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テルール=テルミドールの傲慢革命  作者: らのあお
アウステルリッツ二帝一統決戦
93/121

運命

 「騎兵隊突撃!」


 中央から引き抜いた選りすぐりの騎兵1000。これを敵左翼の左にぶつけて掠らせる。全ては敵左翼を深く食い込ませる為だ。目の前に総大将がいて我慢できる奴はいないだろう。


 「進め!」


 一本の矢となって我らは突撃する。先頭はもちろん私だ。


 「我々は敵軍に比べ、効率と精神の面で圧倒的に秀でている!何より敵にラパイヨーネは居ない!」


 馬の腹を蹴り、スピードを上げる。眼前の兵士は午前の突撃より多く見える。私の感覚が間違いでなければ中央の軍を左翼に移したんだろう。確かにそれは合理的な判断だ。教本に載っているような定石だ。おそらく両皇帝のどちらかが命令したんだろう。自ら高地を捨てるような舐め腐った愚か者を叩き潰せとな。


 「抜刀!」


 サーベルを抜き、再び人の顔を見た。そして彼らは私に銃口を向ける。毛が逆立つような感覚と共に脳が快楽に包まれる。


 「左を抉る!姿勢を低くして走り抜けろ!」


 姿勢を低くしながら敵から見て最も右側に向けて突撃を変える。空気を劈く高い音、男達による自分を律する為の野蛮な咆哮、鳴り響く軍靴と太鼓の音。サーベルで彼らを斬り払い、あるいは馬で踏みつけて進む。後ろで何人か死んでいるがそんなことはどうでもいい。敵の死も味方の死も、この段階においてはどうでもいいことだ。むしろこの突撃という行為そのものに意味がある。


 「頃合いだ!右に旋回!味方陣地に帰るぞ!」


 60m離れてから回頭して味方の陣地に帰る。後ろを向いて敵の陣形を見た時、私を追いかけるために右側の前が妙に突出していることがわかる。これで敵の右側は前後に多く伸びた為、横側からの圧力に弱くなった。


 「中央の将軍に馬を渡して伝えろ。横から突撃して敵の左翼を前後に分断しろ、まずは頭を右翼と連携して潰す」


 近場にいた騎兵にそう命じ、私は右翼の軍の指揮に加わることにした。


 「死にたくなければ穴を掘れ!」


 右翼の軍に早急な塹壕制作を指示する。


 「そこはもういい!後ろに作れ」


 「元帥しかしこれでは深さが…」


 1mの穴。塹壕としては大分浅いが、これで構わない。とにかく塹壕を沢山作るんだ。何故ならこの塹壕は見かけ倒し、分断された敵を逃げられないと絶望させる為の壁に過ぎない。


 「構わん。どうせすぐに使えなくなる」


 近場のシャベルを手に取り、自分も塹壕掘りに加わる。もちろんアピールの為だ。


 「君も掘れ。将軍だからと言って貴族ごっこは許さんぞ」


 「了解であります、元帥閣下」


 しばらく掘り続け、その時がやってくる。太鼓と軍靴と砲撃。だがそれらは全てずれている。中央軍による分断策が成功したのだ。


 「将軍、この場は任せる。私は起動砲兵を使って圧力を与える」


 馬に乗り、今まで温存していた部隊である起動砲兵を招集する。そう、革命の時ラ・ファルトレス要塞で使ったあの武器、八八式魔砲撃銃改を持った兵士だ。


 「さて科学者諸君。君たちの仕事は研究であり、ここで死ぬことは仕事ではない」


 整列した科学者達。その中には偉大なる功績を挙げた賢者も居る。


 「よって、今次の作戦は君達の命を最優先とし、1000メートルという遠距離からの砲撃とする。簡単だろ?私が指定したポイントで八八式を使って撃つだけ。しかも君達の壁として右翼もいる」


 八八式改は未だ初期段階であり、威力こそ砲弾1発だが弾がずれ過ぎてどこに飛ぶんだがわからない。だから攻城戦に使えないような武器に見えるがそれは違う。何せこれの最大の武器は機動力と継戦能力だ。


 「では荷台に乗り込め科学者各位。敵に恐怖と絶望を与えるのが君らの役目だ」


 召集した科学者150名を三隊に分ける。これを右翼の後方に配置し、移動と砲撃を繰り返させる。敵に砲の数を錯覚させてとにかく絶望させるんだ。


 「こんなものか」


 科学者が荷台に乗り運ばれていく光景を尻目に私は呟いた。あと何か敵を絶望させたり恐怖させたりして戦意を削ぐ手はないだろうか。捕虜を捕まえてウィンネスが陥落したと吹き込み、そして解き放ってみようか。よし、これもやろう。


 「あとはそうだな…右翼が設置してる罠を視察するか」


 その時、北の雲がゴロゴロと鳴った。黒い雲だ、大雨が降りそうなほど大きくて暗い雲。風の向き的にここに直撃する。私の感覚だが4時間後に。ちょうどその時間は敵が高地に登っている真っ只中か。そうなれば視界も足場も悪くなるしでこちらが有利になる。


 「世界は私に勝てと言っている」

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