ブオナパルテ・ラパイヨーネの思惑
ラパイヨーネ視点
コルテ島独立戦争、それは私が産まれる3ヶ月前に起きた戦争であり、この戦争によって私の母は死んだらしい。だから父は私にコルテの夢を、ラソレイユへの報復と独立を託し、それを果たす力を蓄える為、私をラソレイユに送った。
私は父のために精一杯学んだ。算術も語学も兵法も全て完璧にこなした。そしてそれらを学んで行くうちにこう考えるようになった。
私には才能がある。戦争の才能がある。
だから巨大な軍と知識を持ったラソレイユという国が好きになった。そして自分の軍事的な才覚を駆使することに興奮を覚え、コルテの夢を忘れた。
だがそれとは別に問題がある。現状のラソレイユでは私の才能は認められない。何故なら田舎者の血だからだ。
才能を自覚しながらそれを振るう機会はなく、ただ燻っている日々が続いた。そんな時に現れた男がサン=ベルナール・ロベスピエールなぞという男だ。
男は私にこう言った。成り上がろうぜと魅力的な提案をした。私は彼の手を取った。だから今こうしてたった一人の劇場にて地図と駒を睨み続けている。
「アウステルリッツでの大勝を前提とするとウィンネス守備兵は5万程になるはず。これに対してこちらの11万を導入して攻略する。補給と財政を鑑みて攻略に費やせる時間は一ヶ月程。ならば民間人の犠牲を厭わず圧倒的な火力を持ってしてウィンネス城以外を破壊、皇帝を拘束して金準備を略奪する。これしかしない。
これをニーダーランデ、ローマニア、神聖帝国、イベリアで行うとして最低一年、最大二年。それ以上は経済が死ぬ。ならもっと火力と足の速さに偏重させる為に補給の基本をアウステルリッツと同じく全て略奪で、あと行商人団が越境する時期になる筈だから奴らから買い叩くことする。だとしたならばウィンネスに一ヶ月もかけられない」
世界政策第B号、実行の段階。これはオルストリカの皇帝を処刑し各国から金準備を略奪することでラソレイユをユーロにおいて絶対的な国にする計画だ。さて、何故私がアウステルリッツでの決戦を前にしてこっちを考えているのか。それは私がアウステルリッツで勝利を確信している、という訳ではなく、世界政策A号よりもB号の方が私にとって難儀だからだ。何故ならアウステルリッツは私の得意な武の領域だが、B号は奴の得意な政の領域だ。
このB号は私の力だけで解決せねばならない。奴の影響力を削いでおかねば私の治世でそれが邪魔になる。だからこのB号は迅速かつ過激に、何より私の力のみで終わらせる。軍内で影響力を高める為に。
「ウィンネスを攻めた兵をそのまま神聖帝国に向かわせるとして、そこから私だけイベリアに渡る、これでは少なくとも一ヶ月はかかってしまってしまう。時短するには…アルペンを越えるしかない」
その後イベリアを再び征服して、神聖帝国の軍はルーシーに向かわせる。となるともう一度アルペンを超えて…馬鹿な話だ。短期間にアルペンを2回も超えて、ルーシーを征服か。しかもA号からB号にかけられる時間は2年、たった2年で事実上の世界征服をする。こんなにも馬鹿な話はないだろう。
「アルペンを越えたあと、ルーシーをどう攻める?少なくともモスコーまで攻めたいが、冬と共に攻勢限界も訪れる。だからイベリア侵攻を遅滞させて、いや、その必要はない。イベリアでの勝利が確定した、いや確定する少し前に、つまり首都マドリアの戦いが開戦したと同時にイベリアを立ってルーシーの方面軍に合流。春明けと同時にルーシーを侵攻する。不可能に近いが一縷の可能性はある。だから不可能ではない。不可能でないならやるべきだ。私にはその力がある。
ならば今、私が考えるべきは敵ではなく味方だ。つまりサン=ベルナール・ロベスピエールの方だ。奴には軍事的知識は一切ないが、それでも総合力で見れば私よりも圧倒的に奴が上だ。だから奴は私の考えを意図も容易く見抜くだろう。そうすれば奴も対抗策をとってくる例えばそうだ、交通網の封鎖や食糧品の買い占めだろう。それを最短の街で行われればひとたまりもない。だからこれに対する策が必要だ」
例えばそうだ、商人と街に対して政治的な圧力をかけるとか。いや、これはダメだ。奴の得意分野では私は勝てない。なら、私の得意分野でやってしまおう。圧倒的な速さを持ってして奴の策を破綻させるのだ。
「圧倒的な速さの行軍…つまりアルペンでの睡眠時間を削って夜間行軍もする。商人の登山家集団を雇って可能な限り時短できるルートを検証させる。何よりやるべきなのは、サン=ベルナール・ロベスピエールのアルペン越えのルートをできるだけ安全でできるだけ時間のかかるルートに変える。奴の認識を歪めさせなければならない。だから先導役に繋いで…」
奴を排して初めて人の時代は、私の時代は始まる。だから奴を排する糸口をさがしていたが、肺結核での死亡以外に思いつきもしなかったし、あの男ならば奇跡を起こして肺結核を治してしまうとすら考えていた。しかし今、こうやって奴が私のテリトリーに入ってきて私にも手段を講じる機会が訪れた。
要するに私は幸運であるという訳だ。この運が続けば、私の治世は思ったより早く訪れるかもしれない。
レポートのせいで時間がないっすね
でもゆーてこのあと、大戦争+塩と錆で三万文字くらいなのであとちょっとです。




