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黒髪ふんわり幼馴染系少女さな と優位性

「名前は直感でつけていっていいけど日向と小鳥遊はやめなさい、倍率が高すぎるから。編集者だって読者だって何百も何千も新人の応募作読んで何百回も日向と小鳥遊がでてきたら嫌気がさすでしょ?うわ、まーた日向だよ(笑)みたいな」


エリザが元にいた場所に帰ってから数日後、相も変わらずおれとこいつは創作活動にのめり込んでいた。光っているパソコンに戻っていくエリザを見た時は寂しさを覚えたが、必要になったらまた出してあげるわよという説得をされたおれは泣く泣く見送った次第だ。

自分が介入してから感想が来たことにすっかり気を良くしたこいつは本日も絶好調でおれに檄を飛ばしている。余談だが、檄を飛ばすの本来の意味は広く知らせることで元気づけるは誤用である。言葉なんてそんなものだ、伝わって残っていったものが文化になるのである。


「他にはなんかあるか?」

「黛とか橘とか芹沢とか結城とかあたりも比較的多いわ。あと一之瀬、九重、九条、東雲、如月、桐生らへんも目につきやすいから使っちゃう名字ね」


ちなみにおれの投稿作の主人公の名前は橘ユウだったりする、ニュータイプかよこいつ。言おうとしてることはわからなくもない、例えばバスターバインなんかは名前だけで有名だし読者にインパクトを与えた。埋もれないように受け入れられるように、それがこいつのコンセプトなんだろう。そんな会話をしながら文章をつらつらと書いていくと、自分の投稿作にまたも感想がついている事に気がついた。


「ほら、また感想来てるぜ。名前なんてそんなに気にしなくても大丈夫だろ」

すっかり調子に乗ってるのは何もこいつだけではない。あの一件以来おれにはラブコメ書けそうじゃん、なんて妙な自信がついてしまっていた。


「浮かれてるのはいいけどいい感想ばっかりがつくわけじゃないからね」

俺の態度をみて、こいつはすぐさま水をさしてくる。おれがへらへらと得意げにしていたのがよっぽどお気に召さなかったらしい。別にいいさ、おれには読者がついているんだ。かちかちとカーソルを合わせてページを更新していく。


感想の欄には どこかで見たような話、どこかで見たような設定 という無機質な文字列が並んでいた。

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