第四話 腹が減っては…?
えーと、まず、お詫び申し上げます。
前回の後書きに探索再開?と、書いたな。
「あれは、嘘だ。」
はい、感の良い方はもう、分かってしまったでしょうが、そこまでです。
では、本編をどうぞ!
ーー第四章 腹が減っては…?
「一体、私は…。」
「急に熱を出して倒れたんだ。」
「そう。で、ここはどこ?」
「滝壺というべきかな、ほら初めてこの島で目を覚ました時小川があったろ?そこの上流に来たら小さい滝があって、ここはその裏さ!」
彼はこう、得意げにいったが、何もなかったらどうしていたのだろう?
いやいや、それよりも先にいうべきことがあるだろう。
「えっと、助けてくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
(俺は当然のことをしたまでなのだが。)
「えっと、聞くのは悪いと思うんだれど、なんか、夢でも見てた?うなされていたんだ。」
(やはり、情報収集は大切だとしても、こういうことは、気がひける。
そもそも、これは情報収集なのか?)
「うん。見てた。内容は、うっ!」
「おいおい、大丈夫か!?」
「大丈夫。気にしないで。で、内容なんだけど、うっ、うっ、うっ…。」
「まさか、泣いてるのか?」
と、言いながらユウヒに近づく。
「いや、夢が思い出せないの。
で、思い出そうとすると、
外部から操作されているように、霧がかかって思い出せないの。
とても重要なことだったと思うのに。
うっ、うっ…。」
「大丈夫、大丈夫。」
と、俺は背中を撫で、なだめてあげた。
初めて、この行動をしたはずなのに、やけに慣れた手つきでこれを行なった。行いながら俺は考えていた。
(ユウヒが霧がかかって思い出せないといったが、同じ経験を俺もどこかで…)
「とりあえず、今日は寝るか。」
「一応掛け藁、敷き藁、
猛反発マクラ(別名:石)の3点セットだ。」
ユウヒは、いった。
「あの、手を握ってもらっていい?」
「ああ。」
(さすがに考えないようにしよう。)
と、俺。
こうして二日目は幕を閉じた。
へんな夢を見た。
それは、ユウヒが家にすごい勢いで帰って来て、そうと思えばすぐ、倒れたではないか。
「おい!ユウヒ!大丈夫か?」
俺は、声をかける。しかし、返事はない。
不意に、俺は誰かに足を掴まれている感覚に気づき、自分の足を見た。そこには、見たことのない少女が…。
「ウフフ、あなたも、来ちゃったのね。いいわ、あなたの記憶も消してあげる!」
俺は、何の抵抗もできず、脱力感が身体を襲い、倒れ込んだ。
「俺の名は……aげ野 ……。」
俺は、そこで目を覚ました。
さっき見ていた夢はもう、霧がかかっていて思い出せない。
と、ユウヒが声をかけてきたので、
「おはよう。悪い、起こしちゃったか?」
と、俺は、返した。
「いや、普通に起きただけ。」
「なら、良かった。で、どうだい?調子は。」
「うん、大丈夫。」
と、その時、腹の虫が鳴き始めた。
「そういえば、何も食べてなかったな。」
「ちょっと待っててくれ。」
と、俺は言い、外へ出ていった。
(さて、あれはどうなったかな。よし!うまくいった!)
さて、あとは火だ。あれがないと、どうにもならない。
とりあえず、必要なのは、っと、
乾いた木の皮、
藁、木の棒といったところか、
あとは根性だ。
素材は簡単に集まった。
あとは、これを持って、と。
俺は、ユウヒを心配させないように、
なるべくはやく戻った。
「おかえり。どこいってたの?」
「これを取りにさ。」
俺は昨日、みつけたペットボトルをつかって、簡易的な魚用トラップを不器用なりに作り、仕掛けておいたのだ。
結果、成功し、いまここに生け捕りにされた魚(フナ?)が2匹いる。
「え?すごい!」
ユウヒは興奮したようにフナをみている。
「さて、火をおこしますか。」
俺は、テレビで得た知識を元に、全力で木の棒を素手で回した。
「うおりゃー‼︎」
されども、火どころか、火種すらもできない。
それを見てユウヒはクスクス笑っている。
「何が、おかしい。何ならユウヒもやってみるか?
火がついたら、俺が土下座。
つかなかったら、おまえ、土下座な。」
「ええ、いいわよ。」
ユウヒは、いかにも簡単そうに答えた。
「後悔すんなよ。あとで、無理でしたって言っても、土下座させるからな!」
「ええ、いいとも。」
「じゃあ、始めるわね。」
というと、ユウヒは、木の棒の先を少しとがらせ、
また、ロープを棒につけ、
弓のようなものを作った。
俺は、何をしているのか、わからなかったが、
やっと本題に入ったらしく、弓の弦の部分を使い棒を回した。
わずか30秒ぐらいだった。
すぐに、火種ができた。
それを藁に移し、
木に移し、すぐに火が灯った。
俺は、
「嘘だろ…。いまさっきの俺の努力は…。」
と、言った。
この瞬間、俺の負けは確定したのだ。
ユウヒは、誇らしげな顔をして、
「はい、私の勝ち!じゃあ、約束どうり土下z…。」と、言おうとしたが、途中で、
「も、申し訳ありませんでした!」
という、土下座している彼の声に妨げられた。
「あ、あの。最後まで聞いてよ。
じゃあ、約束どうり土下座を…
して欲しかったところだけど、
恩があるから、今回は、いいわ。
って、言おうとしたんだけど…。」
「え?
も、もう一度言ってくださいませんか?」
妙に俺は敬語口調になったが、
「だから、恩があるから、土下座はいいわ。って言ったの!」
「え、ええ〜⁉︎」
「たしかに、私の勝ちだから、土下座をしてほしかったんだけど、
今回は、感謝の気持ちを込めて、やらなくても良かったんだけど…ね。
ふふっ。で、いつまでその態勢を?」
(ツンデレじゃ、ないだと!?)
俺は、
「べ、別にいいだろ!」
「それで、その火起こしの方法はなんだよ!」
と、起き上がりながら言った。
「今のは、ユミギリ式(あるいはマイギリ式)よ。
あなたがやってたキリモミ式
(ゴリ押し)より軽い力で火が起こせるの。」
「まあ、まず火でフナを焼いちゃいましょう。
私、もうお腹ペコペコだわ。」
「ああ、そうだな。」
と、言いフナの内臓を取り、口から木の棒を奥まで差し込んだ。
(自分でも、慣れた手つきだな、と思うほど早く行なった。)
「そういえば、ユウヒ、おまえこういう系のやつ大丈夫か?」
「うん、ある程度なら(ゲームで)慣れているから。」
「じゃあ、本日初かつこの島初の、食事用意完了!」
「ちゃっちゃと焼いちゃいましょう。」
「ああ、そうだな。」
ーー5分経過
「もうそろそろかな?」
「じゃあ、いただきまーす!」
俺たちは夢中で焼きフナにかぶりついた。食べている間は、互いに何も話さなかった。
「はあ、食った食った。」
「こんなに美味しいなんて。」
「さて、腹もいっぱいになったところで、探索に行きますか。」
ーー森の奥深く
霧が立ち込めたところに少女がいた。
その影には建造物が…
「…Delete,all complete.」
いかがでしたか?
会話多めの回となりました。
じ、次回こそ、探索再開します。(震え声)
では、短いですが今回はここまで、
ありがとうございました!