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書き下ろし
『この物語はダメ艦長アリスを一生懸命補佐する、健気で! か弱く! そして美しい! 天使の笑顔と愛を持つある一人の乙女の日常を描いた、ノンフィクション・ヒューマンドラマであ』
「何を書いているんだ?」
「ん? おぉ~! アリス君ではないか! 生きていたとは」
「人を勝手に星にするんじゃない。それに数分前にも会ってただろう。……それより、一体何を書いているんだ?」
「むふふ、いつか私達の勇敢なる数々の出来事を知りたがる人がいるかも知れないしょ? だから、その為に伝記を書いていたんだよ」
「伝記ね……。飯を食うだけの金もないから、勇敢に生きているのは確かだが……、この宇宙、どこを探したってこんな貧乏物語を読む物好きなんてい……ん?」
「どう? なかなかいい感じに書けているでしょ?」
「――ここの『天使の笑顔と愛を持つ一人の乙女』とは誰のことだ?」
「あぁそりゃ分かってらっしゃるくせにもっち、あ・た」
「書き直せ」