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集結

10000PV越えと3000ユニーク。こんな駄文ですが皆さん本当にありがとうございます!


さて今回も戦闘が無い…

2202年 11月 10日

エウロパ

内惑星艦隊司令 島崎 大五郎中将


「第6艦隊第101打撃戦隊、入港開始します。続いて第102打撃戦隊、第103巡航戦隊が入港軌道に入ります」


レーダーを監視していた観測員からの報告が来る。


「遅れは?」


「本隊は予定通り入港しております。警戒任務の駆逐隊の交代に多少手間取ったようですが、問題ないと思われます」


「ならば良し。引き続き頼むぞ」


そう言うと座席に深々と腰掛けたまま前を見る。肉眼では確認し辛いが前方には第6艦隊の各戦隊が航行しているはずだ。第6艦隊もとい内惑星艦隊は主力である戦艦(BBS)巡洋戦艦(BCS)が所属する打撃戦隊に加え、ひとまわり小型ながらも荷電粒子砲を装備しかなりの攻撃力を誇る重巡洋艦(CAS)とそれらを護衛する軽巡洋艦(CLS)が所属する巡航戦隊、小型な船体に強力なエンジンを搭載し高い機動力を持ち、装備する強力な宙魚雷で大型艦にもダメージを期待できる駆逐艦(DDS)が所属する駆逐隊にて構成されている。

現在、内惑星艦隊は外惑星帯に数ある中でも最大規模を誇るエウロパ基地へと順次入港している。エウロパ基地は木星開発の前進基地として2081年に完成して以来、国連宇宙軍にとっての基幹基地であり続けた。

司令部施設の他にも各種防衛施設や観測施設、大型工廠、実験施設、生活施設など多岐にわたる設備が建設され食糧ですらある程度は自前で賄えるようになっている。また、艦艇の修復、整備施設も充実している。流石に大型艦の新規造船は難しいが、駆逐艦や警備艇程度なら現地生産も可能である。

2198年の第6次拡張計画により全施設の地下移設が進められており、基地全体の防備力も格段と向上している。しかしながら港も地下に移設された為、一度に8隻づつしか入港できなくなった弊害も生まれた。その為、戦争が始まっている現在でも拡張工事が続けられている。


「警戒中の第201駆逐隊より入電。『我、索敵中と思しき敵艦を発見せり。これより対処行動に移る』です」


「了解したと伝えろ。それから待機中の202駆逐隊と251巡航戦隊を追加で派遣だ。すぐに伝えろ」


「了解、通達します」


参謀長がテキパキと指示をこなしていく。一見越権行為にも見えるがこの様な細かい事まで指揮官がやる必要はない。その為の参謀スタッフである。


「この辺りも日に日に圧力が高くなってるらしいですね」


指示を出し終えた参謀長がこちらへ話題を振る。


「うむ、この前の連絡会議でもその話題が上がっとったな。多い日だと1日に2〜3回接敵があるらしい。おかげで外惑星艦隊のメンテが進まないとオルデンの奴がボヤいとったわ」


「ええ、私も外惑星艦隊(OPF)司令部に同期が居ましてよく話をするんですが、荷電粒子砲搭載艦の補修を優先しているそうで巡航戦隊の稼働率が下がっているとの事でした」


「そりゃあなあ、あっちには駆逐隊が無い分軽巡が忙しい。しかも先の海戦で減った分まで負担してるからのう。そのお陰でこっちの駆逐隊が大忙しだわい」


そう話している間にも内惑星艦隊の各艦は次々と入港していく。やがて第6艦隊に続き第7艦隊も入港完了、旗艦BBS『ながと』が所属する第8艦隊第301打撃戦隊の順番となった。


「エウロパ港からの誘導ビーコンをキャッチ。針路、速度共に正常です」


ビーコンに従って進んでいるとやがて地表面が見えてきた。ちょうどエレベーターの固定が完了したとこらしい。着陸誘導灯が青く点灯するのが見えた。


「現在高度1800m」


「速度落とせ、最微速。着陸脚オープン」


艦首にある減速用ブースターが時折作動しどんどん減速していく。


「着地5秒前、各システムオールグリーン」


下方からもスラスター噴射が始まり、軽い振動とともに着地した。


「ふう、地球と違って重力が小さいから勝手が違いますな」


緊張が緩んだのか、直々に指揮を取っていた艦長が額の汗をぬぐいつつ呟く。


「ガントリーロック作動確認」


船体を固定するアームが左右から伸びてきて船体を掴む。そして固定が終わるとエレベーター全体が斜め下に動き出す。徐々に地中へと下降していき視界が暗くなる。しかしそれも30秒位であっただろうか、急に視界が開けたかと思うとそこには十数隻が停泊できるであろう港が存在した。既に何隻かの船が入渠しており整備を受けているようだ。


「こりゃあ…また、凄い物を作りましたなあ…」


艦長が呆気にとられながら呟く。艦橋に詰めている他のスタッフも唖然としながら周囲を見渡している。


「しかもここの他に計12ヶ所も同規模のものがあるらしいですね。リスク分散の為に場所が違うとか」


主要スタッフの中で唯一事前にここを訪れている一人の参謀が答える。その間にも『ながと』を乗せたエレベーターは移動を続け、やがて数ある中の一つのドックに入渠する。


「どうやら此処が仮住まいのようだな。総員接岸準備にかかれ」


「「了解」」


「儂はこれから司令部へ向かう、参謀長もだ。残りの者は引き続き入港管理と警備計画の策定。では頼んだぞ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




同日

エウロパ

内惑星方面司令 レイモンド・エドワルド大将


「全員揃ったか?」


会議室全体を見渡す。今回は参加者が多い。国連宇宙軍(UNSC)の総力を挙げて迎撃するから当然といえば当然だが。内惑星方面司令の私を筆頭に、外惑星方面司令のラングスドルフ大将、外惑星艦隊司令のオルデン中将、内惑星艦隊司令の島崎中将などの指揮官やその配下の参謀連中、専門家など50人近くが参加している。


「はい、問題ありません」


参謀長のムーア少将が答える。真面目だが決して硬直した思考を持たず、どんな局面にも冷静に対応する。これが今私が彼に抱いている評価だ。


「うむ、ご苦労。では諸君、始めようか。始めに現在の状況を参謀長の方から報告してもらう」


「はい。現在確認されている敵艦は小型艦98隻、大型艦45隻、超大型艦4隻です。この超大型艦は先のしまかぜによる偵察の結果、20インチ砲に近いものを搭載していることが判明しました」


ドローンが撮影した映像を混ぜながら説明を行う。冥王星沖海戦にて確認された小型、大型艦の中に混じって一際大きな艦が映っている。


「この真ん中の奴がそうか。確かにデカイぞ」


「装甲はどの位あるか予想できるか?」


「対処法について何か具体案は?」


初めて見た敵艦に対し各々が疑問をぶつける。たちまち会議室は喧騒に包まれた。


「えー、過去の戦訓…と言いましても先の一海戦しか有りませんが。そこから推察するにこの超大型艦に対する対処法は唯一つ、大口径荷電粒子砲による集中砲火しか有りません。従って現在エウロパに居ります全戦艦の火力を集中し1隻づつ撃破していくのが最も確実です」


「だがその間の大型艦への対処はどうする?巡洋戦艦だけでは火力不足だぞ」


先の海戦で直々に刃を交えたオルデンの言葉だけあって重い。実際、冥王星沖海戦では2隻しか撃破できていない上にこちらも巡洋戦艦が2隻撃沈されている。そして今回確認された大型艦は45隻。国連宇宙軍が保有する巡洋戦艦の数よりも多い。従ってワンランク上の戦艦の火力を持ってして対処するのが事前の方針だったが、それが不可能になってしまった今、代案が求められるのだ。


「そこで駆逐隊による肉薄雷撃が有効になるかと思われます」


しかしここでも質問が出る。


「いくら何でも駆逐艦の装甲では自殺行為ではないですか?実際に冥王星沖では接近するまでにかなりの被害を出したと聞いております」


参列していた参謀の一人から質問が出る。確かに最もな質問だ。


「私からもよろしいでしょうか?」


さらにはオブザーバーとして参加していた冥王星沖海戦へ参加した各指揮官の中から小牧少将が手を挙げる。


「どうぞ」


「はい、冥王星沖海戦において私が指揮をする第3艦隊は主砲がほぼ通用しないため、肉薄雷撃を敢行致しました。そこでの経験を報告したいと思います」


「それはありがたい。報告書だけでは伝わらない部分もあるからな」


「はっ、大筋は報告書通りで接近戦はかなりのリスクがあることには変わりませんが、…敵に接近した際に体感的にですが敵の砲撃の命中率が下がったと部下から報告が来ています。さらには敵の小型艦はこちらが接近しても特に対処行動を取らずに大型艦の周りに張り付いておりました。敵には宇宙における戦いであそこまで接近されることを想定してなかったように見受けられます」


この報告には会議室全体が騒つく。


「確かに、ク軍艦艇はエネルギー兵器には異常な抗堪性を見せましたが宙魚雷やミサイルなどの物理攻撃にはてんでダメでしたな」


「だが接近戦が危険なことには変わりないのでは?しかも冥王星沖では敵から離れる時にも被害を出しています。撤退方法まで考えなければならないのではないですか?」


再び会議室が盛り上がる。様々な憶測や作戦が出るがどれもイマイチであった。


「ムーア君、方面司令部では決戦宙域をどこと見ておるのかね」


侃々諤々の会議が続く中、今まで黙って話を聞いていた島崎中将が質問をする。


「我々としてはエウロパ基地からの支援を受けられる木星付近と考えています。基地からのミサイル攻撃や損傷艦の応急修理など出来ることは山ほどありますので」


「なるほど、確かにそれもありじゃがな。だが儂は敢えて土星付近で戦いを挑むべきだと思う」


「それはなぜですか?」


「そもそも事前の作戦会議で決まっとった戦艦の役割が変わったもんだから駆逐隊に代替わりさせるのだろう?ならばその駆逐隊が活躍しやすい状況を作ってやらば良いと思わんかね」


「…土星か、それは考えてなかったな」


島崎の言葉にハッと気づく。その手があったか、と納得する。しかし理解しているのは私と島崎中将だけらしい。皆ポカンとした顔でこちらを見ている。仕方なくムーアにヒントを出すことにした。


「ムーア君、土星には何があるかね?」


ムーアは少し考えてから答える。


「土星ですか…、それほど変わった物は……!なるほど、そういう事でしたか。しかし木星にも輪はありますがなぜ土星が良いと考えるのです?」


「奇襲だよ。木星にはエウロパ基地があるから当然敵も警戒して接近してくるはずだ。しかし土星ならどうか。木星付近より警戒が薄いだろう。しかも輪の中にある小惑星に張り付いて待機すればレーダーに引っかかるのも回避できる。そこに荷電粒子砲の一斉砲撃と駆逐艦による肉薄雷撃、というわけだ」


ここに来てやっと全員が理解したようだ。


「運良く現在は敵艦隊の位置と木星との軸線に近い位置に土星がある。敵が木星を目指しているのは針路でわかる。後は鼻先に餌を置いてやれば食いつくだろう」


ここで言う餌とは囮のことだ。もちろん釣るためにはそれなりの規模が必要だろうが。


「この他に何が意見はありますか?」


最後にムーアがもう一度聞く。だが私個人としてもこれ以上いい案は思いつかない。


「では土星付近での奇襲からの攻撃を想定して作戦策定に入りたいと思います」


「うむ、そうしてくれ。囮艦隊と奇襲艦隊の編成は任せる」


「「了解」」

地下ドックはアルペジオの横須賀要塞港みたいなものを想像していただけると分かりやすいかと。(未読の方はすいません…)


それと3日位前からいきなりPV数が増えてるんだが何でだ…?

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