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神様のご近所付き合い。  作者: 花澤文化
近所の神社の神様達。
11/11

最終話 神様の結末。

「馬鹿者が。お前は困難にぶつかるとすぐに諦める。何度それではいけないと言ったと思う?それこそ数え切れないだろう?」

「師匠・・・」

「もう師匠ではない。その呼び方はよせ」

 僕が困難にぶつかっているとき、現れたのは師匠。先代北稲荷神であった。今までどこをほっつき歩いていたのか、何をしていたのか知らないが、すごいタイミングで現れた。

「お前の選択肢は諦めるだけなのか?」

「で、でももう弟子はいない。新たに弟子を入れるには時間がありませんし、何人の弟子が必要なのかも分からない。そんなのどうしようもないじゃないですか」

「馬鹿者。それでもやるしかない。まだこの神社は潰れてはいない。弟子を少し入れたおかげで延命もできている。弟子を増やしていくしかないんだ。おそらく、参拝客というのはまだ来ないと思うからな」

 師匠は真剣に悩んでいる。

 いくら先代とはいえ、もうこの人は自由な神様のはずなのにこうして一緒に考えてぶつかってきてくれる。なるほど、確かに師匠を慕う人の気持ちがほんの少しだけ分かった気がする。

「弟子を1人入れる。それが時間の限度だろう」

「・・・・・もしかしたら弟子1人入れたら力が元に戻る・・・かもしれないということですか」

「そうだ。今はそれに賭けるしかない。だが、それでもし違った場合、駄目だった場合のことを考えて弟子に入れる1人を選べ」

「え・・・?」

 弟子を選べ・・・?

 誰を入れても1人は1人のような気がするけれど・・・。

「あ・・・」

 しかしここで僕は気付いた。

 1人で100人分の神様の力を持つ存在に。

「まさか師匠は僕に風神様か雷神様を弟子にしろ、と言っているのですか・・・?」

「師匠と呼ぶな。まあ、それしか道はないだろうな。雷神様はすでに西大和の神様だから狙うは風神様しかない。お前に出来るか?」

「出来るかって・・・」

 そんなの無理だ。僕にはそんなことできやしない。

 そう言いたい。

 でもこの人はそれを許さない。だから・・・。

「やってみます」

「儂がなんだって?」

 これまたちょうどよくものすごい風をまとって現れたのは風神様。話を聞いていたのかにやにやしている。確かに、今は師匠がいるし注目するのは分かる。きっと他の神様のこの光景を見ているに違いない。

「風神様、お願いがあります」

「なんだ?」

「北稲荷神社の・・・僕の弟子になってください」







 大変だった、本当に。

 風神様と争うことなんてもうしたくない。

 しかし努力の甲斐あって、神社を復興することに成功した。これで女の子の願いも無駄にならずに済んだ、というわけだ。

 ただし、その女の子の願いがかなったのかどうかは分からない。報告しにきてくれればまた別なのだが、何も知らない状態では難しい。

「・・・・・」

「気になるの?」

 東奥女神が僕の顔をのぞく。

「別に。ここから先は僕の管轄外だから」

「敬語が外れても素直にはならないのね。前の敬語も皮肉っぽくて大嫌いだったけれど」

 僕の敬語が外れたのはこの北稲荷神社が再興したからであろう。人気がでたのか、北稲荷神社には今、参拝客がたくさんいる。

「どうせあなたはそういう人なのだから、無理しなくてもいいのよ」

「・・・・・」

 僕はまた参拝客の方を向く。

 目をこらして、その女の子が来ないか、探していた。報告がいい報告でも悪い報告でも受け止める気でいたのだ。

「あ」

 東奥女神が指を指す。

 そこには小さなかわいらしい、女の子が嬉しそうに走ってきた光景があった。

ここまで見てくださったみなさま、このお話だけ見てくださったみなさま、本当にありがとうございました。

元々このぐらいで終わるお話を書きたいと思っていたのでそれが叶って楽しかったです。


このお話である風神との部分ですが、ここは最初から、このお話を考えた時からカットする気満々でした。

なんというか、風神がボロボロになって負けるのもあれだし、主人公が負けたらお話終わっちゃうし。

なので、カットして想像にお任せすることに。


いろいろと至らない点はたくさんあったと思いますが、最後に本当にありがとうございました。

また別作品で。

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