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001 Aのプロローグ

今年最後になるであろう小説。

side.Bは書くかもしれないし書かないかもしれない、あと挿絵、出来たら描く。

「……助かったんだ……。私たち……。」


俺は次第に遠ざかっていく都市をサイドミラー越しに見つめながら、彼女のそんな言葉を聞く。


「……ああ、助かったんだ……。」


──……それに対し、俺はそう答えた。


























──……全ての始まりは一ヶ月前、その時既に、世界は破滅へと向かっていた。



きっかけは3年前に起きたロシアでのウイルス流出事故。


そのウイルスはヒトに感染するとそのヒトの細胞を壊死させ、感染者を死に至らしめる……と言う恐ろしい物だった……が、そのウイルスは動物に感染、そして……変異した。


──変異したウイルスに感染した人間は全身の細胞が変質していき……やがてヒトと獣の中間の様な姿へと変わってしまう。そして性格は凶暴となり……感染していないヒトを襲う。


……幸いにも、ウイルスは感染者の体液が体内に入らない限り、絶対に感染はしない。……だが、1年前の時点で世界人口の60%が感染者となり、その直後に政府も無期限閉鎖。


──……現在どのくらい感染者じゃないヒトが居るのかは分からないが……純粋なヒトが居なくなるのも、時間の問題なのかもしれない。


そう思いながら俺は車を走らせていた。ただボロくなった道が延々と続いている荒野を車で走っていた。

途中何度か感染者とすれ違う……が、みな生気の無い瞳でウロウロとしているだけだ。


……そりゃあそうだろう。奴らは感染者は襲わないんだからな。


そう心の中で呟きながら俺は薄汚れたバックミラーで自分の顔を見る。そんなバックミラーに見えるのはヒトの顔じゃない。獣──茶色い毛の狼の頭がその金色の瞳で俺を見つめ返した。


時々すれ違う奴等と違うのはその瞳には──少なくとも多少は──生気があると言う事だ。


──俺は感染者だ。しかし……何故かヒトとしての自我を保っていた。

……何故かは分からない。とゆうかこれがヒトとしての自我なのかすら、俺には分からない。……俺にはヒトとしての記憶が一切無いからな。


覚えている中で一番最初の記憶は、目が覚めたら既に感染者で荒れ果てた病院のロッカーの中にいた……って事だ、それ以前の記憶は無い。


──ガンッ。


鈍い音を立て、道をノロノロと歩いていた鰐の感染者に車がぶつかる。……しかし2メートルくらい吹っ飛んだ鰐は、何事も無かったかの様に立ち上がった。


……これも感染者の厄介な所だ。あまりにも身体が頑丈なのだ。


──……まあいい、俺は襲われないから関係ないし。


そんな事を思っていた時、荒野の向こうに陽炎で揺れる都市が見えた。一瞬で通り過ぎた看板に描かれた文字は、『SOLTLAKE CITY 6km』。


──かつてアメリカ合衆国と言う国があった土地にある、都市。


「……あそこで少し、休憩するか。」


俺はそう誰に言うでもなく呟くと……そのまま車をソルトレークシティへと走らせた。








It continues.

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