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女学生失踪事件

話を聞けば聞くほど、委員長が家を抜け出したとは思えないし、中庭から魔法少女になって飛び出したとしても理由が読めない。

やはり、攫われたと考えるのが自然だと思う。


「中庭とかなめちゃんのお部屋は見せてもらっても良いですか?あと、警察や学校には?」


手を顎に当てながら考え込み、とりあえず出来ることをやる。魔法を使ったのなら魔力が残留している可能性はある。

普通ならできないけど、こっちには妖精のパッシオがいる。下手な魔法少女や、魔法庁の魔力探知方法より、ずっと上の精度を誇る相棒なら、何か見つけてくれるはずだ。


「警察には通報済みです。学校には混乱を避けるために一部の教師の方だけに連絡がいっているかと」


「……中庭と、かなめの部屋には私が案内するわ」


よろよろと立ち上がる委員長のお母さんにヨウおばさんは心配そうに付き添うが、大丈夫だと言われて、引き下がってしまう。

委員長のお母さんとしては藁にもすがる思いなのだろう。警察には通報済みだというから、警察の調査は一通り終わっているのだろうか?


もし、神隠しの件に連想付いているなら、魔法庁にも連絡が行っているかもしれない。

そっちに関しては、今スマホを弄っている千草が多分情報をやり取りしてくれているはずだ。


「お願いします。パッシオ」


「きゅい」


墨亜ちゃんの膝の上で話を聞いていたパッシオに小さく声をかけると、しゅたたたと駆け上っていつもの定位置、左肩の上にパッシオが乗る。任せたぞ相棒。


そう目くばせをすると、パッシオも小さく頷いてくれた。頼りになるな。


「じゃあ、ついて来てもらっていいかしら?」


「はい」


「悪い、そっちは任せる」


「うん、他の皆も待ってて、すぐ戻ってくるから」


委員長のお母さんに先導されながら、部屋を出ていくと、茫然としている美海ちゃんと優妃さんが見える。二人にもショックだろう、友人が突然姿を消したとなればその衝撃は計り知れない。


千草は魔法庁とのやり取りに専念するようだ。墨亜ちゃんも自分がまだ調査や自発的な行動に関しては十分に熟すことが出来ないことを理解している聡い子だ。パッシオもいるし、こういう調査には俺が最適解だ。


少しでも情報があればいい。そう思いながら、俺は委員長のお母さんの背中を追った。





「真白ちゃん、でいいのかしら?最近、新しいお友達が出来たなんて、娘が言っていたから」


「はい、諸星 真白です。9月からかなめさんと一緒のクラスで仲良くしてもらっています」


「そう、お話には聞いていたのよ。背が小さくて、綺麗な赤い髪の毛と、青い目をしたお人形みたいな転校生と友達になったって」


背が小さいは余計な情報だと思いながら、俺は日頃からかなめが母親と交わしていた何気ない会話の端々を感じ取る。

仲のいい母娘だったようだ。正直に羨ましく感じる。俺は家族との思い出が他人と比べると、相当少ない。

嫉妬をする訳じゃないけれど、そうありたかったと思うことは多々ある。


死んでしまった母とも、母が容態を崩してからドンドン険悪になって行った父との関係も、どこかが少しでも違えば、もう少しいい関係になれたのかな、とは何度となく想像したことだ。


だからと言って父を許すことはないし、母は蘇らない。今は、憂い目にあっている目の前の母娘の少しだけでも助けになれば良いと思う。


「学校から注意喚起が来ていたのは分かっていたの。所詮は子供の噂事と、流行りに乗じた家出紛いのものだと思っていたのだけれど、まさかかなめがそんなことをするとは思えないわ。親の勝手な妄想かも知れないけど、あの子は本当に家族思いなの。あんな子が無断で家を飛び出すなんて考えられない」


「警察はなんて?」


「簡単な調査と聴取をしてからさっさと帰って行ったわ。これから調査を始めますとは言っていたけど」


まぁ、そうなるよな。警察からすれば魔法なんて超常現象、自分たちの手には負えないものだ。魔法の痕跡は科学捜査の警察にはほぼ無理だ。


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