表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
公国の領主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1256/1675

帝国の策


帝国からの宣戦布告ならびに首都急襲は無事を無事に切り抜けた翌日。公国の行政は大混乱に陥っていた。


帝国の空から行われた攻撃は妖精界では革新的な手段であり、公国の樹王種を用いた感知ネットワークの穴をついた見事な作戦だったと評価出来る。


同時に、公国の対応も混乱の中であっても素早く機能したと言って良いと思っています。


初撃こそ、私がいたからこそ防げましたが、そこからの反転攻勢を仕掛けるための準備は見事なもので、帝王レクスがあと10分あの場に留まっていれば、引き連れているグリフォン隊に大きな打撃を与えられる体制が整う直前でした。


被害はほぼ0。避難時に転倒などをして怪我人が出た程度で、街や建物、樹王種には被害は出ていない。


ほぼ完璧な迎撃だったと言えるでしょう。そこは評価すべき点です。


ですが、それは政治や軍事の立場から見た時の話。


「帝国が攻めて来るんだろう?! 軍は何をしているんだ!!」


「公国の防衛力は帝国よりも優れているんじゃなかったのか?!」


「首都に自由に出入りされた無能!! お前らは何をしていたんだ!!」


民間人からすれば、安全であったはずの日常が脅かされた事実だけ。


その不満と不安は一瞬で爆発し、直接行政を担う役所を中心にデモのような形で人々が殺到。

好き勝手に文句を言っている様子が眼下に広がっていました。


「妖精には自分勝手な人が多いとは聞きますけどね……」


苦情を言っているのはここから見るに妖精の方が多いように見えます。


役所に文句を言ったって仕方がないこと。そんなことで現状は変わらないし、被害もほぼ出ていないんですから、そう大騒ぎする必要はないんですけどね。


ため息が出るのは、私が政治側にいるからなのでしょうか。


「何処にいたって文句を言う奴は言うさ。人間界にも山ほどいる」


「そうは言いますけど、対応されてる方は大変ですよ。それにこうなれば公国はレジスタンスと足並みを揃えるのは難しくなって来ます」


まんまとやられた。としか言えません。帝王レクスの本当の目的は公国の政治の中枢ではなく、国民への精神的な揺さぶりでしょう。


こうなれば領主のリアンシとその周辺の大臣達言えども無視出来ません。


国民の声を無視すれば官民の分断を招きかねませんからね。少なくとも戦時中にそうなるのは避けるのが鉄則でしょう。


こちらが一致団結する前に崩しに掛かる。戦争が上手いですね、帝王レクスは。


「如何いたしましょう。一度公国を離れますか?」


「微妙だな。レジスタンス側の俺らがここにいる事で不都合が起こる可能性は否定は出来ん」


ガンテツさん、真広さんとの話し合いの場では当然、公国を離れるかが話題になります。


帝国は当然ですが、防衛のためのリソースをレジスタンスに回していたという根も葉もない噂がもし立った場合、私達の立場は微妙なものになっていきます。


役人達からはそうでもないでしょうが、国民達からの風当たりは強くなる可能性はあります。


こうやって城でもある樹王種の内部にいることにも文句を言う人が出て来るかも知れません。


そうなるとレジスタンスというだけで周囲の協力が得づらくなります。

必ずそうなるとは限りませんし、この辺りは領主であるリアンシの腕を信じるしかありませんが……、不安ですね。


あの後一度も顔を合わせてませんから。


あのリアンシが私を隣にしてもずっとムスッとした顔で黙っているんですよ?

気が気ではありません。流石の私も心配になります。


帝王レクスからはかなりボコボコにされましたからね。身体的にも精神的にも。


「だけど、ここで公国との太いパイプを失うわけにはいきません。何処かで落とし所をーー」


「君達が気に止むことは何も無いさ」


ともかく待機して、それから。まずは公国の方針が出てからにしようと提案しようとした時、リアンシの声が後ろから聞こえます。


「この状況は僕が何とかする。君達レジスタンスは今まで通りにしていてくれ」


「……リアンシですか?!」


振り返った先にいるのは長く伸ばしていた赤い髪をバッサリと短くした上に、身長や顔付きまで変わったリアンシの姿でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ