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Apprentice Witch  作者: Phony
1/3

0 プロローグ

連載として頑張って載せていけたらと思っています。

始めての試みなので、あまり上手にはできないでしょうがお許しください。

「ほうっ!」


 突然、空から女の子が降ってきた。

 こう言えば某映画のワンシーンを思い浮かべる人が多いだろうか。非常に聞こえは良いのだが、実際はそんなに良いものでもない。降ってくる速度は緩やかになってくれないし、チラリと覗く彼女の下着に一瞬でも気を取られたが最後、回避などできるわけがない。実際できなかった。

 女子らしく折り曲げられた両膝が胸部に直撃し、衝撃で地面に倒れる頃には腹部にヒップドロップを決められる。

 ちなみに青地に白のストライプだった。しっかりと見ている自分が悲しい。


「ぅぐぇ……っ!」


 まともな悲鳴さえも上げられず、僕はその場から動けないまま激痛に耐えた。腹部に跨る彼女の感覚など感じる余裕はない。感じるのは内臓を押し潰される感覚と確かな痛みだけだ。


「いったたたた……。ごめんね。大丈夫?」


 僕の上から降りた彼女は、心配そうに顔を覗き込んでいた。


「大丈夫です。段々先輩のやることにも慣れてきましたから……」


 言っていて再び悲しくなってくる。

 どうして高校1年生という素晴らしく青春を謳歌できる時間を、こんな空から降ってくるような先輩と過ごしているんだろう。僕の高校生活は始まってまだ二週間も経っていないというのに。

 

「ごめんなさい、そんなに睨まないで。もしかしてまだどこか痛い? 何なら保健室まで運んであげようか?」

「別に睨んでませんし、もうどこも痛くないですよ」


 僕は制服についた土を払い落としながら立ち上がる。それと一緒に先輩も立ち上がった。


「嘘。とっても怒っているわ。まるで獲物を狙う狼の如く」

「それ、狼も別に怒ってはいないんじゃないですか?」

「私はか弱い乙女だからすぐに食べられちゃうわ」

「空から後輩めがけて落っこちる先輩のどこがか弱い乙女なんですかね?」

「そうだ! 狼といえばあれね、《人狼》!」


 会話合わせる気はないんだな、と確信する。僕は溜息を吐きながら空を見上げた。青いキャンバスに水彩画で描かれたような白い雲たちが優雅に泳いでいる。

(君らは自由気ままで、悩みもなさそうでいいなぁ……)

 こんな先輩を目の前にしているからこそ、純粋にそう思った。


「ちょっと聞いてる?」

「聞いてますよ。あれですよね、人狼の話」

「そうよ。人狼っていうのはね……あ、ゲームの方じゃないわよ?」

「わかってますよ」


僕は半ば呆れながら答えた。先輩は満足したように「よしよし」と言ってから話を続ける。


「人狼っていうのはね、文字通り人にも狼にもなれる獣人のことよ。狼女もいないわけではないのだけれど、あまり出てくることはないから主に男性のことを指して使われることが多いわね。伝承では普段は人間の姿をしていて、満月の夜にその真の姿を現すとされているわ。知っての通り全身狼の姿をしているにも関わらず、二足歩行をするのよ。力はどうなのかしら? 人や家畜ぐらいはペロリと食べちゃうらしいけれど」

「人間も食べてしまうくらいですから、力も平均的に強いんじゃないですか? まぁその辺のことは世間的にも知られているのが多いですよね」

「そうね。それじゃあ、人狼のなり方は知ってる?」

「なり方? 満月の光を浴びればいいだけなんじゃないですか?」

「そうじゃなくて、私たちが人狼になる方法よ」


 また変なこと言い出した。これはそろそろ聞き流しておかないと止まらなくなってしまいそうだ。僕は小さく溜息を吐いて、右から左へ先輩の言葉を流す準備をした。


「先天的な人狼っていうのは、基本一族だとかの血筋関係ものがほとんどね。逆に後天的な人狼っていうのは様々な場合があるわ。魔術や呪いによって人狼になってしまう人、人狼によって傷つけられた人、満月の夜に人狼の足跡に溜まった雨水を飲んだ人、同じく満月の夜に腐って倒れてしまった木の下をくぐった人などなど。ね、たくさんでしょ?」

「いやいや、最後以外はほとんど人狼が何かしらアクションを起こしてくれていないと、どうしようもないじゃないですか」


 僕の流し機能が先輩の言葉を脳の中で反芻させてしまった。ほとんど手段が一つと言っていいこの例たちに突っ込まずにはいられなかったのだ。


「それでも血筋なんかよりは全然人狼になれる確立が高いわ。他にも人狼っていうのは空想上の生き物というだけでなく、一種の病気としても存在しているのよ。それは狼化妄想症って言って、精神医学上の症候群のことなんだけどね──」


 隣で嬉しそうに人狼について語る先輩は、どこか輝いて見える。黙っていれば美人なのに。

 そんな先輩を横目に、僕は高校生活始まって早々何故彼女のような変美人に捕まっているのだろうと考える。

 結果、全ては入学式から始まっていたのかもしれないと思った。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

まだまだ拙い文章ですが、今後ともよろしくお願いします。

良ければアドバイスや感想などを書いてくれると嬉しいです。

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