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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
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翌日の気分は憂鬱だった。布団に入ってから考え事を始めてしまったせいで、眠れたのは3時間くらいだったと思う。

それでも寝れただけマシだろうけど、それでも睡眠不足による気怠さは睡眠以外で中々取れるものじゃなかった。


「うー、眠い……」


「ちょっと大丈夫?寝といた方が良いんじゃないの?」


「ただの寝不足だからへーき」


欠伸を噛み殺しながら、今日も案内された役所の一室で過ごす。今日はヴィーゼの街の防衛の他に、物資インフラに関する会議と、情報通信ネットワークの構築についての話をする予定だ。


朱莉がお世話になっている竜の里ともほど近いこの場所は重要な拠点となるだろうから、その辺しっかりしないとね。


「ふわぁ……」


それにしても眠い。カフェインで誤魔化したいけど、翼を生やすものも怪物も妖精界には無いから厳しい。コーヒーくらいならあるかも知れないから後で美弥子さんに聞いてみよう。


ただ、美弥子さん紅茶派だからなぁ。人間界から取り寄せた物品には混ざっていても、ヴィーゼの街にまでは持ち込んでないかもね。


「寝不足って、何してたのよ」


「ちょっと考え事。まぁ、なんていうか将来の事?」


嘘は言ってない。本当の事も言ってないけど。


実際考えていたのは、将来のことというよりは自分とパッシオがどんなに考えても恋愛的なパートナーになることはないだろうな、という想像だ。


想像は想像だけど、大よそ正解だろう。パッシオの考えることは大体わかる自信がある。同時にパッシオも私がなんて考えているかなんてきっとお見通しだ。


お見通し、なんだよねきっと。小さくため息を吐くと朱莉は笑いながら茶化して来る。


「なによ、パッシオとの夫婦生活でも妄想してたの?」


「違うってば。それに、今の私達に恋愛なんてしてる暇は無いよ」


いつもだったら鼻で笑って返していたような冗談だった気がするけど、朱莉の冗談がチクリと胸に刺さる。


朱莉は悪くない。彼女は心から私達の事を応援してくれているだけだ。朱莉は既に普通から逸脱はしている存在だけど、その感性は割と普通の女の子に近いと思う。


恋愛をした相手と幸せになる妄想をするのは、まぁそこまで珍しくもない事でもない、と思う。

私はしたことが無いから分らないけどさ。妄想力豊かな年頃の女の子なら、そういうこともあるだろうと考える。


朱莉からしたら、私とパッシオが付き合わない理由はない。好き合っている相手と付き合わずにいつかお別れをすることを理解し合っている状況なんておかしいとまで言ってくれるだろう。


ただ、これが私達の現実だ。そんなことを言えば、色んなトラブルが噴出しそうだから言うに言えないし、パッシオに迷惑をかけちゃうから言わないけどね。


それに恋愛をしている暇なんて無いというのも本当だ。千草みたいに婚約者が既にいるならまだしも、ショルシエや帝国とやり合おうかとも言えるヒリついた状況下で現を抜かすほど、私は器用じゃないよ。


「そりゃそうだけどね。私はわりとアリだと思ってるけど」


「へぇ、意外。朱莉とかそれこそ恋愛興味無さそうじゃん」


「人聞き悪いわね。別に興味が無いわけじゃないわよ。興味のわく男が全然いないだけ」


辛辣過ぎて思わず笑ってしまう。確かに朱莉は男性への理想が高そうな印象がある。

別にお金持ちが良いとか、イケメンが良いとかじゃなくて、朱莉の異性アンテナにドンピシャに引っ掛かる人じゃないと朱莉は反応しなさそうだ。


それに、その言い分は半分興味が無いと言っているのと変わりがないのでは?とも思うけど、本人曰く興味が無いわけじゃないってことだし、時期が来たらその気になるのかもね。


今はまだ、朱莉にとって恋愛よりも強くなる方が優先なのかも。


「話しを戻すけど恋愛はしても良いと思うわよ?私達の力、魔力って言っちゃえば心の力みたいなもんでしょ?」


「そんな漫画に出て来る超能力みたいに言われても」


「魔力なんて漫画に出て来る超能力の代名詞みたいなもんでしょうが」


揚げ足取りをしてたら軽く小突かれた。少し遊び過ぎたか。


遊びも程々に朱莉の主張を聞いてみよう。恋愛が私達のメリットになるかも、というのが朱莉の言いたい事みたいだけど、それはどういうことなのかをね。


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