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革命裁判


 革命裁判所、革命に伴い設立された"反革命分子"を裁く為の機関だ。

 はっきり言うが、この裁判所は革命政府が革命を妨害するあらゆる要因に対して、超法規的措置を行えるようにする為の組織である。

 そして今日、この組織を使い何をしようとするか。それは王殺し(レジサイド)である。


 第一演説、モンターニュ派首領サン=ベルナール・ロベスピエール


 「王は死ぬべきだ。これはもはや裁判の問題ではない。国家を存続させるという点において、王は死ぬべきである。だから王が罪人であるか否かと問われれば、王は罪人であると答えざるを得ない」


 オーギュスト・カペーは処刑させられるべきか否か。今回の議題はこれだ。そして裁判の形式は司法のそれとは大きく異なり、どちらかと言うと政治である。なにせ被告人本人が居ないからな。

 さて、今回の裁判について説明するとこうだ。

 まずモンターニュ派(王を殺すべきである)とガロンヌ派(王を殺さず立憲君主とするべきである)の議員が交互に演説を行い、その後に投票。これで議題の可否を決める。


 第二演説、ガロンヌ派首領コトデー・マリー・バルバトス


 「王は処刑されるべきではない。先ほど、サン=ベルナール・ロベスピエール氏が語ったのと同じく、法ではなく政治の話として。現状で王を弑せば、血でつながるオルストリカや神聖帝国は我が国を滅ぼさんと宣戦を布告するだろうし、ルーシーやアルビオンも益を見逃すまいと大戦争に参加するだろう。

 つまり、王を罪人と認めてしまう事自体がこれらの国にとっての益になってしまう。よって国家の利益という面において、貴族を罰することはあっても王を罰することはあってはならない」


 コトデー、奴は別に王を敬愛している訳ではないし、むしろ王政と言うものを悪だと考えている。

 だが奴は僕に上に立って欲しくないらしく、僕の敵になる為に思想やら何やらをかなぐり捨てた。


 第三演説、モンターニュ派ルイ・イトワール・ルナ=ジャスティカ


 「人は罪無くして王たり得ません。故にオーギュスト・カペー氏は罪人に御座います。罪人であれば、罰を受けのは当然でしょう」


 第四演説、ガロンヌ派ブリッソー・ピエール・ブリッツ


 「ルイ・イトワール・ルナ=ジャスティカ氏は司法の面から罪は無いと論じたようだが、それは間違いだ。ラソレイユ法典において、王は不可侵であると定義されている。よって、王権自体を停止することはできても、王自身は裁くことも罰する事もできない不可侵な存在であるとするのが司法の解釈である」


 ブリッツ、彼は高等法院の売官貴族と言う立場でありながらも、革命勃発事に貴族達を訴訟し財産を巻き上げてそれを民衆に与えると言う義賊的な行為を行いし、貴族でありながら革命に協力した精神的な真の貴族と言う立場を得た。つまり老獪な狸野郎である。


 「では双方の主張が確認できたので、次に第一投票を行います」


 この王の処刑について、と言う議題は三段階と投票に分けて行われる。

 第一投票、国王は有罪か否か。

 第二投票、国民投票は行われるべきか否か。

 第三投票、国王は処刑されるべきか否か。


 「ルナ、思っていたより今回は難儀しそうだ」


 僕が思っていたよりコトデーという男はやり難い。ブリッソー・ピエール・ブリッツもだ。

 ともかく、僕はオーレン公と王を廃さば、己の一強状態になると考えていたんだ。だが現実は違った。

 オーレン公が抑えていた奴らが頭角を現し始めたのである。

 だからこいつらがこの混沌とした政治に慣れる前に全員失脚させねばならない。


 「やはりコトデーだ。コトデーさえ崩せば…」


 ガロンヌ派、正直に言って奴らはエゴイスト集団だ。ではそんな連帯感のない奴らがなぜこう纏っているのか。それは偏にコトデーの卓越したカリスマと利益調整能力にある。


 「ねぇ、先生。コトデーが邪魔なんだよね」


 「あぁ、逆にコトデーさえいなくなればガロンヌ派は瓦解すると思う。だから何か、コトデーを崩す手を考える必要がある」


 さて、投票順が来るまで考えよう。どうすればコトデーを崩せる?

 オーレン公の時のようにスキャンダルを利用してやるか?

 いや、これは無理だ。奴と結びつけれそうなスキャンダルが無い。

 王の時みたいにガロンヌ派の末端から利益調整で崩していくか?

 こっちは時間が掛かり過ぎる。ゲオルグ・ダールトンから崩していって、次に次にとやって、奴が王を玉座に縛り付けるまでに間に合うか?

 だがこれしか無い。間に合わせて見せる。


 「先生、私がやったげよっか。コトデーを失脚させればいいんでしょ?」


 「何か手があるのか」


 「うん。まかせて、私に任せれば全部上手く行くからね」


 「そうか、なら任せるよ」


 一応は彼女に任せるが、正直不安だ。だって彼女はコトデー以上に読みにくい。僕のことを心底空いてくれているのは分かるが、彼女が何をやるのかまでは予想できないんだ。


 「ほら、行ってきなよ、先生」


 投票順が回り、票を入れる。勿論王は有罪であると示して。


 第一投票 王は有罪か否か


 賛成票699


 反対票22


 王は有罪である。


 正直、第一投票と第二投票の結果は分かりきってる。王は有罪だし国民投票はやらない。

 問題は第三投票、王は処刑されるべきか否かである。

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