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JK真白ちゃん

朝の朝食を雑談を交えながら終え、歯磨きや最後の身嗜みを美弥子さんにチェックされた頃には、登校するのにちょうどいい時間だ。


登校と言っても、美弥子さんの運転する車に乗って、学校まで送り届けてもらうので登校と言うよりは単純に移動、と言う気もするが、郡女に限っては通う生徒の質が質なので、全体の1/4くらいの生徒は同じように車での送迎で来ている。


他にも、学校が設置した最寄りのバス停にさえ向かえば、生徒たちは学校が出している送迎バスを利用することが出来る。郡女の場合、この登校方法が一般的なようだ。


一部の変わり者の生徒や、親の教育方針などなど更にごく少数の生徒が自らの脚と交通手段を利用して、登下校をしているらしい。


「いってらっしゃい」


「「「行ってきまーす」」」


美弥子さんの運転する車に、揃って乗り込みながら光さんのお見送りに返事をする。


全員乗り込んだ事を確認すると、運転者の美弥子さんが車を発進させて、車は郡女へと向かい始めた。


「今日の一限ってなんだっけ?」


「数学だな。夏休み明けすぐだから、復習と課題の回収だろう」


「墨亜は社会だよ」


安全運転で進む車内は、主に学校のことについてだ。まだ時間割を覚えていない俺が、千草に今日の時間割を確認して、墨亜ちゃんがその流れに乗って、今日の1時間目の授業が何なのかを教えてくれる。


小学5年生の頃の社会って、何してたっけか。てか、高校数学のこの時期は何を習っていたのか、全く覚えていない。


「数学ってどこまで進んでるの?」


「図形が終わった頃だったと思う。次の内容までは流石に確認してないな……。正直、数学は苦手でな……」


「あー、まぁ面倒くさいよね。私もどちらかと言うと文系だしなぁ」


元々医療系、看護系の特殊な学校と職業へと進んだ俺も、あまり理数系が得意な部類ではない。どちらかと言えば文系だ、元々の職業柄何カ国語かは話せるし、英語とドイツ語であれば、筆記も一通りだ。


医療研究者となれば、理数系に強くないといけないのだろうけど、俺は医療現場従事者だった立場。理数系は多少不得意でも、何とかなる場面は多かった。


計算式さえ覚えていれば、電卓あればどうにかなるしね。


「来週からは実力テストだし、気が滅入るよ。勉強よりも身体を動かしている方が性に合ってるしな」


「私は今回は免除なのかな。ちょっと先生に聞いておこ」


学生の敵、テストにはAクラスの魔法少女も形無しの様だ。まぁ、テストなんて大人になっても嫌なもんだったし、頑張れ。


恐らく俺は免除されるだろうからな、HAHAHA。


「きゅい」


「……またパッシオを連れて来たのか。教室に行く前に職員室に寄って行くか」


「勝手に鞄に入ってスタンバイしてるんだもん」


鞄から顔を出して、ついて来たぜアピールをしたパッシオを見て、千草が頭を抱えるが、こっちとしてはパッシオがある程度すぐに合流出来る距離にいた方が都合が良い。


先生達にも寛容に受け入れられていたようなので、このままズルズルと続けていけば当たり前の光景になる筈だ。その状態を狙って行こうと思う。


「ダメだよパッシオ〜。お留守番してないと」


「きゅー」


墨亜に抱き上げられ、これ見よがしに可愛らしい鳴声を上げるパッシオに白い目を向けながら、見えて来た郡女の校舎へと視線を向ける。


白い外壁が、残暑の太陽の光を浴びて光っている。敷地も建物もやはり大きい。


「……こうなるなんて、ホント思っても見なかったなぁ」


「お互いな」


「墨亜も!!」


「きゅい!!」


ぼそりと呟いた事に千草が頷いて返したところに、無邪気な墨亜とパッシオの調子の良い返事が返って来て、車内には笑い声が上がる。


色々問題はあるけど、ホント夢を見ているみたいだ。


家族ってこんな感じなんだったっけか。


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