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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
公国の領主

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帝国の策


監視用の映像を空を見上げるように操作する。空は至って快晴。雲一つない青空と煌々と輝く太陽がある。


本当なら、肉眼で見た方が良いのだろうけど、樹王種のてっぺんに行くとなると一苦労だ。

行くだけで15分はかかるだろう。すぐに確認したい手前、今回は映像での確認とすることにし。


樹王種の真上。遥か高い位置に幾つもの黒い点がある事に気がつく。


ぞわりと、背筋が凍る。何を考える余裕もない。頭上を見上げ、『紫水晶の片眼鏡』を起動。


樹王の頂上。それよりも少し上までの計算を多少雑にだけど済ませ。


「『鉄壁』!!」


その場で思い付いた言葉を紡いで『詠唱魔法』を発動。同時に轟音と衝撃が鳴り響くことになった。


「【敵襲!!総員配置に付け!!】」


間髪入れることなく、音属性の魔法を利用し、適当に大音量にした声で首都全体に緊急事態を知らせる。


臨時の対応はこのくらいだ。あとは現場に任せる。ガンテツさんにアイコンタクトを送ると、頷きで返ってきたので問題はないだろう。


すぐに管理室を飛び出し、最短ルートで外に出る。


攻撃は樹王種を狙ったものか、住居の並ぶ根元には被害は及んでいないようだった。


「ユカリ様!!」


樹王種の幹にあたるここから、葉の生い茂る上まで一気に駆け抜けようとすると、近くにいたのだろう。


役人の1人が声をかけて来る。私の身を案じているのか、状況の整理が出来ていなくて、指示を求めているのかはわかりませんが生憎彼の話を長く聞いている時間は無いでしょう。


手短に要点だけを伝える事にします。公国の役人であるなら、それで十分です。


「帝国からの攻撃です!!空中戦に対応出来る者をかき集めて!!民間人の避難指示も!!」


「わかりました!!」


「リアンシのバカにはしっかり指示を出すように言っておいてください!!」


「ユカリ様もご無理をなさらぬよう!!」


やり取りはそれだけ。彼からの労いの言葉を背で受けながら、空中を飛び、枝葉の中を最短距離で突き進んで行きます。


視界が開け、空と太陽だけが見える位置までやって来た私は見上げた先にいる帝国兵と思われる存在に目を向けます。


『紫水晶の片眼鏡』による拡大機能を用いて敵の姿を正しく認識して、相手が帝国兵であることを確認。


赤に剣と王冠の紋章。間違いなく帝国の国旗と兵装です。


彼が乗りこなしているのは……、鷲竜(グリフォン)でしょうか?


恐らくその類の亜竜と呼ばれる小型ドラゴンのはずです。

ドラゴンは妖精界からは長らく姿を消しているという話でしたが、小型のドラゴンはその例から外れるということなのか。


検証が必要な情報ですね。朱莉ちゃんによれば、帝国は魔物を集めている様子があるとのことで、ドラゴンに関してもあの隷属紋で従えようとしていたという話も聞きましたし。


仮にあのグリフォンが隷属紋によって従えられているのだとしたら、私達としてははらわたの煮えくりかえる思いになります。


アレだけは許されない魔法だというのは私たちの共通認識です。


「……!! 『迎え撃て』!!」


彼らを睨み付けていると再び魔法が落とされる。


指向性のない、自由落下するタイプの簡素な魔法だ。

迎撃するのはさほど難しくなく、私が放った魔法にあえなく撃ち落とされ、中空で爆発四散している。



だけど成る程、わざわざ長距離を飛ばすための複雑な術式とそのエネルギーにリソースを割かずに済むので攻撃力に全振り出来る。


代わりに移動手段を要求されるけど、それさえクリアすれば防空、制空という概念が薄い妖精界においては革新的な戦術なのでしょう。


ですが、残念ながらこちらには人間界から来た私達がいます。


数十年単位の戦争を世界中でやるようなバカ種族が覇権を握るような世界ではありますが、その分の含蓄というのは妖精界で有利に働くことも多いですね。


「驚いた。まさかこの策に気付く者がいるとはな」


次々と迎撃され、不発に終わる帝国の攻撃。それが一呼吸置かれた時、拍手と共に私に向けた声が聞こえて来た。

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