれ左の手首に巻いているもので、そこにメモリーが挿さっているのが見える。


これがメモリーから魔力を得る道具、ということか?わからないがとにかくやるしかない。


スバルの言う通り、時間がないのだ。


「行くぞ大将!!」


「思いっきり上だよ!!」


「おぉうら、よっさぁぁっ!!」


空中で勢いよく宙返り。その勢いでスバルを空中へ大きく投げる。


急にぐるぐると回ったせいで私は私で意識が一瞬落ちそうになるが、なんとか持ち堪え、何とかすると言うスバルの言葉を信じ、抱え直したリベルタの腕の中で始祖様の魂と思われる何かに近付く。


「もうちょっと右だ!!」


「おうよ!!」


「グルァアァァっ!!」


1人荷物が減ったことで、リベルタの飛行スピードは確かに上がっている。


振り抜かれた巨人の腕を潜り抜け、私の指示で何かの側まで向かう。


「今更どうこうしようったって、遅ーー」


状況は決定的だったと言って良かっただろう。ファルベガからしてみれば完全にチェックメイト。自分の勝ちが揺るがない絶対的優勢。


目的を達成し、後は目の前にいる有象無象である私達を蹴散らしてお終い。それだって巨人を使えば容易く出来る。


その余裕を、油断を狙う策士がいなければ、の話だが。


ファルベガがメモリーを掲げていた右手。その服の裾に矢が突き刺さる。

豪奢なドレスを着た彼女はその右腕が急に引っ張られた事で体勢を崩す。


そこへ続けザマのもう1矢。それは確実に右手のメモリーを捉え、破壊とは行かずともヒビを入れてやるには十分な威力。


指先で掴んでいたメモリーはポロリとファルベガの手から落ち、地面へと転がって行った。


「……ルミナスメモリーぃぃぃっ!!!!」


上空を見て、ファルベガは吠える。スバルの姿を見つけているわけではなさそうで、まるで違うところを向いて叫んではいたけれど、あの攻撃がルミナスメモリーと呼ばれているスバルの攻撃なことだけは間違いない事実。


「始祖様!!どうか、力を貸してください!!」


こうして得た一瞬の隙。躊躇わず、私は空のメモリーを掲げ、何かがそこに向かってくるのを感じていた。

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