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歴史ifコメディ 〜1333年 鎌倉攻防戦〜

作者: ひろ
掲載日:2026/10/21

1333年5月 鎌倉


 鎌倉幕府軍と倒幕軍の戦いは、遂に幕府の本拠地、鎌倉に舞台を移しつつあった。

 新田義貞率いる倒幕軍が間近まで迫る中、鎌倉方には諦めの空気が漂う。


 三方を急峻な山、残る南側を海に囲まれた天然の要害に加え、数的優位は未だ鎌倉方にあり。

 しかし、先の六波羅探題陥落の報を受け、もはや鎌倉の外に味方無しと悟った武士たちの士気は、地に落ちていた。



 もう幕府も終わりだ。

 誰もがそう思い、ある者は自害を覚悟し、またある者は逃亡•寝返りの算段を立てていたその時、


 突如、鎌倉市街を覆う雲から一筋の光が差し込み、そこから源頼朝が顕現したのであった。



 「おお、頼朝公じゃ!」

 「頼朝公が我らの窮地を憂いて現れてくださったのか?」

 「何卒、何卒我らをお救いくだされ。我らに必勝の策をお授けくだされ!!」


 口々に助けを求める鎌倉方の武士。

 しかし頼朝は、誰に目を合わせるでもなく、地を這うような低い声でこう応えた。




 『ころーーーーす。』




 「.........は?」



 

 『軟弱者は殺ーーーーす。

 逃げる者は殺ーーーーす。

 ここに留まる者も殺ーーーーす。

 一人当たり首級二つ。

 獲って来れぬものは皆、殺ーーーーーーす。』




 「う、う......うわあああああああぁっ!!!」


 途端に鎌倉全体が阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。



 鎌倉武士の原初にして最恐最悪のバーサーカー。

 開府より140年余の時を経て、身内殺しも満足にできぬ腑抜け共とは別格の濃密な殺気。倒幕軍より1192倍怖い。

 そんな頼朝の殺気をもろに浴びた幕府軍は、文字通り死に物狂いで、手近の倒幕軍目指して我先にと駆け出した。




【稲村ヶ崎 新田義貞軍】


 「な、なんだ!? 敵は鎌倉に引きこもっているのでは無かったのか!?」


 新田義貞が仰天する。

 守りの固い各切通し方面から浜沿いに転進し、奇襲を図った新田軍の、なぜか背後から幕府軍が殺到してきたのだ。


 「うわあああああああぁっ!!頼朝公が、頼朝公が来るううぅ!!」


 「死にたくない! というか死ぬのはともかく頼朝公には殺されたくないいぃっ!!」

 

 「首をっ、首をよこせぇっ!!!」



 混乱に陥る新田軍。鬼気迫る幕府軍によって新田義貞は討たれた。


 時をほぼ同じくして各切通し方面の倒幕軍もまた壊滅。

 しかしそんなことで幕府軍の勢いは止まらない。

 いや止まれない。

 背後から迫る圧倒的な恐怖から逃げるように、倒幕軍を欲して走り回る。

 首が足りない。首を、もっと首を、2個以上の首を!!


 そうだ六波羅だ。六波羅には手付かずの首がたくさんあるはずだ。そうだ六波羅に行こう!!


 馬が駆ける。その馬の上を武士が駆ける。速度は二倍だ。


 明くる日には六波羅に到達した幕府軍。その勢いのまま倒幕軍に襲いかかった。


 「よっしゃあ! たくさんの首だぁっ!!」

 「ズルいぞ俺にも寄越せっ!!」


 


 「な、なんだこいつらは、何処から湧いて出た!?」(※鎌倉です)


 大混乱に陥る六波羅詰めの倒幕軍

 その大将、尊氏もあっという間に討ち取られた。


 そうして倒幕軍は壊滅。鎌倉幕府軍は圧倒的な勝利を収め、さらにその悪鬼羅刹振りをもって、一度は離反していた全国の御家人を再び束ねたのであった。



**********


 時は過ぎ、令和の世。


 幾度かの倒幕の危機も頼朝公の顕現により回避し、鎌倉幕府第55代将軍 源頼朝16世の治世。

 かの頼朝公により培われた鎌倉武士の精神は健在だ。


 『次のニュースです。本日、内閣不信任案の可決を受けた山本内閣は総辞職、頼朝公により閣僚全員が一族郎党斬首され...』


 『米国大使の要求に対し、政府は大使を龍ノ口刑場にて斬首に処し...』


 『昨今の身内殺しの減少傾向に、将軍は遺憾の意を示し、猜疑心と野心の教育強化を文科省に指示し...』




おしまい

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