第七話 拗ねる少女と酒の力
酒の力は人の性格が露わになりますね(笑)。
家に帰った俺。いや、女性となった私というべきか。
どんな反応をするか不安になりながら玄関の鍵を開けた。すると、雫がいつも通りのことを言うとこだった。
「お帰りなさ…い?あれれ。どなた様?」
「有輝だよ。有輝。『須川』です。ほらこれ」
俺がカバンの中から出したものは、雫にもらったもの一式であった。
「えぇ??あなたですか?どうしたのその変わりよう。もしかして女装…」
「まさに、萌え」
「ちょ…このフブめ!」
雫は最初だけ動揺したが、すぐに冷静になり始め、結論的には夫が女になって帰ってきたことが嫌らしいのだ。
(雫が勝手に俺のことを夫として扱っているが……)
本音を聞き出してみるとあなたがかわいいので嫉妬してしまうよとのことだ。
その後、色々とあり、雫がやけ酒で暴れまくって大変なことになる始末。
俺のことを話題にして独り言を呟くといったことがあったが、やっとのことで収まったのだ。
「やっと、落ち着いたぁー」
「ふえーん。なんだか眠くなってきたのです」
ばたんと、勢いよく雫は寝た。
寝たのはいいのだが、俺の方向へと倒れ込んできたのだ。
しかもプロレスのごとくがっちりと動けないようにのしかかってきた。
「あの時の俺みたいになってるな有輝」
突然、フブが現れ、過去の思い出を思い出したような顔をして言った。
「あのとき?」
「あぁ。酒を飲みすぎるとこういう風にすごく雫が暴走してたからね」
横からは雫が何かを言っている。
「有輝ちゃんかわいいよぉー」
「おっ。寝言が始まった。さっさと退散、退散っと」
「フブ。助けてよー。痛いから!」
「ふふふ。せいぜい頑張りたまえ」
雫にがっちりと身動きができない状態での二人っきり。
一番最悪な状況だ。
雫は雫で寝言を言いまくりでこっちが逆に恥ずかしい。
寝かせてはくれない夜が続くかと思ったが、一時間経過後には、俺は疲労で寝てしまった。
朝、起きてみると、雫は幸せそうな顔で寝ていて、しかも腰のあたりと腕を摑まれていたはずが背中のところにあった。
俺は微笑しながらも寝た。
しかし、後から考えたことだが、これが男の状態だったらよかったのに、と思う。
次回:第八話 いつもの日常と変化
フブ「雫の寝言は効いただろー」
有輝「すごい恥ずかしいわ」
雫「すいませんでした。ですが今は女の子同士です。恥ずかしがらずに私がリ―」
有輝「嫌、だからね!」
雫「あぁ。有輝ちゃん拗ねてるー。かわ―」
有輝「もういいかげんにして。絶対に何もするなよ!!」
雫・フブ「はーい( ̄▽ ̄)」
雫「なんで私だけ話が省かれてるんで―」
皆「……」